久しぶりに書棚から出して読むとむちゃくちゃ新鮮だったりします。
骨太の文章ですね。
義経とか上杉謙信とか沖田総司とか、さわやかな英雄が好きな人と、信玄をはじめ大久保利通とか藤原鎌足とかダーティなヒーローが好きな人とは好みが別れますね。
私は子供のころから腹黒そうな悪役の人が好きでした。自分が小説に書くのでも正直な人格者より何人も仲間を犠牲にして最後まで生き延びる悪漢の方が好きでしたね。
ジェームス三木さんは、理想主義者が理想と打算に悩む姿がそそられると言っていたことがあって、同感です。ダーティなヒーローって、心の中でいろいろな善悪の感性が渦巻いていて、結果として人間の洞察力が優れているがために、手を汚しても生き延びてしまうということでしょうか。
経済評論家の伊藤肇氏がそういう人物を「モンスターオブモンスター」「分母も分子も大きい人物」と形容していましたが、なんとかっこいい表現なんだろうと思っていました。