さくら・ことのは~川柳の部屋

言の葉はこだまことだまものおもひ…五七五の部屋へようこそ。

川柳すずか303(31年3月)号&アルスすずか22掲載句

2019-03-13 | 川柳すずか

300号突破記念の合同句集が編集された、
ふだんより分厚い「川柳すずか」が届きました。
今回のたかこさんの表紙絵は、いつもの和服ではなく洋装の女性。
意志のある目が印象的な、うつくしい女性です。

<すずか路>

  老犬に初めて服を着せた冬

  待つ犬が帰りの足を急がせる

  もの言わぬ犬とこんなに通じあう

  期待した犬のしっぽは裏切れぬ

  愛犬の飼い主だけに見せる顔


<小休止> 前月号より推薦句 

  ラスカルのようには飼えぬあらいぐま (佐藤 近義 選)


<すずか路 前号鑑賞 302号から> (西山 竹里)

  森の熊ヒトに出くわしたくはない  


<課題句>

 「滲む」 (青砥 たかこ 選) 

  和服着たうなじににじみ出る色香 

  追伸に未練が滲みだしている

  にじませた絵の具優しい嘘をつく


 「喧嘩」 (芦田 敬子、川喜多 正道 共選)

  喧嘩する前に引いてはたまる鬱 (川喜多 正道 選)

  おお寒い喧嘩相手はもういない (川喜多 正道 選)


<自由吟> (吉崎 柳歩 選)

  シエスタと言えばオシャレになる昼寝 


<誌上互選>

 「レンタル」

  貸し借りの時代もあった味噌しょうゆ (9点)

  謳歌するいつかは返すこのいのち (5点)


<300号記念合同句集より>

*201号~300号までの自選7句

  サンプルをどうぞのあとが高くつく

  お手入れでまだまだ動く中古品

  本当に滑るか見たいさるすべり

  傾いた月はだれにも止められぬ

  こわいのは薬のこわさ知らぬ医者

  薬草を薬草にするさじ加減

  ちょい飲みですぐによくなる血の巡り


*エッセイ「忘れ得ぬ1句」

  果てる日の花は椿と決めている  岡部 英夫

  川柳を始めるきっかけとなったネットの掲示板で、
 長らくお世話になった岡部英夫さんの1句。
  検査入院前に「ちょっと行ってきます」の言葉を残し、
 帰らぬ人に…。
 何があったかは、今も知らない。
  私の父も、思いがけぬ病でこの世を去る最後の日まで
 父らしく生き、潔く果てた。
 いつか来るその日は、私もそうありたいと願っている。


「アルスすずか」22~自選2句

  ついてくる影はむやみに切りとらぬ

  地図のない森で五感を研ぎ澄ます



みなさんの「忘れ得ぬ1句」とエッセイ、
おひとりおひとりに親しみを感じながら、
楽しくじっくりと読ませていただいております。



   
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