歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

one day akita ~5:ラストフリオ

2010年08月22日 | 旅録 -travelogue-
一ヶ月経ちましたが:7月18日の秋田一日旅。

最後の目的地:フリオカフェへ。



去年贈った もりっちの絵はがきが、メニュー台紙に!

こういう、嬉しい再会から始まりました。


フリオカフェ、閉店前夜。



いつもと変わらぬ、フリオの風景。





「7月19日をもって、閉店します。」

それを聞いた時から、

「行きたいなあ、だがしかし、秋田、遠いし、、無理かなあ、、、」

という、当然湧いて出る“諦めモード”の想いは、
ある瞬間に

「いや!どうしても行かねば!
 今行かねば、絶対、悔やむ。」

と、
強いものに ひっくり返り

それで、この旅。
たった一日の旅を、やってしまったのでした。

自分はたまにそういうモードになるけれど、
今回もまた。ほとんど衝動的でしたが
衝動的に行っちゃって、やはり “正解”だったなあと、

今、思います。







秋田に居た時代に、とてもお世話になったフリオさんです。
心苦しい時も、心病める時も。(、、あれ、一緒か。)


 「変わらずに そこにある。」


7月18日。閉店前夜も、

変わらず そこに。
変わらず ほんわかと、
そこに、ありました。




変わらず、そこに居てくれる。
ということ。


そのことが、
身も心も どーんと安心して預けられる、穏やかに寄り添える
“居心地よさ”になって、


いつしか
「心のよりどころ」になっていました。

そういうお客さんは、多かったはず。


知らず知らずに、深く重く。
一方的に、勝手に愛する。






考えてみれば、助けられるばっかりで、
ちょくちょく通って ばんばん利益に貢献するという 優良カスタマーでも、ないくせにね。

それどころか、
いつもいつも、多めのサービスを頂いてしまって。


この日も、ごはんも多めにしてもらった上に、




デザート盛り合わせも てんこ盛り!



八郎潟のフキさんとともに、「、、ふぉ~~~、、、*」と まるでお花畑の心地好さに
ため息だだ漏れで、のっぺり浸りながら。



「全メニューたいらげちゃうよ!そして万札の束、どーんと置いてくよ!」
なんていうことは、残念ながら果たせなかったけれど、

染み込ませるように、いただきました。






良いお店でした。

細かいところまで、隅々まで、
優しかったです。






店長のフリオさんが やたら素敵だったから、
このお店にも、こんなにも、惹かれたんだと思う。
そして全く同じ理由で惹かれていたお客さんだらけだったと思う。


だから、





やっぱり、さびしいな、と、
取り残されてしまうほうは、思う。






だけど、
「辞める」と決断し、
新しい門出に立った 当のフリオさんは、
「とても清々しい!」と。
「楽になった」と、言っていました。

髪もバッサリ、ナウシカヘアーになってね。




「すっきりした。」

ああ。わかる。その気持ち。
だってもう、未来しかないもんね。

先行きへの不安も もちろんあるけど、
それをはるかに上回る、大きな自由の喜びと。






今回、

“辞めると決めた当人の、周りにいる人のきもち”
というのも、やっと、わかった気がします。

やっと。


当人がとても嬉しそうだから、応援は、もちろんしたい。ていうか、する。
だけど こんなに

「さびしい」

もんなんだなあ、と。



なんか、つーんとする。




その月の夜。





夜行バスに乗らなきゃいけない、その前に。

フリオさんが、月夜の公園に連れ出してくれました。


フリオさんが毎日 見ている風景を、見せてくれました。




蓮の池。


朝には花がぽぽぽぽぽーっと開く、蓮天国。


夏の早い朝。

すうと通る、すずしさと。

そこに立ちこめる香りが、もう、素晴らしいのですって。



この夜も、
ほんのりささやかに、あの品の良い残り香が 生きていました。


一つ
一番近いところで咲き残っているのがあったので
手を伸べたら、

ポロポロ....

と、
あららと思う間もなく、
やわに崩れてしまった。




そのひとかけらを。






月夜に翳してみました。








蓮の花ひらく、早い朝。

ひとすじ風が残り香をくれる、静かな夜。


夏はどちらも、一番好い時間です。




背負っていたものを えい と脱ぎ捨てて、
あたらしい一歩を踏み出して、
蓮の花にうっとりしている、
フリオさん。




ありがとう。

朝のお出迎えから、
お蕎麦から、温泉から、海から、森から、

そして、見送りに、
プレゼントまで;;;

ささやかすぎる“恩返し”は
百倍返しで還って来てしまって、
ああもうどうしよう、
またご恩が溜まってしまいました。


ありがとう、ありがとう。

とにかくもう、そればっかりです。


あと、

おめでとう。


新たな門出。おめでとう。



おつかれさまでした。




あたらしいフリオさんは、何をするのかな。
楽しみにしています。






7月のone day akita 旅日記(featuring 三人の秋田美人)、
これにて終了*
ありがとうございました*



旅から、まるっと一ヶ月経って

ちょうど梅雨明けを迎えて「ウワー!来たー!」と振り乱していた季節も いまや、
終わりが、もう、遠くないところに来ています。




この旅で再会できた 秋田の森に
ありがとうを。

 *


この旅で再会できた 三人の素敵な女性に、
改めて、ありがとうを。




蓮の余韻と。


 * * *




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