春風駘蕩

いつの時代でもこうありたい

大成建設の平島会長

2005年02月25日 | 日記
午後、平島治大成建設会長のインタビュー。平島会長は日本建設業団体連合会会長、日本経済団体連合会評議員会
副議長を務めている。インタビューの中身は経済と政治に関することだったが、私が平島会長に興味を持ったのは
コラムニストの故・山本夏彦氏の雑誌『室内』に平島会長がエッセイを連載したことだ。

平島会長のエッセイは、平成15年1月から16年12月までの2年間、月刊誌『室内』に掲載された。
「土木のおはなし」に始まり、「ボスポラストンネル」で終わるが、難しい土木技術の話を自らの経験を踏まえて
軽妙なタッチで綴っている。平成15年の2月号には青函トンネルの話がでている。

「入口から出口まで54キロメートルのトンネルは水平に進んでいくと、真中では直線で結んだ位置より50メートル
程高くなります。地球が丸いからです。それを本州と北海道から掘っていって海底100メートルで、寸分も狂うことなく
あわせる、大変な技術です。しかも海の下です。最大の難問は岩盤の亀裂からの大量の出水でした。工事の中断もされました。
そのとき力を発揮したのが凍結工法です。水を薬品によって凍らせるのです。その他経験したことのない難問は山積
しましたが、すべてを見事に解決し、日本の土木の技術を世界一にしました」

青函トンネルの完成は、ドーバー海峡のトンネル工事を決断させ、日本製の掘削機械が活躍した。
また、トルコ・イスタンブールのボスポラス海峡トンネルは日本のゼネコンが受注している。工費1000億円、
ここでは沈埋工法が用いられる。

世界1~2の高さを競うクアラルンプールの超高層ビルや台北の超高層ビルも日本のゼネコンが手掛けた。
いま、日本のゼネコンは「世界の地図に残る仕事」のプロジェクトに挑戦しているという。気宇壮大な話だ。

平島会長は東大工学部出身の技術屋さん。山本夏彦氏とは同じ東京下町の生まれ。山本氏はものづくりや
職人気質が好きだったし、辛口の論評でも定評があった。そんな山本氏のコラムの愛読者が平島会長だったのである。