300号突破記念の合同句集が編集された、
ふだんより分厚い「川柳すずか」が届きました。
今回のたかこさんの表紙絵は、いつもの和服ではなく洋装の女性。
意志のある目が印象的な、うつくしい女性です。
<すずか路>
老犬に初めて服を着せた冬
待つ犬が帰りの足を急がせる
もの言わぬ犬とこんなに通じあう
期待した犬のしっぽは裏切れぬ
愛犬の飼い主だけに見せる顔
<小休止> 前月号より推薦句
ラスカルのようには飼えぬあらいぐま (佐藤 近義 選)
<すずか路 前号鑑賞 302号から> (西山 竹里)
森の熊ヒトに出くわしたくはない
<課題句>
「滲む」 (青砥 たかこ 選)
和服着たうなじににじみ出る色香
追伸に未練が滲みだしている
にじませた絵の具優しい嘘をつく
「喧嘩」 (芦田 敬子、川喜多 正道 共選)
喧嘩する前に引いてはたまる鬱 (川喜多 正道 選)
おお寒い喧嘩相手はもういない (川喜多 正道 選)
<自由吟> (吉崎 柳歩 選)
シエスタと言えばオシャレになる昼寝
<誌上互選>
「レンタル」
貸し借りの時代もあった味噌しょうゆ (9点)
謳歌するいつかは返すこのいのち (5点)
<300号記念合同句集より>
*201号~300号までの自選7句
サンプルをどうぞのあとが高くつく
お手入れでまだまだ動く中古品
本当に滑るか見たいさるすべり
傾いた月はだれにも止められぬ
こわいのは薬のこわさ知らぬ医者
薬草を薬草にするさじ加減
ちょい飲みですぐによくなる血の巡り
*エッセイ「忘れ得ぬ1句」
果てる日の花は椿と決めている 岡部 英夫
川柳を始めるきっかけとなったネットの掲示板で、
長らくお世話になった岡部英夫さんの1句。
検査入院前に「ちょっと行ってきます」の言葉を残し、
帰らぬ人に…。
何があったかは、今も知らない。
私の父も、思いがけぬ病でこの世を去る最後の日まで
父らしく生き、潔く果てた。
いつか来るその日は、私もそうありたいと願っている。
「アルスすずか」22~自選2句
ついてくる影はむやみに切りとらぬ
地図のない森で五感を研ぎ澄ます
みなさんの「忘れ得ぬ1句」とエッセイ、
おひとりおひとりに親しみを感じながら、
楽しくじっくりと読ませていただいております。

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