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湘南でゆるゆら暮らしココロ赴く先へガシガシ出かけるライター山秋真が更新。updated by Shin Yamaaki

中世の船、海へ/転んだら起きあがればいい:祝島2011

2011-09-08 23:59:43 | 祝島:船

この夏、
瀬戸内海の西の玄関ともいえる上関町の祝島で、
中世の船を2隻、再現していた。

あまりにも貴重な機会だったので
祝島にいるあいだは時間の都合がつく限りかよいつめ、
気がつくと、2隻の船をつくるあいだに
中世船を再現する全工程を見学させていただいていた。

その整理はこれから時間を見つけておいおいやっていくとして、
きょうは船出する中世船をご紹介したい。

わたしが見ることの叶った船おろし(進水式)は1隻目のみ。
このときはちょっとしたアクシデントもあって
しばし肝を冷やしたのだけれど、結果的に大過なく無事に船出していった。

正直いうと、
アクシデントがあったからよけいに印象深い。
というよりむしろ、
アクシデントがおきてからそれに対処して乗りこえていく様が
もうれつにスゴくて、強烈な印象をのこした。

はっきりした指揮系統があるわけではない、
その場に居合わせた島人たちがそれぞれおのれで考えてうごき、
それがみごとな連携をみせて事態を好転させていったのだ。

転んだら、起きあがればいい、
ただそれだけなんだ、ということも、まざまざと教えられた気がする。
たぶんわたしはあの時のようすを一生忘れない。

とはいえ、文字どうり心血をそそぐようにして
この船をつくった船大工さんの胸のうちを想像すると、
やはりまずはアクシデントなくスムースな進水をお披露目したい気がして、
この1隻目の船おろしの紹介をひかえてきた。

この8月に2隻目の船おろしが無事にすんだようなので、

大河ドラマ「平清盛」木造船、山口・祝島の船大工が新造 8月13日朝日新聞)
2か月前にあった1隻目の船おろしの様子もささやかにご紹介させていただく。

  * * *

波止のまえにおかれる新造船。
マストを立てるとあまりにもバランス悪くなるからと
マスト(帆立て)は横にしてある。



船を海まで動かすための準備をはじめる。





わらわらと集まった島人たちが
ゆっくりと押して船を動かしてゆく。







いよいよ進水。





これは、来年のNHKの大河ドラマのために
大学の先生かなにかが昔の資料から図面をひき、
それをもとに中世の船を再現した船。

ただ、図面をみた段階で「これは…」という島人もいたほど
バランスに不安がある船だった。
新造船を海に浮かべてみて、その不安は誰の目にもあきらか。



恐るおそる、そっと手を離すと…



かやった(ひっくりかえった)。



(あまりの事態にビデオを撮るのが精いっぱい、
しばらくカメラのシャッターを押す余裕がなかったので写真少なめ)

なんとか船体をおこすと、



すぐそばの波止(はと)にもってきた消防車で



船のなかにはいった水を吸いあげるための準備を開始。



また船がかやらないようクレーンでかるくサポートしつつ、
船底の水を消防車でくみあげて海へともどしはじめる。





少しでも船が傾くと、船底にはいった水が一気にそちらへ寄ってしまうので、
バランスをとるのがけっこう大変そう。





荷がない新造船だからよけいに安定が悪いということで、
バラスト水として少し水を残し、消防車による排水を終了。

そのタイミングで伝馬船がやってきて、
かやらないように船の両脇に浮きをかかえさせていく。



なんとか事なきを得て、中世の船はようやく静かに海にうかんだ。



エンジン搭載船に横づけされたまま港の外まではこび、



そのあとは紐で引っぱる。



1000年の時をこえてよみがえった中世の船が



海上をすべりゆく。

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