ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

平和な国

2009-08-29 12:08:23 | Weblog
上の家の男の子がお母さんに怒られている。

どうやら、お母さんがつくった昼食を「食べない」と言ったために、
猛烈に怒られ、ベランダに出されてしまったらしい。
ドンドンと窓をたたいている。

さっき、ちらりとお母さんが出て来て、
「人がつくったものを食べないって、どういうこと」と一言。
そして、ピシャリという、おそらく頬をひっぱたいた音が聞こえた。

それにしても、謝らないなあ。あの男の子。
私だったら、「ごめんなさい、もうしません。ご飯を食べさせてください」と
泣いて嘆願するのに。

要は、餓えていないということなのだろう。
親がいなかったら、確実に飢え死にする、という逼迫感がないのだろう。

これは、親がいなくなるかもしれない、という不安もなく、
そして餓えるかもしれない、という恐怖もないということだ。
そういった想像をする可能性すらないということ。

なんとまあ、平和な国なのか。
上の家だけが平和なのかもしれないけど、
ふと、ネパールで会った女の子を思い出した。

カトマンズ郊外を散歩していたら、
5歳くらいの農家の女の子が、同行していた日本人の男性に話しかけた。
「私のいいものを見る? 1ルピーでいいよ」と。
あの子の瞳には、飢えをしのぐための方法としての「性」というものが、
すでに暗く宿っていた。

確か当時、1ルピーは日本円で10円にも満たなかった。
一緒にいた男性は、一瞬何を言われたのか、理解ができなかった。
娼婦風の女性に声をかけられるならまだしも、
3歳くらいの弟をつれた幼い女の子に、そんな声をかけられるなんて。

その後、ずっと、その日本人男性は落ち込んでいた。
きっと、誰かにそれがお金になると教えられたんだろう、と。

日本は不況と言っても、まだまだ豊かで、平和だと思う。

漱石と倫敦ミイラ殺人事件

2009-08-29 10:55:48 | Weblog
島田荘司著、光文社文庫。完全改訂総ルビ版。

久しぶりに総ルビの本を読んた。
もしかしたら、小学生以来かも。

最初は文章に入るよりも、この総ルビが気になって、
なかなかペースに乗れなかったのだけど、
読んで行くうちに気にならなくなった。

ルビのためか、文字も大きめだったし、
ところどころに挿絵も入っていて、
小学生の頃に読んだ、ポプラ社のホームズシリーズを思い出して
とても懐かしい気分になった。

ストーリーも、漱石とワトソン両者の視点から進められていて、なかなか面白い。
外国に行くと、こういうことあるよね~、という小ネタもはさまれ、
しかも、あまりグロテスクな死体も出てこないから、
島田荘司さんの本にしては珍しく、食事しながらでも楽しく読める一冊だった。

いつも思うけれども、
本を書く人、というのは、いろいろなことを、本当によく調べている。
きっとこの本も、自分なりの年表(日表)などを作って、書かれているのだろう。

論理的思考や、整理整頓が苦手な私としては、
物語の構成、シナリオ、というやつを考えられる人がうらやましい。

いつまでも苦手だ、と思っていないで、
少し文章のトレーニングでもしてみるかな、と思いながらブログを書き始めた。
梨をほおばりながら書いているうちに、なぜか猛烈な睡魔におそわれている。

まあ、今日は休日だから。