Diary Of 酒田の人

田舎住まいの60代サラリーマンの趣味の日々

回想の古伊万里 119(山水に波文七寸皿)

2021-03-28 19:48:35 | 古伊万里
 ウチの古伊万里も残りが少なくなりました。
ワタシの場合、かなりいいかげんな性格のため、自分がいくつ古伊万里を持っているのか数えたことがありませんし
購入時の年月日や金額もまったく記録していません。(コレクターには向いていないようで・・・)

それはさておき、伊万里に限らず、骨董には「残念物」というものが存在するようで、定義は定かではありませんが
「完品だったら名品とか優品、でも大傷物とか、後世の下手な直しがある」みたいなものでしょうか。
そんな訳で、今回紹介するのは特に優品というわけではないものの、難点のある残念物です。
「山水に波文七寸皿」


縁の部分に如意頭文が陽刻された、寛文期の典型的な七寸皿です
見込みには山水(?)と蛇籠、そして波文が描かれており、一見するとまともな品に見えなくもありません。
この品を見てまず気づくのは、6時の方向の黄色く変色が見られる部分です
この部分は何がしかの技法で直しがされているのは明らかで、陽刻もこの部分だけはっきりしていません。
この直しは樹脂か何かで行われたのかも知れませんが、困ったことに、この部分を指で弾いても、ちゃんと澄んだ音がします。
さらに見込み中央には鉄が飛んだと思われる黒点が見られます。焼継ぎで出来た黒点かと思ったんですが
良く見ると黒いシミのように広がった部分は釉薬の下に広がっていますので
これは焼成時のものと想像されます。
裏面には大きく堂々とした角福の落款があり、表と同様に補修されたと思われる部分に変色が見られます。
この品、小木一良先生の「新集成伊万里」の121頁に同手が掲載されています
この品について小木先生は、「白い波頭が美しい」と紹介しています。
良い品ではあるようですが、残念物ゆえにウチへやって来たとも言えます。