お皿と言えば、一般的には丸皿が多いのは確かですが、250年を越える江戸期の伊万里の中で、最も魅力的な変形皿が多いのは
間違いなく古九谷様式であり、特に色絵古九谷の変形皿は極めて人気が(値段も)高いのは確かだと思います。
ワタシも古九谷様式の変形皿は大好きなんですが、なにせ色絵は高くで手が出ないこともあり、ウチにあるのは染付の品ばかりです。
今回取り上げるのは、そんな藍九谷の変形皿です
「藍九谷如意頭形変形皿」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/80/cd36cf6d5a51e71454dc7707e3165a96.jpg)
薄濃みの美しい横15cmほどの変形皿で、この形はどうやら如意頭をモチーフとしているようです
「如意頭」とは何じゃらホイ、という訳でネットで調べたところ
仏教用具のひとつで、読経・説法の時の講師の僧や灌頂(かんじょう・法を受ける儀式)の時の大阿闍梨(だいあじゃり)などがたずさえる具、が如意だそうで
その柄の先端についているのが「如意頭」だそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/b7/053c93419d6c4a6f4a994ca4d438ca6c.jpg)
形はともかく、この品の見どころは、見込み周囲の墨弾きで輪郭を描き、その中を少し濃いめの染付で塗った蛸唐草の元祖のような文様で
発色の良さも手伝ってなかなかの美しさではあります。
この手の手法を使った品は延宝期以降も存在しますので、時代としてはどんなものかという部分もありますが
裏面を見ると、この品が寛文期あたりの品であることが判ります
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/08/9d07ea7a28c07491058c9b98d744bd75.jpg)
このタイプの裏文様は寛文期に多く、延宝初期の品にも見られるようですが
広く見れば江戸前期、もっと狭めると寛文~延宝期の変形皿といったところでしょうか。
縁文様に比べて見込み部分の文様がわりと凡庸なのは、ちと残念な点ではあります