Diary Of 酒田の人

田舎住まいの60代サラリーマンの趣味の日々

ユーゲニアモルフォ

2019-12-21 21:08:54 | 
 ワタシは蝶に関しては「綺麗だから好き」というレベルの人間でありまして、決して採集家でもコレクターでもありませんので
正直なところ、モルフォ蝶がどれ位の種類いるのかは知りません。
したがって、一般的には青い金属光沢を持たないものの、数が少ないが故に値段の高いモルフォの雌の標本も所有していません。

それはともかく、今回紹介するのはフレンチギアナ産の「ユーゲニア」という種類のモルフォ蝶です。



見ての通り他のモルフォに比べると淡い水色の金属光沢を放ちます。
20世紀初頭、このモルフォは珍品として扱われ世界でも標本の少ない種類でした。
しかし、その実態は朝のごく限られた時間しか翔ばない(6時頃から15~20分程度とか)という習性ゆえに
採集されなかっただけで、実は数も多く珍品でもなんでもなかった、というオチが付きます。



この習性を見つけたのは20世紀前半において世界一の昆虫標本商であったフランス人、ユージェニー・ル・ムールトで
彼はこの蝶をコレクターに高く売るべく、現地の採集人に指示を出しますが、あまりにも多く採れ過ぎて
価格が暴落するという憂き目にあっています。
ル・ムールトは、現地の採集人に高く買うという契約をしたために損をした、と語っているようですが
どうやら実態は、コレクター諸氏に「珍品が入りました、あなただけに特別に譲ります」と言葉巧みに高く売りつけていた
ということのようです。ところが、コレクターの間で「オレも高く買わされた」というような噂が広がり
ユーゲニアモルフォは一般種であるということで一件落着してしまいます。

ル・ムールトについては平凡社から1993年に発刊された「捕虫網の円光」(奥本大三郎著)という伝記本があります。
(個人的にはとても興味深い本でした)



回想の古伊万里 34(初期赤絵四寸皿)

2019-12-18 21:08:46 | 古伊万里
 昨日、初期柿右衛門の四寸皿を紹介しましたが、やはり「初期赤絵」と「初期柿右衛門」の違いは何か?
という大きな疑問を、遅生さんから投げかけられましたので、とりあえず一般的に「初期赤絵」と呼ばれる品をUPしてみました。



昨日の「初期柿右衛門」と違い、余白が少なく、色使いという点でも黄色が使われていません
赤はあくまでも古九谷の時代の赤であり、柿右衛門様式の赤ではありません
さらに、柿右衛門様式に比べると色絵が全体に厚塗りで、古九谷様式に近いことが判ります。
土も柿右衛門のように上質ではなく、成形と言う点でも柿右衛門のように薄造りではありません



伊万里についての本を読むと、柿右衛門の特徴として「輪郭線を黒で書いて中を塗る」という記述を見かけますが
初期赤絵も同じような特徴が見られますので、やはり過渡期的な様式であることが感じられます。



ご覧の通りのニュウがあるキズ物ですが、昔はこの手の品は結構なお値段がしたので
とりあえず一枚欲しくて購入した品です。

回想の古伊万里 33(初期柿右衛門四寸皿)

2019-12-17 20:38:34 | 古伊万里
 古伊万里に興味を持ち、何も判らないのに地元の骨董市や一般向けの骨董入札会に顔を出すようになったのは
今から20数年前だったでしょうか。やがて図録や伊万里に関する書籍を購入して勉強するようになりました。
当時は毎月のように東京へ出張していたので、八重洲ブックセンターで何冊か購入したものです。

やがてHPを始めたのが2004年の6月、そして初めて骨董ジャンボリーへ行ったのが翌2005年のことだったでしょうか(やや記憶が曖昧)
前置が長くなりましたが、今回の品は初めての骨董ジャンボリーで購入した品です。



この品をお世話してくれたのは京都の骨董屋さん(御主人は私と同い年)で、良い品ばかり扱うお店ですので
ワタシに買える品は極めて限られていましたが、その中からこの品を選んだのは、「このお店で一番安かった」からに他なりません。
(ちなみに、誰が名付けたか一部ではこの業者さんは通称「お休み処さん」と呼ばれています)



デザインという面では先日、Dr.kさんがUPされた「色絵草花梅樹文小皿」と共通点がありますので
同じような時代(寛文~延宝初期)といった感じですが、裏面だけ見ると初期赤絵との共通性が高いことが判ります。
そんなこともあって、HPでは「初期赤絵四寸皿」として紹介したんですが、この品をお世話してくれた業者さん曰く「初期柿右衛門です」ということでした
確かに、素地は一般的な初期赤絵よりは白いように感じますし、青の発色も柿右衛門に近いようには感じます。
惜しむらくは見込み周囲にニュウがあるキズ物なんですが、業者さんの「キズ物だけど、なかなか無い良い品ですよ」の一言で購入決定となった品です。




回想の古伊万里 32(百子堂の図五寸皿)

2019-12-13 19:22:16 | 古伊万里
 前回ちょっとだけ予告した「百子堂」のお皿です

この文様は何かの図録で知ったように思いますが、当時は自分が手にするこのとの出来る品ではないと思っていました



「百子堂」とは、中国の宮廷のことのようで、この文様は会議の様子を図案化したもののようです(全人代会議ですかね・・・)
本歌は明時代の染付の小鉢で、その文様を伊万里で写した訳ですが、この文様は享保あたりから登場するように思われます。
「百子堂」とはいうものの、実際に100人も描かれていようはずもなく、数えてみたら全部で42人でした



この品、小さくて良く判らない落款と、裏の様子から判断して、中期末~後期(寛政~文化・文政期)と思われますが
この文様の品の場合、一般的な平皿という器形が意外に少ないようで、小鉢が一番多く、他には変形皿
あるいは珍品では蓋茶碗なども存在するようです。
伊万里でこれだけ多くの人物を描いた文様は他にありませんので、優品ではないものの、ちょっと面白い品ではあります

そういえば

2019-12-09 21:16:48 | 古伊万里
昨日紹介した「騎馬人物文七寸皿」の裏面に描かれている中国人(?)文ですが
確かウチにある品で見たような・・・、と思って探したらありました。
伊万里ではわりと有名な文様である「百子堂」の上の方に描いていある人物がこんな姿をしておりました。

↓がその部分の拡大ですが、「百子堂」は中国の宮廷のことで、そこで会議をする様子を描いた文様ということなので
この人物は偉い人なんでありましょうか。


百子堂のお皿については近日中に紹介する予定です