昨日の続きを書く。
安倍総理にとって河野談話の見直しは第1次内閣時の時からの執念だった。だが、見直すには、それなりの手続きが必要である。河野談話は閣議決定を経ていないとはいえ、いちおう宮沢内閣の官房長官として、16人の自称「元慰安婦」の証言に基づき、「明らかに彼女たちは自分の過去について真実を話し」ており「本人の意思に反した強制があったと確信が得られた」(石原信雄副官房長官)として、河野氏が発表したものである。
が、その後河野談話に対する疑問がさまざまなところから噴出し始めた。昨日のブログにも書いたように、肝心の韓国の民間団体が自称「元慰安婦」の証言は信じるに足りえないことを、調査して発表している。安倍総理が、「河野談話の作成過程の再検証が必要」としたのは当然である(ただし、政府が極秘チームを作って再検証することを発表したのは菅官房長官)。
当り前のことだが、河野談話の作成過程を再検証することは、河野談話の見直し・否定と、イコールではない。もちろん河野談話に疑問の余地がなければ作成過程の再検証をする必要がないわけで、さまざまな疑問が表面化していることから再検証に踏み切ろうというだけの話だ。
再検証の結果、16人の自称「元慰安婦」の証言に多少の誇張があったとしても、談話の全体を左右するほどの錯誤はなかったという検証結果が出れば、河野談話を見直したり否定したりする必要はないわけで、再検証されて真実が明るみにでると困るのはだれか、という問題が生じる。その困る人に土下座したのが安倍総理の「河野談話の見直しはしない」との国会答弁だった。
では安倍総理を土下座させたのはだれか。
真実が明るみにでて困るのは、日本国内では朝日新聞であろう。「でっち上げの小説だった」と告白した吉田清治氏の「従軍慰安婦狩り」体験を大々的に報じて韓国政府・国民の反日感情を煽りに煽った罪悪が暴かれることが必至だからだ。ちなみに朝日新聞は吉田氏に関する報道についてこれまで訂正記事を掲載したこともなければ、韓国政府や韓国国民に対して「誤報によって誤解が生まれた」との釈明も行っていない。
だが、朝日新聞を守るために安倍総理が土下座するとは到底考えられない。では、だれか。
韓国の朴大統領だろうか。韓国政府の対日強硬姿勢や韓国国民の反日感情への配慮がなかったとは言えないが、それまでの安倍総理の一挙手一投足が韓国政府や懇国国民の感情を逆なでしても意に介さなかった安倍総理が、突然朴大統領に媚を売る気持ちになったとも思えない。
と、なれば、安倍総理を変心させたのはだれか。
アメリカ大統領のオバマ氏しか考えられない。
オバマ氏にとっては、当面する重大な外交課題はクリミア自治共和国の独立宣言とロシアへの編入問題、それに中国の軍事的脅威の二つである。中国の軍事的脅威が増す中で、アメリカにとっての「同盟国」(実際はただの「友好国」のワン・ノブ・ゼムにすぎないのだが)である日本と韓国がいがみ合うのは極めて都合が悪い。安倍総理の靖国神社参拝に、アメリカ政府が初めて不快の念を表明したのもそのためだ。これまでアメリカ政府は日本の歴代総理が靖国神社を参拝しても、批判めいたことは一言も言ったことはない。が、安倍総理が昨年12月28日に靖国神社を参拝したときには「日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動をとったことに失望している」と、内政干渉と取られかねないような露骨な批判をした。
アメリカ政府が日本の首相の行動について口出しをしたことは過去一度もない。もちろん日本政府もアメリカ大統領の行動に対して批判がましいことを言ったことは一度もない。それは友好国に対するいわば礼儀である。多少気に食わないことがあっても、「大人同士の付き合い」とはそういうものだという相互理解があったからだ。
が、たとえ友好国であっても、自国の国益に反するような行動をとった場合には、「黙して語らず」というわけにはいかない。とくにアメリカ政府は、日本や韓国を軍事的に保護しているという自負が強い。アメリカが目を光らせているから、中国も日本や韓国には手を出せないという強烈な信念を持っている。だから日韓がいがみ合えば、中国を利することになるという確信の下に、安倍総理の韓国政府や国民の感情を逆なでするような行為に対しては、これまでのような紳士的な態度で黙視するというわけにはいかなかったのだ。
しかも、アメリカに対する影響力の違いがある。経済的には日本の影響力の方が韓国をはるかに上回っているが、在米韓国人はロビー活動によってかなりの政治的影響力を持つようになっている。それが一気に表面化したのがアメリカ各地における慰安婦像建立であり、教科書の地図での日本海の東海への変更や併記への州政府への働きかけである。
朴大統領が日本に対して強硬姿勢を打ち出しているのは、多くのマスコミが分析しているような国民の支持率を上げるためではない。韓国はいま非常に微妙な状況下にある。隣国の北朝鮮は金正恩氏が独裁体制を固めるため、なりふり構わぬ粛清と軍事力の強化を図っている。体制が違う中国とは経済的関係の強化によって軍事的脅威から逃れようと躍起になっている。そうした韓国にとってはアメリカが、日本より韓国を重要視してくれることが最大の外交上のテーマなのだ。韓国政府にとっては慰安婦問題は、そのための切り札なのである。
そうした国際情勢にまったく鈍感なのが、安倍内閣である。慰安婦問題が表
面化したのは、実は「河野談話」ではない。昨日のブログでも書いたように吉
田清治氏のフィクションである「慰安婦狩り」をノンフィクションだと信じた
朝日新聞が吉田氏を英雄視して大きく報道し、それが韓国に伝わって大騒ぎになったのがもともとの原因である。
吉田氏の作品がフィクションだったことが明らかになった時点で、朝日新聞が大きく訂正記事を出していれば、吉田氏の著作をタテにとっての「日本政府への謝罪と補償」といった理不尽な要求は、韓国の自称「元慰安婦」もできなかったはずだ。そういう意味では、適切な時期を見て「河野談話」の信ぴょう性をきちんと検証する必要はあると私も思っている。が、安倍総理が靖国参拝を強行したときに見せた米政府の反応を頭の片隅に残していれば、今はもっとも不適切な時期だということがわかりそうなものだが。
菅官房長官が「政府内に極秘のチームを作って河野談話の作成過程を中心に検証する」と発表したのは2月28日。翌3月の1,2日は土日に当たったため私は3,4日の二日にわたってこの問題に対するブログを投稿している。タイトルはずばり『集団的自衛権問題で窮地に陥った安倍総理が、河野談話作成過程の検証でオバマ大統領から見放される』である。
米政府内でも、おそらく安倍総理の靖国参拝に対して手厳しい批判をしたことについて問題視する声が上がったのではないかと私は想像している。だから今回の「検証」問題に対しては表立った批判はしなかったようだ。が、水面下で「この時期に河野談話を見直すようなことをしたら日韓関係は抜き差しならない状態になりかねない。オバマ大統領の日韓訪問、日米韓三国首脳会談も、成果が期待できないようであれば中止せざるを得ないかもしれない」といった「観測」が日本政府に密かに伝えられたのではないか。そう考えれば、突然、安倍総理が14日の参院予算委員会で「河野談話を見直すことは考えていない」と事実上2月28日の菅官房長官発言をひっくり返すようなことを言いだすわけがない。結局私が予測したように、オバマ大統領の逆鱗に触れ、あわてて土下座したというのが真相であろう。一国の総理として、みっともないかぎりだ。
河野談話の検証は事実上、安倍総理の時期を見ない行動によって永遠に闇の中に葬られることになるだろう。総理の「河野談話を見直すことは考えていない」と言った以上、河野談話の作成過程の検証チームはすることがなくなってしまった。もしまだ「極秘チーム」が作られていなかったら、永遠に作られる機会は失われたのも同然である。後先を考えずに、勝手気ままにふるまうと、こういう結果になる。
安倍総理にとって河野談話の見直しは第1次内閣時の時からの執念だった。だが、見直すには、それなりの手続きが必要である。河野談話は閣議決定を経ていないとはいえ、いちおう宮沢内閣の官房長官として、16人の自称「元慰安婦」の証言に基づき、「明らかに彼女たちは自分の過去について真実を話し」ており「本人の意思に反した強制があったと確信が得られた」(石原信雄副官房長官)として、河野氏が発表したものである。
が、その後河野談話に対する疑問がさまざまなところから噴出し始めた。昨日のブログにも書いたように、肝心の韓国の民間団体が自称「元慰安婦」の証言は信じるに足りえないことを、調査して発表している。安倍総理が、「河野談話の作成過程の再検証が必要」としたのは当然である(ただし、政府が極秘チームを作って再検証することを発表したのは菅官房長官)。
当り前のことだが、河野談話の作成過程を再検証することは、河野談話の見直し・否定と、イコールではない。もちろん河野談話に疑問の余地がなければ作成過程の再検証をする必要がないわけで、さまざまな疑問が表面化していることから再検証に踏み切ろうというだけの話だ。
再検証の結果、16人の自称「元慰安婦」の証言に多少の誇張があったとしても、談話の全体を左右するほどの錯誤はなかったという検証結果が出れば、河野談話を見直したり否定したりする必要はないわけで、再検証されて真実が明るみにでると困るのはだれか、という問題が生じる。その困る人に土下座したのが安倍総理の「河野談話の見直しはしない」との国会答弁だった。
では安倍総理を土下座させたのはだれか。
真実が明るみにでて困るのは、日本国内では朝日新聞であろう。「でっち上げの小説だった」と告白した吉田清治氏の「従軍慰安婦狩り」体験を大々的に報じて韓国政府・国民の反日感情を煽りに煽った罪悪が暴かれることが必至だからだ。ちなみに朝日新聞は吉田氏に関する報道についてこれまで訂正記事を掲載したこともなければ、韓国政府や韓国国民に対して「誤報によって誤解が生まれた」との釈明も行っていない。
だが、朝日新聞を守るために安倍総理が土下座するとは到底考えられない。では、だれか。
韓国の朴大統領だろうか。韓国政府の対日強硬姿勢や韓国国民の反日感情への配慮がなかったとは言えないが、それまでの安倍総理の一挙手一投足が韓国政府や懇国国民の感情を逆なでしても意に介さなかった安倍総理が、突然朴大統領に媚を売る気持ちになったとも思えない。
と、なれば、安倍総理を変心させたのはだれか。
アメリカ大統領のオバマ氏しか考えられない。
オバマ氏にとっては、当面する重大な外交課題はクリミア自治共和国の独立宣言とロシアへの編入問題、それに中国の軍事的脅威の二つである。中国の軍事的脅威が増す中で、アメリカにとっての「同盟国」(実際はただの「友好国」のワン・ノブ・ゼムにすぎないのだが)である日本と韓国がいがみ合うのは極めて都合が悪い。安倍総理の靖国神社参拝に、アメリカ政府が初めて不快の念を表明したのもそのためだ。これまでアメリカ政府は日本の歴代総理が靖国神社を参拝しても、批判めいたことは一言も言ったことはない。が、安倍総理が昨年12月28日に靖国神社を参拝したときには「日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動をとったことに失望している」と、内政干渉と取られかねないような露骨な批判をした。
アメリカ政府が日本の首相の行動について口出しをしたことは過去一度もない。もちろん日本政府もアメリカ大統領の行動に対して批判がましいことを言ったことは一度もない。それは友好国に対するいわば礼儀である。多少気に食わないことがあっても、「大人同士の付き合い」とはそういうものだという相互理解があったからだ。
が、たとえ友好国であっても、自国の国益に反するような行動をとった場合には、「黙して語らず」というわけにはいかない。とくにアメリカ政府は、日本や韓国を軍事的に保護しているという自負が強い。アメリカが目を光らせているから、中国も日本や韓国には手を出せないという強烈な信念を持っている。だから日韓がいがみ合えば、中国を利することになるという確信の下に、安倍総理の韓国政府や国民の感情を逆なでするような行為に対しては、これまでのような紳士的な態度で黙視するというわけにはいかなかったのだ。
しかも、アメリカに対する影響力の違いがある。経済的には日本の影響力の方が韓国をはるかに上回っているが、在米韓国人はロビー活動によってかなりの政治的影響力を持つようになっている。それが一気に表面化したのがアメリカ各地における慰安婦像建立であり、教科書の地図での日本海の東海への変更や併記への州政府への働きかけである。
朴大統領が日本に対して強硬姿勢を打ち出しているのは、多くのマスコミが分析しているような国民の支持率を上げるためではない。韓国はいま非常に微妙な状況下にある。隣国の北朝鮮は金正恩氏が独裁体制を固めるため、なりふり構わぬ粛清と軍事力の強化を図っている。体制が違う中国とは経済的関係の強化によって軍事的脅威から逃れようと躍起になっている。そうした韓国にとってはアメリカが、日本より韓国を重要視してくれることが最大の外交上のテーマなのだ。韓国政府にとっては慰安婦問題は、そのための切り札なのである。
そうした国際情勢にまったく鈍感なのが、安倍内閣である。慰安婦問題が表
面化したのは、実は「河野談話」ではない。昨日のブログでも書いたように吉
田清治氏のフィクションである「慰安婦狩り」をノンフィクションだと信じた
朝日新聞が吉田氏を英雄視して大きく報道し、それが韓国に伝わって大騒ぎになったのがもともとの原因である。
吉田氏の作品がフィクションだったことが明らかになった時点で、朝日新聞が大きく訂正記事を出していれば、吉田氏の著作をタテにとっての「日本政府への謝罪と補償」といった理不尽な要求は、韓国の自称「元慰安婦」もできなかったはずだ。そういう意味では、適切な時期を見て「河野談話」の信ぴょう性をきちんと検証する必要はあると私も思っている。が、安倍総理が靖国参拝を強行したときに見せた米政府の反応を頭の片隅に残していれば、今はもっとも不適切な時期だということがわかりそうなものだが。
菅官房長官が「政府内に極秘のチームを作って河野談話の作成過程を中心に検証する」と発表したのは2月28日。翌3月の1,2日は土日に当たったため私は3,4日の二日にわたってこの問題に対するブログを投稿している。タイトルはずばり『集団的自衛権問題で窮地に陥った安倍総理が、河野談話作成過程の検証でオバマ大統領から見放される』である。
米政府内でも、おそらく安倍総理の靖国参拝に対して手厳しい批判をしたことについて問題視する声が上がったのではないかと私は想像している。だから今回の「検証」問題に対しては表立った批判はしなかったようだ。が、水面下で「この時期に河野談話を見直すようなことをしたら日韓関係は抜き差しならない状態になりかねない。オバマ大統領の日韓訪問、日米韓三国首脳会談も、成果が期待できないようであれば中止せざるを得ないかもしれない」といった「観測」が日本政府に密かに伝えられたのではないか。そう考えれば、突然、安倍総理が14日の参院予算委員会で「河野談話を見直すことは考えていない」と事実上2月28日の菅官房長官発言をひっくり返すようなことを言いだすわけがない。結局私が予測したように、オバマ大統領の逆鱗に触れ、あわてて土下座したというのが真相であろう。一国の総理として、みっともないかぎりだ。
河野談話の検証は事実上、安倍総理の時期を見ない行動によって永遠に闇の中に葬られることになるだろう。総理の「河野談話を見直すことは考えていない」と言った以上、河野談話の作成過程の検証チームはすることがなくなってしまった。もしまだ「極秘チーム」が作られていなかったら、永遠に作られる機会は失われたのも同然である。後先を考えずに、勝手気ままにふるまうと、こういう結果になる。
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