ある日の午後、留守中のこの家の主・Tの両親が
大きなキャンピングカーにのってあらわれた。
フィンランド国中を移動し、各地でゴルフをしてまわっているという。
夏を謳歌しているようで、ふたりとも見事なゴルフ焼け。
父上はひろい庭をひととおり見まわるとさっそく芝刈りに精をだし、
母上は「店に行きたいだろうから」とわたしたちのために車を出してくれた。
いちばん近い店まで13kmときいて買い出しはあきらめていたものの、
生鮮野菜の量が日に日に心細くなり、かといって畑の野菜も
間びき菜は多少あるものの(下は間びきした人参)収穫期には至らず、
最後の頼みは干し野菜という状況だった。
どうしても食材にこと欠いたらタクシーをよんで買い出しにいく?
と、思いはじめていたところ。とてもありがたい。
母上の車でついてみれば、そこは郊外型の巨大スーパー。
電化製品・衣類・文具・本など各種ソフトウェア・食料品・生活雑貨品・
ガソリンなど、なんでもある(ただしアルコール飲料は別店舗)。
でも、このメガストアで蚊取り線香が売り切れだったのには、ちょっと驚いた。
「今年は蚊のあたり年」ときいてはいたけれど、ここで再確認したかたちだ。
せっかくなので、
北欧の人気菓子・ラクリッツ(写真の黒い菓子)をはじめ、
ひさびさに市販の菓子も買ってみた。
初めてみた歯型のグミ(写真の一番上)をつけ、写真をとってみたり。
もちろん、目あての生鮮野菜も。計り売りが多いのが気にいった。
自分でえらんだ生姜を計量台にのせ、
野菜の種類を識別する番号を入力し、
でてきた料金シールを貼る。これを持ってレジへいく。
この日、Tの両親がこの家によったのは、
そろそろクラウドベリーのシーズンなので
ラップランドへ戻ってきたから、という話も。
シッポのないムーミンによれば、クラウドベリーは「ベリーの王様」。
ほかのベリー類とくらべると市場での単価は数倍以上とか。
Tがつくっておいてくれたケーキにクラウドベリーがたっぷり入っていたのは、
クラウドベリ―摘みを楽しみとする両親から、たくさん手に入るためという。
「王様」の実は、色は黄色っぽいオレンジ、サイズはやや小粒。
かなり主張するタネが独特の食感をもたらす。
味は甘みより甘酸っぱさが強い印象。わたしは味も食感も好きだけれど、
歯の弱い人や入れ歯の人には、このタネが食べにくいかもしれない。
気をつけて見てみると、ジャムやゼリー、リカー、チョコレートなど
クラウドベリ―の加工食品がいろいろ売られている。
ためしにクラウドベリ―のリカーを買った。
ご覧のとおり、フィンランドでは「Lakka(ラッカ)」などとも呼ぶみたい。
アルコール度数は21%、かなり甘口。ロックで飲んでみた。
これはいい食前酒になりそう。バニラアイスにかければ、デザートにも?
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