歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

ひょろり

2009年07月02日 | 徒然 -tzure-zure-
仙川で、素敵な ”庭” を見つけました。



コンクリート塀沿いに、見事な一列に きれいに並んだ
「ひょろり」とした花たち。

ほんとに几帳面にずらりと、整列しています。


パッと見、
コンクリ塀の足下から 雑草のように
わんさか生えてしまっているかのよう。




でも実際は、
丸い植木鉢を、それこそ同じ規格サイズのものを揃えて、
ピシッと、キレイに整列させているのでした。



そして
庭の”主”の几帳面さがうかがえるのは、鉢の並び のみならず。


お分かりになりますか。

「ひょろり」と 花の柄が伸びるタイプの花を、取り揃えているのです。



この涼しげな澄んだ淡い青の花は、
 アガパンサス。

  Agapanthus africanus
  別名:紫君子蘭(むらさきくんしらん)
  ユリ科アガパンサス属/アガパンサス科アガパンサス属
  宿根草


この名前って、ギリシア語の「αγάπη/Agapee(アガペー)」から来ているのです。

意味は、
キリスト教進学概念における「神の(人間に対する)絶対的な愛」のこと。

もっと詳しく知りたい方は、こちら↓をご覧下さい。
「アガペー」解説(wikipedia)


そして、南アフリカ原産だから、「africanus(アフリカヌス)」。


「アフリカ生まれの愛の花」ということになるんでしょうね。

なんでこの花が、そんな大層な名前になったのかは、わからない。

カンカンの陽射しの下よりも、
半日陰でひっそり ひょろっと咲いている という印象があります。




 
そのお隣には

夏の太陽にふさわしい、



透明感のある黄色が まぶしくも上品な、
ユリに似た花。

これは、

 ヘメロカリス。

 Hemerocallis spp.
 ユリ科

 別名、「デイリリー」と言います。咲いたら一日で終わってしまうユリだから。

 でも、次々に 代わる代わる、咲き続けます。
 またの名を、「忘れ草」とか、「ニッコウキスゲ」とか。
 品種改良で出来た園芸品種で、
 「ヘメロカリス」と一口に言われるものも、詳しく見ると色々と分類されるようです。



そのお隣は、

白いクリナム。



 Crinum spp.
 別名:ハマオモト/ハマユウ
 ヒガンバナ科クリナム属

 (※お花teacherのご指摘により、「白いアガパンサス」と書いていたところを訂正しました。有り難う存じます。)


黄色と白(&葉っぱの緑)って、

お互いにとてもまぶしい、強い色なので、ぶつかり合いそうなものですが、

「ひょろり」としたもの同士だからでしょうか、

全体として、そんなにうるさい感じがしない。

そよそよと、風を感じる体つき。良いですね。




そして



ギボウシ。

 Hosta spp.
 ユリ科  宿根草




純白に、ムラサキをうっすら挿し色。。。なんて涼しげ!


夏の日陰の、湿ったところに、よく見かけます。

色といい、
咲き方といい、
ひょろり具合といい、

ほんとにクールビューティーな風情。暑い夏・重い梅雨のさなかにも、
彼らの姿を認めると、すぅ っと、 心がそよ風になびきます。


コンクリ塀に密着したラインガーデンだということも忘れさせる

すずしげな風景。。しばしのんびり。


と そこへ



”主”が登場。


お花の手入れを始めました。
「花ガラ摘み」、つまり、終わった花を摘み取っていく作業。


「きれいですねー、ここ!」と言ったら

「ふ、ふ。」と、小さく笑いました。


そして



黙々と、花の世話を続けるのでした。


梅雨の味/味の風景

2009年07月02日 | 徒然 -tzure-zure-

降りそうで、降らなかったり。

なんとなく、降ってみたり。

今年の梅雨は、ずいぶん控えめですね。





そういえば「つゆ」って、

なんで「梅の雨」なのか??、、、ご存知でした?


それは、

「梅の実が熟す頃に降り続く雨」だから

 なんですって。

『二十四節気でわかる園芸作業』(山田幸子著・主婦の友社)
を読んでて、ついに知りました。
そういえば、ふと疑問に思いながらも、ついつい調べもせず、

梅雨が終われば疑問も忘れて、やり過ごして来たのでした。

なるほどなるほど。一件落着。





大家さん(80歳)が、
自家製の白菜の浅漬けをくれました。


これ浅漬けで、味が薄いんだけど、隠し味してるの、なにか分かる?


なんだろう。わからない。さっぱりしてる。



正解は、
「梅酒」でした。


なんでも手作りで作ってしまう、料理上手の大家さん。

まさかやっぱり、梅酒もご自分で?

と訊いたら、

あいにくうちの梅は紅梅で、実がつかないの。これは、いつも梅が出来たら送ってくれるお友達がいて、
そのお友達が作った、梅酒なのよ。


言われた途端に、なんとなーく感じていたさっぱり感 の正体が、バチッと分かって、
ああほんとだ、梅だ!梅ですね!

なんて。


長年なぞのままにしていた、
梅雨がなぜ「梅+雨」なのかということも 絶好のタイミングで、やっと明らかになったところで。


このさわやかな酸味のある甘さは、じめじめとしてるこの季節には、特に良いですよね。



こんなふうに

机上の知識ばっかりじゃなかなか覚えられないけれど
食とか、身近な生活に密着すると、植物も、するするっと覚えられるものですよね。


例えば、
ハーブとか、果物とかね。


それまでは、道すがら 通りすがっても何にも注意を払ってなかったのに、



あ、おまえ「スダチ」だったのか!

その存在に気づいた途端に、一気に親近感が湧く。
それまで、まったく何でもなかった、ただの「なんかの樹」だった、木に。


 スダチ (酢橘)

  Citrus sudachi
  ミカン科ミカン属
  「酢橘(すたちばな)」から、「スダチ」という呼称になったようです。
  徳島県が名産地。
  花は5-6月、実は秋に。
  ということなので、、、見かけたこの果実は、未熟モノか、もしくは、スダチじゃない、別モノか?



つるつるの冷やしうどんに、大根おろしをのせて、すだちをひとしぼりして、
食べたい。。。



ムラムラしてしまいます。


危うく、

もぎたくなりました。




このスダチのある庭の前の道は、もはや、

「ばくぜんとした、なんてことない風景の一部」なんかでは、ありません。

「無題の風景」では、なくなったのです。

ここは「スダチのある風景」。


通るたびに、チェックすることになるでしょう。




ハーブも、
夏の盛りということで、道端に、ごっそり威勢良く生えていますね。

もう はみだしちゃってます。



ミント。


道にワッサーとはみ出るほど繁ってるんだから、ちょっとくらい摘んでも、よさげだよね。
なんて思ったりしつつ

葉っぱをごしごしっと指にこすりつけて、
香りだけ、うんとたっぷり、頂きます。


色んな種類のある中で、さて、なんのミントでしょうか。
ちゃんと確かめず、先を急いでしまいました。




先を急ぎながらも、ちょっとぼんやり考えてしまいます。


梅酒に あのミントを浮かべて飲んだら、美味しいだろうな、、、。

と。



「美味しそうなもののこと」を もやもや~と 空想したりしてる時 って、

「飢餓感」も 実際問題 たしかにあるけれど、

案外、

幸福感や恍惚感に たっぷり満ちている瞬間ですよね。うっとり、として。



そんな風にぼんやりしてたら、

梅雨も たちまち終わってしまうんじゃないでしょうか。


とりあえず

六月は、終わってしまいました。


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