Diary Of 酒田の人

田舎住まいの60代サラリーマンの趣味の日々

色絵そば猪口3種

2022-10-08 23:45:48 | 古伊万里
 番茶の出がらしのようなシリーズもそろそろ限界ですが、とりあえず今回はウチに数個しかない「そば猪口」から
色絵の品だけを3個集めてみました。そば猪口というジャンルは伊万里では人気の高いジャンルですが
何分にも足を踏み入れたら底なし沼のようなジャンルというイメージがあり、ワタシはずっと「そば猪口は手を出したらアカン」と思っていました。

① 中期(元禄~享保期)の染錦手の猪口で、ワタシが初めて購入したそば猪口です
染付、緑、赤、黄、緑、紫と色絵を駆使した絵付けがされていますが、落ち着いた雰囲気のある品です
落款は普通の大明成化年製で、サイズ的には口径96mmX高さ65mmと大振りです

➁ 赤濃みに窓絵が印象的な品で、こちらも中期の品

赤、緑、紫、そして一部には金彩が使われていますが、こちらも特に派手な印象はありません

落款はなく、サイズ的には口径85mmX高さ62mmと、①に比べるとひと回り小ぶりです
惜しむらくは少々甘手で、トリアシが見られます

③ そば猪口の世界では有名な剣先文の品ですが、時代的には江戸後期の品になります
剣先文の上の部分は無文様の品も含め、いくつか種類があるようですが、この品の場合
剣先文そのものはそれ程丁寧ではありません

縁の内側には瓔珞文が描かれていますが、同じ剣先文の猪口でも、この部分の文様はいくつかバリエーションがあるようです
この品については、内側の底の部分にも文様が描かれています

落款は赤で描かれた渦福で、サイズ的には今回の3種の中では一番大振りで
口径98mmX高さ68mmほどあります

色絵のそば猪口だけ集めようかと思った時期もありましたが、やはり手を出したら底なし沼というイメージ故に
お皿中心で収集というスタンスは変わりませんでした。

唐獅子4態

2022-10-04 22:02:20 | 古伊万里
しぶとく続く古伊万里再編集シリーズですが、今回はウチには4枚しかない唐獅子文のお皿を取り上げます
唐獅子文は人気があったようで、初期から幕末までまんべんなく登場する(柴コレ参照)ようですが
コレクターに人気が高いのは盛期の品ということになりそうです。

① 寛文~延宝初期と思われる七寸皿の作例
初期の花唐草のような文様の中に大きく唐獅子が描かれています

他の時代には見られない大胆な構図で描かれた唐獅子は、かなりインパクトがあります

裏面を見ると、やはり寛文期に見られる特徴が出ています

➁ 典型的な盛期伊万里の唐獅子が描かれた作例

延宝~元禄期に見られる2段に分けて菊形の成形をした六寸皿ですが、土の白さも印象的です

六寸サイズのお皿に見込み部分に三頭の唐獅子が描かれていますが、一頭の大きさは2.5cm程度しかなく、非常に精緻な筆致の絵付けです
盛期の唐獅子の特長は顔がユーモラスな点で、250年に及ぶ江戸期の伊万里の中でも、最も可愛らしい姿をしています。

裏面も盛期らしい丁寧な唐草になっています

③ 盛期よりも若干時代の下がった作例

八角形に整形された小皿で、見込み中央に唐獅子が描かれています

唐獅子の姿そのものは➁の盛期のものに近いですが、細部の描写が省略されています

中期の上手の小皿といった印象ですが、唐獅子文の人気の高さからか、業者さんは藍柿として売っていた品です。

④ 宝暦~天明といった中期後半から中期末の作例

この時代によく見られるタイプの品で、まさに「唐獅子牡丹」というデザインです

唐獅子は金彩で描かれており、中に赤と金の点を散らしていますが、牡丹の大胆さに負けているようで
やはり主文様は牡丹であり、唐獅子は副文様なのかも知れませんね。

裏面はさすがに盛期伊万里のようにはいきませんが、まだ中期の丁寧さを残していますので
宝暦期の品としても良いかも知れません。

古伊万里とは関係ありませんが、高倉健の「昭和残侠伝 唐獅子牡丹」は大好きな映画です。


古伊万里らしくない古伊万里

2022-10-02 00:39:47 | 古伊万里
 またまた古伊万里再編集シリーズですが、今回は一見すると古伊万里には見えない(と思う)お皿を二枚取り上げます。

まず一枚目は幾何学的なデザインの五寸皿です

一見して古伊万里とは思えないモダンで幾何学的なデザインで、紗綾形文様 の部分は型紙摺りのようですが
それ以外の文様はそれぞれ同じではないことから、手描きの可能性が高いように感じます。

絵付けするのにそれなりに時間がかかりそうですが、あまり見かけないタイプの品のように思われます
今から10年ほど前に滋賀県の業者さんから何枚か出品されましたが、以後は見たことがありません。

表と比べ裏面は中期末~後期の古伊万里の姿をしており、裏文様はなく、落款は後期を代表する「乾」です。

続いての品は色絵の尺皿です

こちらも一見すると西洋のお皿のような雰囲気を持っています
朝顔のような花と良く判らない花が、青、紫、白で絵付けされ、葉は緑で絵付けされ
さらに文様のの隙間の部分を青手古九谷のごとく、中期末に見られる中間色の緑に塗っています。
青い花はかなり厚塗りです

紫の花は薄塗り

この品にとって重要なのは白い花でありまして、塗り残しの生地の白ではなく、白い釉薬で絵付けされています
色絵を盛り上げたように絵付けする技法は、清朝磁器の粉彩に影響を受けたものらしく
何かの書籍で、天明~寛政期に技術導入されたと読んだ記憶があります

一枚目のお皿と同様に、裏面は「古伊万里です」と言わんばかりの絵付けです
この品も落款は「乾」です。
この尺皿と同手が今年ヤフオクで出品され、1万円に満たない値段で落札されていましたが(入札するか迷いました)
経済的な価値とは別の魅力のある伊万里であると、個人的には思っています。