12/3木曜日、平成21年度2級建築士合格発表がありました。
今回は初めてのRC3階建てでしたし、1級の士法改正にともなう試験の変更のあおりをどう受けるのか、など、不安な発表でした。
詳しい分析はSS学院HPにありますが、
合格率は53%で昨年よりも1ポイントアップ。
ランク2の不合格者が16.7%で昨年から倍増。その分ランク3と4の不合格者が減少していて、作図量が少ない分みんなが描き上がったけれど、惜しくも不合格の方が多かった。という結果となりました。
惜しくも不合格ということは、たくさんあった要求を正確に読み取り、表現できなかったことによる不合格ということで、大変厳しい試験だったと言えるでしょう。
私の教えていた方々でも、受かるだろうなと思っていた方数名が落ちてしまいました。
しかしその詳細は不明で、例えば、売り場が奥へ行ってしまったのがマズかったのかと思えば、同じようなことをしていても合格している方がいらしたり、住宅へのアクセスが狭いのがマズかったのかと思えば、やはり同じようなことをしていても合格していたり。。。
ただ、確実に言えるのは、図面のきれいな、手慣れた印象の方は、エスキスが怪しくても合格していて、図面が雑な方、読みづらい文字の方、図面密度の薄い方は不合格になりがちであるということです。
文字など、数十年の人生の中で形成してきた部分を修正するのは大変困難なのですが、やはり製図用の角ばった読みやすい文字数字が描けるように、練習が必要かと思います。
また、講座をお休みしてしまった方、宿題の提出率の悪い方はやはり不合格になってしまったようで、やはり世の中真面目な人が勝つようにできているのかもしれません。
お仕事をしながらの勉強ですし、家族のある身であったりもしますので、講座に全出席し宿題を全提出するというのは非常に厳しいことであることはよくわかるのですが、結果を見てしまうと、やはり厳しい試験には厳しい状況を乗り越える力が要求されているのだなあ、と感じずにいられません。
また、後半馬力を入れてがんばった方でも惜しくも不合格の方が何名かいらして、大変残念に思い、がんばりを知っているだけに、悔しくなるのですが、やはり前半に気を抜いてしまうと、なかなか追いつけなくなるのだと言うことかもしれません。
私も今回のことを反省して、来年度はまた心機一転がんばるつもりですので、残念ながら落ちてしまったみなさんも、ぜひ、気落ちせず、心機一転がんばっていただきたいと思います。きっと今度は木造ですね。
また、多くの合格された方々、おめでとうございます!今後のご活躍をお祈りしております。合格祝賀会でお目にかかれることを楽しみにしております♪
ツチヤ学部長の弁明 (講談社文庫) 価格:¥ 560(税込) 発売日:2006-10-14 |
ツチヤ学部長の弁明 土屋賢二
私の母校の教授のエッセイなので、図書館で借りてみたのですが、爆笑モノです。電車の中で読んでいて、吹き出しそうになったり、ニヤリとなってしまって困りました。
私がいた頃からいらした名物教授なので、講義を受ければよかった。講義もこんなふうにふざけた面白いものだったのでしょうか???新(中高の友人)は受けていたはず。
それにしても、ツチヤ先生の奥様というのはどのような方なのか?こんなに書かれてしまっても平然としておられる、実に度量の大きな立派な方に違いない、と確信してしまいます。また、同じく、こんなに書かれているにもかかわらず、それを大学の発行物やホームページに掲載しているわが母校O女子大の度量の大きさにも敬服します。
とはいうものの、こき下ろしているようにみせて、読者が反対に「こんなこと書かれているのに、当事者はなんて度量が大きいのだろう」と好感を持つことを見越しての、ツチヤマジックなのかもしれませんが。。。
たびたびでてくる「これに食べ放題を加えたら満足だろう」という女性観のところでは、もう、大笑い。もしかしてツチヤ先生、O女子大卒業生(通称「中文のゆかいな仲間たち」)のメールのやりとりを盗み見てませんか???爆!
第4回JIAトークへ行ってきました。今回は江戸学の田中優子先生のトークです。
ひと言で言うと、江戸は循環型社会。何を作るにも、採取するにも、必ず翌年、めぐってくる未来のことを考えて、取り尽くすというようなことはせずに、計画的に採取し、資源を徹底的に使い倒し(例えば着物は着物→古着→端切れ→灰→肥料)、最後の塵芥灰までも肥料として使うことで、次の収穫のために役立てるという徹底ぶり。
それが明治維新以降、欧米化によって直線型社会になってしまった。直線型社会というのは、今のうちに取っておかないと、という発想の社会なので、取り尽くし、使い果たし、現在に至ると、、、。
それをまとめた近著が「未来のための江戸学」だそうです。
未来のための江戸学 (小学館101新書 52) 価格:¥ 777(税込) 発売日:2009-10-01 |
お話が面白かったので買って読んでみようと思っています。
田中先生は法政大学でカムイ伝を使った講義もされているそうで、カムイ伝も読んでみたくなりました、、、が長い、、、し、高いではないの!
カムイ伝全集―決定版 (第1部1) (ビッグコミックススペシャル) 価格:¥ 1,260(税込) 発売日:2005-09-30 |
また、面白かったお話は、中国から活版印刷が伝わってきたものの、それでは大量に印刷することができない、、、ということで、江戸時代は版木による印刷が広まった。版木による印刷というのは、木版画のようなものなので、絵と字が一緒に印刷できる。それによって急速に普及したのが黄表紙と呼ばれる絵本。これがジャパニーズコミックの先祖だというお話。なぜ、日本はこんなにもマンガ王国なのか、その根は江戸時代にあったというわけですねえ。面白い。
最近、マンガや小説、テレビドラマなどで戦国から昭和にかけてのものを楽しむ機会が多く、江戸にも非常に興味があるので、大変楽しい講演会でした。
ところで、いつも思うことではありますが、たしかに循環型の江戸時代はいい時代だと思うのですが、私たちは便利な世の中になれきってしまって、今更戻ることはできない。どうしたら「未来のため」に「江戸学」を活用することができるのでしょう?
この答えはこの本を読めばわかるのでしょうか?
そしてまたいつものように痛感することですが、江戸時代の人々はすごい。何でも自分でやってしまうんですよね?
半加工の食材をスーパーで購入して、ちゃちゃっと調理し、着るものは全て購入し、電化製品をフル稼働させて家事をこなし、パソコンとネットに頼って仕事をしている身としては、もしも何かのきっかけで江戸時代にワープしてしまったら、と考えるとおそろしくなります。おそらく赤ん坊のごとく無力な自分が情けないです。着物も縫えなければ、味噌を作ることもできません。CADで設計ができたところで、江戸時代に何を生業としたらよいというのでしょう?
明治以降の近代化で、私たちは極端な分業システムを構築し、便利な生活と引き換えに、さまざまな技能を手放してきたということですね。
気持ちの中では、いろいろなことを丁寧に手作業でやる生活に強い憧れを抱きますが、時間に追われる毎日の中では実現不能。
でも、江戸時代だって1日は24時間だったはず。便利なはずの機械たちに、いつのまにか時間を喰われているということなのでしょうか。。。
11/28、住居の会の見学会で東横線の地下化工事現場を見学してきました。
道路の中央分離帯にある不思議な出入り口から業務用のエレベータで地下22mに潜ると、そこは別世界。
オレンジ色の垂れ幕の下、2本の線路が∞マークのような形になっています。これがシールド工法という方法で掘られているトンネルなのです。
このタコのようなものがアポロカッターで、このアポロカッターが遊園地のコーヒーカップのような動きをすることで∞の形状に掘り進んで行くことができるのです。
(これは事前に現場事務所で拝見したスライド映像です。実物は現在このアポロカッターを先頭にして掘削中なので、お尻部分しか見ることができないのです。)
円形のほうが力学的に強いし、カッターの動きも簡単なのですが、都市の地下には上下水、電気、ガス、ビルの杭、、、など様々なものが埋設されているので、できるだけ小さな断面にする必要から、この∞形状になったとか。
しかもこのシールドマシンのすごいところは、単に掘るだけではないのです。掘った後、土砂を後方へ排出するのはもちろん、掘りながらどんどんセグメントと呼ばれるプレキャストコンクリートのパーツを組み立てて行くので、このマシンの後ろがすぐにトンネルとして完成していると言う仕組み!!すごい!幅1.1mのセグメントを、1日に7ツ分掘り進んで行くそうです。現在ちょうど渋谷から代官山の中央、並木橋あたりを工事中、、、と先週言っていたので、12/4現在ではさらにそれから50mほど掘り進んでいるはずです。
見学後参加した小学生から鋭い質問が!
「工事が終わった後、このシールドマシンはどうなるのですか?」
おお!「マイク・マリガンとスチームショベル」のメアリ・アン(※1)を思い出す!!
担当者の回答は「シールドマシンの本体の鉄板は12㎝の厚さがあるのですが、それはそのままトンネルになります。内部の部材はばらして搬出し、再利用します。」とのことでした。なるほどーーー。
∞の中央の部分には補強のために450□ほどの鉄骨の柱が1.1mピッチで林立しています。セグメントはボルトでドライジョイントされていますが、継手は弱点になりやすいため、目地を揃えず千鳥に乱張りしています。
緩やかなカーブがきれいですね。
現在敷設されているレールはセグメント運搬用車両のもので、東横線のレールはもっと幅の広いものだそうです。H24年に完成し、H25年の3月までのいつか、ある1日を境に、東横線が突如地上から姿を消す予定だそうです。切り替え時はマニアが集まるので、極秘だとか!電車が止まるわずか2時間半の間に、テキパキと地下化が勧められるそうです。なんだかマジックのようですね~。
普段都市で生活していても、地下でひっそりと着々とこんなことが行われていようとは、、、まったく気付きませんでした!
安藤忠雄の渋谷駅も、実はまだ半分しか完成していなくて、この、東横線地下工事が終了する時に全貌が明らかになるそうです。
楽しみデスね!
※1「マイク・マリガンとスチーム・ショベル」バージニア・リー・バートン著
蒸気式のシャベルカー、メアリ・アンとその運転手マイク・マリガンが市庁舎建設のために地下を掘る工事をするのだが、最後あなからでることができなくなってしまったので、市庁舎の地下でボイラーとして余生を送ると言うお話の絵本。
マイク・マリガンとスチーム・ショベル 価格:¥ 1,575(税込) 発売日:1995-03 |