ひと月のうち、パキッと元気な日はほとんどない。
午前中は良くても午後からダメとか、
午前中がひどくて午後からOKとか、
半日はとりあえず大丈夫かな……、ってカンジ。
ただ、朝からダルくてもやらなきゃならないことが待っている。
動くとそれなりに体も順応していく日は、
ちょっと頑張っちゃう。
すると、後でどこかがコワレる。
毎日そんな繰り返し。
それでも少しでも体調が良ければ動かなきゃって思う。
今度でいいやと思っていると、チャンスを失うかもしれないし。
休み休みって感じで。
予定の入っている日は、それに向けて体を休めておく。
休むのも準備のひとつ。
先日のこと、
母が自分の顔を見ながら
「生気が無くて死んだ人の顔みたい。そろそろ死ぬんじゃないかい?」と言った。
自分大好き人間の母は、部屋に鏡を何個も置いてある。
ベッドの脇にそれぞれ3つずつ、テレビの横に2つ、
壁に貼りつけるタイプの姿見……
そんなに自分を見ていたい???
部屋に入りきらない大きな鏡もあって、
それは畳1畳ほどある。
置く場所がないので居間に置いてある。
他に三脚で立つ姿見もあって、置く場所が無く
なぜかM達の仕事部屋に置きっぱなし。
Mの行動範囲に母の鏡だらけで、
いちいち自分の姿が映って邪魔でしかたない。
それだけ自分の顔を知りつくした母が
自分の顔を見て「死人の顔のよう、そろそろ死ぬかも」と言ったので、
そうかなぁ? と思いながら母の顔をみるんだけど……。
ただトシをとっただけの顔で、まだまだ長生きしそうに見える。
で、Mは母に言う。
「死ぬ、死ぬ、と言う人に限って長生きするんだから」
すると母は
「いや、あと2年くらいしか生きないと思う」と。
ん?? あと2年?
……そうなんだ。
ビミョ~~~……
いや、別に母の死を願っているワケじゃない。
死ぬ死ぬって言うから、今スグのハナシだとばかり思って焦っちゃった。
ちょうど良い機会だったので、Mの考えていることを母に言った。
「悪いけど、順番は守ってね」と。
要するに私より先に逝って欲しいと。
「もし、アナタよりもMが先に死んだときは、自分から『ホームに入る』って言って。
Mがいなくなったら、ダ―や子ども達と一緒に住むことは考えないでほしい。
間違いなく共倒れになるから」と。
これ、本当に切実な問題。
ダ―は優しいからMが居なくなった後も、母と同居しようとするだろう。
そうなると娘に負担が掛かる。
年頃の娘が父親や祖母の世話のために短い若い時を使ってはいけない。
母は自分のことだけはなんとかできるだけの財力があるので、
そこはお金で解決してもらうしかない。
Mがいなくなった後、
息子はもう結婚して家庭があるのであまり心配していないけど、
娘はこれからの人間。
自分の人生を自分で切り開いて上手に生きていってほしい。
ダ―には再婚してもらいたいし、自分のことは自分で出来る人なので、
普通に生活していくことに関しては心配していない。
ただ、ダ―も娘も責任感ハンパないからとっても心配……。
なので、母に言っておかなきゃならないことだった。
せっかく終の棲家を見つけたと思っている母にとっては残酷かもしれないけど、
現実問題としてあり得ない事でもないから。
素直に「そうする」とは言ったけど、施設を探すのも大変だろうなぁ。
ま、これから起こり得る可能性のことだけど、どうなるかは誰にもわからない。
分らない事を心配して悩む時間は無駄ダ。
Mは頑張って母より長生きしなきゃ……と思うだけ。
順番は守りましょう。