ここ数カ月、時間をみつけては小説を読んでいる。
設計という職業柄、専門書、建築系雑誌、カタログなど
本に目を通すことは日常的であるけれど、
小説を読むことは学生以来、なかったような。。。
それだけ大学を卒業して以来、
建築という仕事にどっぷり漬かり、
ただただ現実を生きてきたような気がしている。
海野宿の屋敷を手に入れ、
子供を授かり、あれよあれよと過ぎ去った数年間。。。
それまで多くの時間とエネルギーを設計という仕事に
捧げてきたものが、一変して
日々、煩瑣なことをこなし、子供にも時間を捧げ、
気がつけば、
大好きなお酒も、映画も、趣味も、みんな一時休止。
そろそろ、息も続かなくなってきた昨年、
新人所員を雇ったりしながら、
ようやく最近、こまぎれであっても
自分の時間をほんのわずか持てるようになった。
映画こそまだ見れる時間はないが、
小説なら こまぎれの時間で楽しめる。
ほんのひと時の楽しみだ。
今、「利休にたずねよ」 という小説を読んでいる。
すっかり大学時代に学んだことを忘れかけていただけに、
この小説は、京都にいた頃のことを思い出させてくれる。
その描写は素晴らしく、
あちこち見学して歩いた名刹や町並み、
そして大学院で学んだゼミのことなど、
案外、思い出せることに自分でも驚く。
昔撮った写真を押入れからぴっぱり出したり、
昔読んだ建築専門書を読みたくなったり、
私自身の初心、原点に戻る、
そんな気分にさせられた小説でした。
(k.m)