なんと!
能登半島の突端・珠洲(すず)の友人からフグをいただいた。
蛸島港から直送のよう。
蛸島の漁協も、珠洲に原発をつくる計画に反対しつづけた漁協だ。
多額の漁業補償金がからんでくるため
漁協が原発に反対をつらぬくのは、並大抵のことではない。
そのなかにあって、蛸島と祝島は、ともに稀有な存在といっていいだろう。
その蛸島港からとどいた海の幸。…幾重にも、ありがたい。
箱のなかには、透明感あふれる美しいフグが、すぐに食べられる形で、山ほど。
ぐうぜんにも、この日は妹夫婦がくることになっていた。
昔から「鼻がきく」と名高かった彼女は、いまもその名に恥じない幸運ぶり。
隣町に暮らす妹も誘って、昼食は急きょ、フグ鍋の会にした。
昆布で出汁をとった鍋が沸騰してきたらフグをいれ、
ふたたび煮立ったところで、ポン酢で食す。
食べても食べても、フグがある。淡白だから、スルスルはいる。
ひととおり満足したら、豆腐を用意。
「フグ鍋は豆腐のためにある」と主張する友人の言葉にしたがい、
ここからは豆腐コース。
フグのいい出汁がでた鍋に、豆腐をスプーンで削いで一切れずつ落としてゆく。
やはり、ふたたび煮立ってきたところで、豆腐を掬いあげていただく。
なるほど確かに、
フグ鍋は、この豆腐を食べるためにある、といっても言いすぎではないかも。
豆腐に満足したら、最後はハモ。
このとおり、ハモも、鍋にすぐ入れられるようになっている。
ハモをさばく腕もないうえ、余裕なく暮らすいまの我が身には、やはり、ありがたい。
それにしても、透きとおった身の美しいこと。
ここでもまた、沸騰した鍋にハモを入れ、再沸騰したところでポン酢で食す。
これまでと一転、コクのある味わい。トータルで、スゴイ満足度だ。
胃袋が満たされることはもちろん、滋養が五体にくまなく滲みわたり、
さらにはココロも満たされるかんじ。
天にも地にも海にも友にも、ありがとう。