Diary Of 酒田の人

田舎住まいの60代サラリーマンの趣味の日々

回想の古伊万里 115(染付菖蒲文そば猪口)

2021-03-05 21:09:18 | 古伊万里
昨年来、税務署の酒の小売価格の調査(売価が原価+販管費より安くないか)に振り回されていることもあって
ウチの残り少ない伊万里の紹介が滞っておりますが、なんとか更新にこぎつけました。

以前も書いたように思いますが、そば猪口は伊万里の中でも最もディープなカテゴリーで(少なくともワタシはそう思う)
そば猪口専門のコレクターも少なくないようです。そんなこともあって、ウチにはそば猪口は数個しかないんですが
今回はそんな数少ないそば猪口の中から、一番古そうな品を見つけてきました。

「染付菖蒲文そば猪口」

ちょっと判りにくい画像ですが、二方を圏線で区切り、その中に菖蒲(?)を描いており
直径7cm、高さ5.7cm、高台径が4.3cmですので、やや小ぶりなそば猪口ということになるでしょうか。
一般的には「初期手」と呼ばれるタイプの品だとは思いますが、なにせそば猪口に関してはほぼ素人ですので、判然とはしません

見込み中央には、元禄~享保期に見られる、こんにゃく印判による五弁花が絵付けされており、縁の内側は薄濃みの中に丸が並んでいます
見ての通り、縁の部分にホツのある傷物ですが、そば猪口に思い入れのないワタシには十分だったりします。
さて、この品の「初期手」たる所以ですが、高台部分を見ると判ります

いわゆる「上げ底」で、底の部分が厚く成形されています
さらに古い手になると、生掛けだったりしますが、この品は生掛けではありません。
そば猪口の場合、生掛けだからといって江戸初期(1620~50年代)に焼かれたものではなく
その多くは元禄~享保期に焼成された品だと言われています。ワタシのそば猪口に対する知識はそんなものですが
この品が「回想の古伊万里4」で紹介した「色絵花文そば猪口」とさほど違わない時代の品だと思うと
直径10cmもある大振りなそば猪口は「向付」だったのでは、と思わざるを得ません。