昨日7月5日に2級建築士学科試験が行われました。今年は計画と法規が難しく、構造と施工は易しかったようです。
私は構造担当なので、構造についてコメントしたいと思います。
まず全体的に過去問をしっかり理解していれば20点ほど取得可能な問題構成でした。直前講習では過去何度も出題されている部分について、総復習の講義を行いましたが、そこから見事に出題されていたため、直前講習に参加された方はみなさん構造で好結果を出せたのではないでしょうか。
No.1:3 偶力のモーメントについて。これは講義で何度も(反力や応力の話の中でも)触れていたので、とてもラッキーな問題でした。偶力のモーメントは回転中心がどこであっても同じであるということをしっかり覚えていた方はまず1、2、4を消去。残り3は時計回り、5は反時計回りのどちらか、という判断は、力の組合せが↑↓から時計回り。何も計算せずに3が選択できます。
No.2:5 断面二次モーメントの問題。差の部分だけ出せばいいので、重心軸の10×60の断面がふたつと考えれば簡単です。
No.3:5 応力度の問題。単純梁+集中荷重(しかも梁中央)なので、直前講習で復習したので曲げ応力度は大丈夫でしょう。しかし問題はせん断応力度。長方形断面の時の係数κ=1.5を覚えていたかどうか。それによって3か5か迷ったのではないでしょうか?最大せん断力は、Q図が描ければ出せるので6kNはすぐに出たと思いますが。
No.4:3 応力の問題。ある点Aの曲げモーメントを求める問題です。単純梁ですが支点の両サイドが張り出していて、その右先端に等分布荷重がかかっている点が少し目新しいですが、いつもの手順通りに計算すれば正解できたと思います。
No.5:3 段違いの単純梁系ラーメンの反力の問題。これも何回も練習していたので簡単だったと思います。
No.6:2 トラスの問題。平行弦トラスの弦材と縦材ですが、NBについては斜めに切断しても切断面が4つになってしまい、応力系のつり合い式では解けません。ただ、中央上の荷重Pのかかっている節点のつり合いに注目すれば荷重PとNBがΣY=0のつり合いより釣り合っていて、その結果NB=-P(圧縮)であることはすぐにわかります。
NAとNCについては素直に縦に切断してΣM=0の式でも解けますし、0探しとクレモナの組合せでNC=+1.5P(引張り)を導きだすことも容易です。
No.7:1 座屈の問題。オイラー式を覚えていれば簡単な文章題でした。
No.8:2 荷重・外力の問題。積載荷重について。直前講習で1はしっかりと確認しましたし、その部分の講義の流れで、事務室>教室>住宅となるのはなぜか?というお話をしたので、2の百貨店と言われても応用できたのではないでしょうか?また3、4、5についても、模擬試験で出題があったため、直前講習の中で言及していました。
No.9:5 荷重・外力の問題。地震力。これも直前講習で1~5までしっかり復習していました。特に多雪区域の長期及び短期の係数が出題されるのですよ、と5の部分をしっかり復習していました。3については見かけない言い回しをしているので少しびっくりしたかもしれません。
No.10:4 基礎・地盤の問題。1、2、4については直前講習でやりました。また3については模擬試験で出題があったので復習していたらできたはず。5は本講義でしかやりませんでしたが、覚え方をやっていたので難しくはないはず。
No.11:3 木造の部材名称。1の地貫、2の鼻母屋、5の栓はやりませんでしたが、3の面戸板は、桁の上の垂木と垂木の間をいちいち塞ぐのが「めんどい」から面戸板~とオヤジギャグを言っていたので、妻側じゃないなあと思っていただけたのでは?
No.12:1 木造耐力壁の問題。4、5は目新しい問題ですが、1が明らかに不適切なので選べます。1、2、3については直前講習でやりました。
No.13:5 補強コンクリートブロック造。1、2、4は直前講習でやりました。3と5の細かい数字ですが、2×4が40㎡、CBが60㎡と比較して覚えましょう、と言っていたので72なんてハンパな数字はなかったはず、、、と思っていただけたでしょうか?
No.14:2 木造金物。これは本講義でさらっと通り過ぎてしまったので、忘れちゃった方もいたかも。テキストにはしっかり掲載されているのですが。。。
No.15:1 鉄筋コンクリート造。1、3、4、5の選択肢については直前講習で復習しました。1については全く同じ問題でしたよね。2についても本講義の中で取り上げていました。
No.16:3 鉄筋コンクリート造。1、3については直前講習でやりました。3は全く同じ問題。4についても本講義で触れていました。1と5は目新しい問題でしたが、3が明らかに不適切なので助かりました。
No.17:4 鉄骨の問題。これは難問です。これはできなかった方が多いのではないでしょうか。1はテキストには記載がありますが、講義で取り上げることはありませんでした。2は力学の座屈についての理解が十分であれば理解できる内容ですが、文章題として鉄骨のところに出てくるとは。。。3は全くの初出。4も直前講習で、幅厚比が大きくなる=うすべらったくなると座屈しやすい、という解説はしたのですが局部座屈と強調していなかったので、難しかったかも。5は直前講習でやりました。
No.18:2 鉄骨の溶接の問題。2、3、4については直前講習でやりました。2については全く同じ問題!1、5はあまり見かけない問題でしたが、2が明らかに不適切なので助かりました。
No.19:3 構造計画の問題。1は直前講習ではもっと砕いた言い回しで解説していたので、出題の言い回しが複雑で混乱したかもしれませんが同じことを言っています。2と5は直前講習でやりました。3は直前では鉄骨の筋かいとその接合部、ということで材よりジョイントが先に壊れてはダメというお話をしたので、材よりもジョイントの方が強い=耐力が高い必要があると理解いただけていたら、正解できたはず。4は初めて見る言い回しかも。
No.20:4 木材の腐朽に関する問題。1、2、3、5とも初出ですが、4の水中に完全に没している木材には酸素が供給されないため、生物活動である腐朽はおこりにくい、という話を本講義でしました。
No.21:1 コンクリートの性質。1と2は直前講習でバッチリやりました。3、4、5については本講義でふれました。1は繰り返しやっていたので明らかに不適切がすぐに選択できたのではないでしょうか。
No.22:1 直前講習で高炉セメントを用いたコンクリートは普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートよりも強度発現が遅い、というのをやりました。その時に早強と比較して、粒の大きさが違うので水和反応の早さ、激しさが違うのだ、という解説をしてあったので、できたのではないでしょうか。
No.23:4 鋼材の問題。1、2、3については直前講習でやりました。4はテキストには掲載がありますが講義ではふれていませんでした。しかし5が明らかに不適切というのは直前では全く同じ文章で!やっていましたし、何度も言及していたので、選択できたと思います。
No.24:3 材料の問題。3が明らかに不適切というのは本講義の最終回、科目仕上テストの時に大理石は酸に弱いから大理石のお風呂を設計したらドメストで洗っちゃダメですよ~と言っていたので覚えていていただけたのでは?
No.25:4 ガラスの問題。これも科目仕上テストなどで何度も合わせガラスと複層ガラスについてやっていたので簡単でした。
文章題18題×5選択肢=90選択肢のうち、36選択肢、すなわち40%の選択肢が直前講習で復習したものでした。
というわけで、今年の構造は易しかったので、みなさん構造で得点が稼げたのでは?
私もホッとしました~。
みなさまお疲れさまでした!さあ、製図に向かってGO!!デスネ~。