今回の品は「回想の古伊万里」シリーズとして紹介しますが、実は最近入手した品で、「回想」ではありません
古伊万里を集めるようになって20年以上になりますが、ここ2~3年はいろいろと事情があって「古伊万里らしい古伊万里(?)」を購入していませんでした。
今回は盛期に近い時代の「古伊万里らしい古伊万里」を入手しましたので、早速紹介することにしました。
「唐草に獅子文七寸皿」

見込みを二重圏線で囲み、中央に大きく唐獅子を描き、その周囲を花唐草で埋めた延宝期と思われる七寸皿です
唐獅子文は初期に近い時代から幕末までずっと作られており、人気の高い文様だったようです
この品の存在は随分と前から知っていましたが、当時はこんな立派な品は入手できないと思っていました。

ウチにはあと2枚ばかり、延宝~元禄と思われる唐獅子文の品がありますが、それらを含め多くの品は、これだけ大きく唐獅子を描いていません
(正直なところ小さく絵付けする方が圧倒的に難しいはず)
ただ、この品に関しては、この唐獅子の大きさと首を傾げたような不思議な構図が最大の魅力であるように感じます。

唐獅子の筆致はそれほど細かくはありませんが、適度にユーモラスなのが盛期伊万里における唐獅子の特長でもあります
業者さんは「藍柿」として扱っていましたが、土はさほど良くありませんし、延宝期の上手の染付皿といった感じでしょうか。

裏面は寛文末~延宝期に見られるタイプのもので、この部分だけ見ると寛文様式の名残が感じられます。
20年前の古伊万里の値段を知る者としては、近年の相場の下落は嬉しいような悲しいような・・・。