湘南ゆるガシ日和 ・・・急がず、休まず

湘南でゆるゆら暮らしココロ赴く先へガシガシ出かけるライター山秋真が更新。updated by Shin Yamaaki

夏の嵐:白夜のラップランドで初の闇

2010-07-17 23:56:15 | 旅:フィンランド

ラップランド生活が数日もすぎれば白夜にも慣れ、
夜になっても暗くならない生活を満喫。
陽が沈まないながら光のトーンはずっと同じでもないことに
じきに気づく。

2010年7月前半は、
曇りの日でも雨が降った日でも、夕方以降はよく晴れた。
19時をすぎるころから空は爽快な青味をまし、
空だけみているとまるで日本の夏の日中を思わせる勢い。
たとえば7月13日午後23時に玄関先から見あげた夜空はこんな感じ。



それが24時をすぎるころから
しだいに紅みを帯びた陽ざしに変わっていく。
たとえば7月12日の午前1時半に
家のまえの舗装道路をあるきつつ眺めた陽ざしはこんな様子。





それが3時前後になると
徐々に紅みはとおのき、一転して空が白々としはじめる。
たとえば7月12日午前3時の裏庭の海辺の空はこのような様だった。





いずれも、綺麗な(夜)空を撮りたくて
上空をうつしているからこういう色だけれど、
わたしたちの生活世界は全体的にもっと白っぽくて極々明るい。
読書など手もとを明るくしたい事情でもない限り
白夜では電灯を必要としない。
具体的にどれほど明るいかといえば、たとえば
冬には「暗い」と思わなかったこの家のバスルームの照明を、
白夜のもとでは「薄暗い」と感じるほど。

そんな白夜のラップランドで、数時間だけ闇を体験した。
フィリヨンカさんとミムラ姉さんが相次いで旅だったある晩。
23時過ぎにシッポのないムーミンが散歩に出かけたときは
青空だったのに、23時半をすぎたあたりからが雲行きが怪しくなり、
24時をまわった頃には、すっかり薄暗くなっていた。



雲の暗さは、写真ではこの程度だけれど、
肉眼では雲と樹の色の差がほとんど感じられなかったほど、
実際に体験した暗闇は、もっとずっと濃いものだった。
遠くの雲の切れ目から辛うじて陽の光がのぞけるのがさいわい。

ひと雨くる前に帰ってくるといいなと案じていたところに
ムーミンがもどってきたのが24時10分ころ。
24時半頃、あたり一帯がさらに暗くなり、雷鳴がひびきだす。
まずはパソコンや通信関係の機器類の電源をすべて落とした。
家中の窓を閉めにいくと、なんと2階はまっくら、
もちろんこれは白夜のラップランドで初めて目にする光景。
階段は、電灯をつけずに降りるには手すりを頼りに一歩ずつ。
25時すぎには雨が強くふりはじめ、ときどき稲妻も。



上の写真は、外がもっとも暗くなったときの様子を家のなかから写したもの。
実際には、この写真でみる以上に外は真っ暗闇にみえた。
雨粒が窓ガラスを打つように、はげしく雨が降っている。

数年前わたしは直線距離2‐300mで落雷を目撃しているので、
そのときの音と光と煙が生々しくよみがえり、
「あなたは魚眼か?」とムーミンが驚いたほどの感度で稲光を察知。
…だって怖いんだもの、大自然の脅威はことさら侮りがたくて。

さいわい、稲妻はながくはつづかなかった。
25時40分頃には雨がよわまり、雲の切れ目ができ
空が明るさをとりもどしたと思ったら、25時45分には雨がやんだ。



26時。もう大丈夫、白夜の空にもどりつつある(下の写真)。



かと思えば、その数日後の午前3時、べらぼうに青い空をみた。





白夜に驚き、しだいに慣れ、いつしか語り、知ったつもりになる。
そんなわたしを知ってか知らずか、
固まりそうなわたしの頭をヒラリハラリと白夜は裏切る。

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