昨年中に終わらせようと頑張っていました
長野市の古民家再生の実施設計・・・。
・・・
昨年中に終えることが出来ませんでした。
その理由として
(言い訳のようですが)
実は、基礎の設計に時間が掛かっておりました。
基本設計では基本設計に足りる現状民家の測量をし、
実施設計でも、更に詳細に設計を詰めるための測量を再度します。
実は、その実施設計中の測量で、
現状図面を書き起こしていたnanaちゃんが
どうしても寸法が変だと、悩んでおりました
古い建物の場合、
建物自体が水平・垂直・直角とは限らないですから
測量が甘かったり、
基準線の取り方を間違えると、
現状図面、更にそれを基に計画した設計図が
全部、狂ってしまったりします。
あれこれと事務所の皆で
寸法のずれがどうして起きたのかを
検証するのに、かなり時間を要しました。
なんとか原因を解明しまして、
最終的には、↓のような
現状図面(立面図)になりました。
写真では判りませんが、
測量して図面に起こしますと、
土台、基礎はガタガタです。
え?こんなに?
と思うくらい、土台周りがグニャグニャで、
(それもそのはずで、土台は相当傷んでおります)
基本設計で設定していた高さ関係の見直しを
実施設計も終盤段階で余儀なくされました。。。
実施設計期間を延長して
(もちろん、お施主さんにはご説明してですが)
昨年末はバタバタ。
それでもですね
現場に入る前に気が付いて良かった
と、思っております・・・
図面のミスは許されても
(いえいえ、図面をミスした場合、
「図面通りに作る」ということが
基本的に施工者に求められている以上、
図面のミスは建物のミスに繋がってしまいます。
しかし、きちんとした施工者であれば
図面の不具合をきちんと見つけてくれます。
この関係性が、今の時代
なんだか「ねじれ」てきているので
やはり、設計者は施工者に甘えず
ちゃんとした図面を描かなければならない
と考えています)
建物のミスは許されませんから、
だからこそ図面で事前にいろんなことを
検討するのです
と、
一応、前置きはここまでにしましてーーー
今回、こちらの長野市古民家再生の設計では
基礎を、
①地下水位の高い地面の防湿のために、土間コンクリートを犬走りまで含めて一体打ちにし、
②その上に、コンクリートではなく、布石を敷設する
というものにしました。
現状の土間↓
土間の一部に、大きなコンクリートで出来た
四角いムロがあります。
このムロには現在、
1.8mくらいもの水が溜まっています。
こちらの家のご近所の方のお話によれば
昔は、こんな水は溜まっていなかったとのことでしたが、
裏には山もありますし、
地下水位が、いつ頃からか上がってきて
ムロのコンクリートの継ぎ目から
きっと地下水が浸み出て
溜まったものだろうと推測しています。
(この2年間程、この水溜まりに変化もありませんし)
水位が高いと、
どうしても地面から湿気が上がりますので、
建物にも当然良くありません。
この湿気対策と、
寒冷地ですので地盤の凍上も考えた上で、
犬走りも含めて土間コンクリートを打つ
(改修部分だけですが)
という方法を考えました。
*「犬走り(いぬばしり)」:
建物の周囲や軒下の石・レンガ・コンクリート・砂利などで敷固めた部分。
実はこの手法は、
小諸の古民家再生でもやりました。
小諸の古民家再生では、
隣の敷地が高くなっており、
その土手面から水が浸み出ておりました。
同じ手法(犬走り一体型土間コンクリート基礎)
で基礎工事をしましたら、
建物周囲の犬走りには、私が見る限りは
今のところ、湿気っぽい浸み等はないようです。
(清々しています)
一方、お施主さんは、その土手から浸み出る水を、
上手に庭に引込んで小さい池を作っておりました♪
ついでに、
犬走りと土間コンクリートを一体に打つことで、
いわゆる、犬走りのコンクリートと、布基礎コンクリートとの境目(打継ぎ)部分からの
シロアリの侵入も防ぐことが出来るのではないか
と考えています。
(シロアリと建物に関しては、詳しくは、
「床下が危ない」神谷忠弘著
を読まれると良いと思います。
建築士には手厳しい書き方がされてますけども、
私的には、経験上、腑に落ちた部分がいくつかありました)
少々、話がそれました。
地盤が凍結するにも
建物の直下はいきなり凍結するのではなく、
建物の周辺から凍結していきますので、
犬走りのところの土間コンクリートを
凍結深度に達成させれば
建物の直下は地熱で保たれるはずですし、
また、
建物の本建部分(柱通り)の基礎を
凍結深度まで掘り下げて工事する必要もなくなります。
そもそも、現代の分譲宅地と違って
古民家が建っている地盤は、
しっかりしている場合が多いので
古民家の建っている基礎、地盤を
やたらといじることには気が進みません。
ましてや、改修部分だけ、いじるのは
建物全体から見ても
かえって、不同沈下の原因にもなりかねません。
更に、その犬走り一体型土間コンクリートの上に、
現代の建物でしたら、
通常はコンクリートの布基礎(立ちあがり部分)が設けられますが、
今回は、改修部分が建物(古民家)の一部であることと、
もし布基礎を打つとなれば、
建物を持ちあげる(揚前)工事の必要が出てくることになりますから、
*「揚前(あげまえ)」:木造家屋の土台まわりなどを修理するとき、ジャッキ類を用いて家を持ちあげること。
施工性から考えて、
建物を持ちあげない方が、
躯体全体や、改修しない座敷等の壁への影響も減らせます。
また、
本来、古民家の基礎は昔から「石」だったことを考えれば、
古民家の構造を考えてみても、
布石を敷設することは
私共にしてみれば
自然な思考でした。
こちらは、当事務所。
うちも布石になってます。
*「布石(ぬのいし)」:土台の下に長手方向に連続して並べた細長い石
今回、布石は御影石を予定しているのですが、
御影石を取り扱っている石材店に
何度も見積もりをお願いし、
基本設計概算で算出していた建設費の
基礎工事の概算金額に合わせるため、
設計に合わせて見積もるのではなく、
石材の値段に合わせて、設計を考える
という方式で
なんとか、概算金額に近づけるという手法を採りました。
というのも、
布石を使った布基礎を今まで、
我が家の主屋(事務所)以外、
やったことがなかったため
積算の資料が無かったからです。
この石材店とのやりとりが
結構、かかりまして、、、、
それでも、昨年末にも関わらず、
石材店の方が、
何度も何度も、こちらの要望にそって
見積もりを出して下さいましたので
なんとか、概算金額に近づけることも出来まして、
あとは、図面の修正等を
これから急いでやらなくてはなりません
もうひと頑張りします!
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