川柳すずか ３１３（令和２年１月）号掲載句

<すずか路>

　　おひさまに当てておかねば枯れる母

　　老犬と老母わたしの身の一部

　　半世紀経た母の着物に袖とおす

　　ひきだしを増やしてまるく老いてゆく

　　先はどうあれたしかな今日をともに生き


<課題句>

　「失敗」　（吉崎　柳歩　選）

　　失敗はもうゆるされぬツーアウト

　　お別れに涙は見せぬはずだった


　「腕」　（木村　行吉、小出　順子　共選）

　　親の腕子を抱くために太くなる　（小出　順子　選）

　　血管と腕の太さは比例せぬ　（小出　順子　選）


<自由吟>　（日野　愿　選）

　　プライドが傷つく認知症検査


<誌上互選>

　「馴染む」

　　おなじみの酒で今夜を締めくくる　（４点）

　　あたらしい靴をゆっくりなじませる　（１点）


<「すずか路」前号鑑賞>　３１２号より　　（大野　たけお）

　　よくなれと祈っては刺す注射針



　　　
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