さいふうさいブログ

けんちくのこと、日々のこと、いろんなこと。長野県の建築設計事務所 栖風采プランニングのブログです。

専門家ですら誤用が多くなってきた建築用語?!

2011年06月08日 | ◆建築に思うこと

建築用語について、

今日は少し書きたいと思います。

(ちょっと辛口かもしれませんがお許しを)

  

建築用語は、一般の方にしてみますと

建築の「専門用語」になるかと思うのですが、

どこからが、専門用語で

どこまでが、暮らしの中でお施主さんでも知っている用語なのか、

ということを、

最近、いろんな場面で考えさせられることがあり、

改めて初心にかえって考えておりました。

  

木造住宅における構造部材の名称の場合ですが、

柱(はしら) は、誰でも知っているかと思います。

でも、

梁(はり) は、どうでしょう?

  

思い起こせば、私が大学に入学したばかりの時、

 という用語は知りませんでした。

(お恥ずかしい話ですが。)

    

同じように、

最近、お施主さんとやりとりをしている時に

気が付いたのですが、

梁などの横架材 のことを  

と表現された方がおりまして、

その時、はっ と思ったのです。

そうかー、、、

部材の名称は、専門用語でもあるのだから

まずは、その名称をきちんと説明してから

設計に入らないといけなかったな

今更、反省。

 

今の現代の住宅は、

柱の見えない大壁の建物ばかりですから

そのうち

 という用語すらも

専門用語になってしまうのかも。。。

  

更に、   

最近、震災関係のTV放送で

基礎(きそ)と土台(どだい)

の用語が間違って使われていたり、

  

更に更に

鴨居(かもい)のことを 上敷居?!

と言っていたTVもあったとか。

その言い方ってあるのでしょうか?

(どなたかご存知でしたら教えて下さい!)

   

ちなみに、うちにある建築関係書籍には

そのような用語が見当たらず、 

ネットで「上敷居」を検索すると、

フックの商品に上敷居用などど記載しているものが

ありました・・・(誰かが勝手に作った造語?)

   

更に更に更に、たまたまではあるのですが、

一般の方 向けに発行されている「古民家検定本」

という本を見ていましたら、これまた なんとっ

「本当は服をかける目的ではない長押(なげし)の種類」

という見出しがあるではないですか!

  

ど、ど、どういう意味?

  

いきなり、洋服を掛ける目的ではない、という見出しは

まるで一般の方の大半が本当にそう思っているのかのような

或いは、 

思っていない人にも、そう思わせてしまうような書き方で

私の頭はくらくらです

 

確かに、ハンガーなどを掛けてしまうことも多々ありますけども

その書き方って、どうなのでしょうか?

逆に一般の方に対して、大変失礼だと私は思いました。

  

*「古民家検定本」に記載されている“古民家の各部について”の文章には問題がかなりあると思いましたので、私は直接、執筆した方に、改訂本を出すようにと要請をしました。なんの返答も今のところありませんが・・・。

     

まだあります!

東関東大震災では

長野県の栄村も大きな被害を受けましたが、

栄村で被災された古民家を

応急的に安全性を判定する応急危険度判定士さんが、

(ボランティアとして協力している建築士さんです)

TVで、堂々と、

差(指)鴨居(さしがもい)のことを

二重梁(にじゅうばり) と説明されてました・・・

(その説明はまずいでしょう。。。焦)

  

多分、この建築士さんは伝統構法に馴染みがなく、

名称を御存知なかったと思われます。

  

でも、そういう方でも倒壊の危険性を判定してしまうんだと

んー

応急危険度判定士の講習の内容が気になります。

    

差鴨居という用語は

建築界の内においても、

分野別の専門用語?の部類になってしまっているのかも。

うーむ。

(しかし、私の学んだ大学では、

講義に使われた一般的な建築構法の教本に、

差鴨居の図解と説明が載っていましたから・・・

一応、基礎的な用語であるような気がするのですが。)

        

日本の伝統的な家屋が急速に失われ

今の新築住宅には和室すらない家も増え、

一昔前なら 多分、

多くの方が知っていたであろう用語が

これからは

「専門用語」になってしまうのか?!

  

という衝撃

   

このような時代になってしまったのだと

受け止めながらも、

このままでは非常にマズイ

と思いまして

急遽、

お施主さん向けにではありますけれども、

在来構法の構造の図解を描きまして

現在計画進行中のお施主さんには

図解をお渡しするようにしました。

  

(*既に竣工したお施主さんにも

ご希望でしたら今からでもお渡し致しますので

お知らせ下さい)

    

いろんな本、資料を探しましたが

意外に私達の求める図解が無い!

ことが わかりましたので、   

いずれ、造作材の名称や、

伝統構法の図解なども用意したいなと思ってます!

  

 

◆本記事に使った建築用語 (「建築大辞典」より)

 

柱(はしら):①屋根や床の荷重を支え、基礎に伝える役目を果たす鉛直部材をいう。<後略>

梁(はり) 柱頭の位置にある水平材で小屋組を支えるもの。側柱上にあって垂木を受けるものは特に桁(けた)という。<後略>

二重梁(にじゅうばり):①和小屋において大小の梁を上下に2本以上渡している場合、下から2番目の梁をいう。②大小の梁が上下二重に渡してある梁組み。

土台(どだい) 木造建築の柱の下部に配置して、柱から伝えられる荷重を基礎に伝える役割を果たす横材。<後略>

基礎(きそ) 上部構造からの荷重を地盤に伝える下部構造の総称。<後略>

鴨居(かもい) 和風建築の開口部で内法高に入る横材。引戸、引違戸を建て込むための溝が彫られる。<後略>

敷居(しきい):門の内外を限り、また部屋の区画を設けるために敷く横木で、建具を受ける横木を含む。<後略>

指(差)鴨居(さしかもい):通常の鴨居のせいは2寸ほどであるが、特にそのせいが7寸以上2尺ほどまでの鴨居をいう。<中略> 普通の鴨居が造作材であるのに対してこれは構造材でもあり、1間半以上3間ほどまでの柱間内の内法高の位置に入れられる。<後略>

長押(なげし):①長が押しの略。柱を両面から挟み付けて大釘で打留めて固定した横材の総称。<後略>②内法(うちのり)長押のこと。貫が使用され長押の構造的役割が減退するに従い、内法長押のみが残り意匠化し、室の格式を示す指標と化した。<後略> ③.④.省略

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コメント (4)
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