ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

社長と経理部長

2009-08-13 21:44:54 | Weblog
私がいつも「この人、なんとも言えない顔をするな~」と思うのは、経理部長。

社長の隣に座り、銀行さんや税理士さんと社長の間に交わされる話を聞いているとき、
彼らの胸に去来するのは、いったいどんな気持ちなのか。
私は中小企業しか知らないけど、こんなときの経理部長の顔は、
その人柄のすべてを映し出していると思う。

「無心」「小心」「義憤」「忠誠」「困惑」「誠実」。
いろんな気持ちがよぎる。

私が社会人になって最初に思った「いちばんやりたくない仕事」、
それは経理だった。
そもそも数字は苦手だし、それに、なんとなく社長とベッタリしてそうで、
その感触が、生理的にいやだったから。

学校の先生とか、権威とか、
強いものに添うことが、学生時代から苦手だったので、
「体制側」「優等生」みたいなポジションに自分を置きたくなかった。

それなのに、いま成り行き上、経理をしている。

中小企業の経理とは、社長の妄想を数字であらわせるストーリーに作り上げ、
なるべく税金を払わなくてすませる、ということだと思う。
経理をやっている人は、
「そりゃ~、論理でなく屁理屈っスよ。論点ずれまくりっス」とか、
「自分たちは、税金を払うために生きてるわけじゃないんスけど」と、
言ってやりたくなったり、しないんだろうか。

そもそも、人の営みを数値化するのって、無理があることだと思う。
どんなに頭がよくて論理的な人でも、それはある基軸にそって問題を解いているだけ。
中小企業の経理にとって、その基軸は「社長の妄想」にあることが多い。

あ~、経理が専門じゃなくてよかった。
いつか、この役目からのがれよう。
私には、そんな忠誠心も優等生根性もないから、こりゃ無理だ。