20180311今日の一手
1月6日の名南将棋大会から、HさんとHさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
少し前はこの図で
角交換四間飛車と居飛車穴熊の対抗で、後手の73桂は大胆な手(65歩を防いだのではありますが)だったのですが、それに誘われて63角と打ちこんだのは善悪不明です。
92角95歩62飛
とすれば角が死んでいます。しかし94歩63飛93歩成81角92歩
案外に先手が悪くないです。形勢不明。
実戦は後手が83から角を打って、75歩同歩としたのが問題図です。
☆ 形勢判断をします。
先手の1歩損です。持ち歩がないのでカウントします。
玉の堅さは先手玉のほうが堅いのですが、後手玉は遠いです。同程度と見ておきます。
先手の攻め駒は63角1枚。
後手の攻め駒は83角1枚。
総合すれば互角か後手が指しやすいか。
☆ 大局観として
先手が歩損しましたから、攻めねばなりません。どこかで1歩手に入れて74歩というのが狙いになります。その前後で63角を殺される順がありまして、92角~62飛以外にも62銀52角成42金上で死んでいます。駒損が広がらないように手を作らねばなりません。
× 何か1手待っていると、88飛にしましょうか、92角95歩62飛
今度は94歩63飛93歩成74角
7筋の突き捨てが災いして、角を上に逃げられると取り返せませんから先手不利です。
○ 95歩として
歩を手に入れたらどうか。放置できなくて95同歩同香同香74歩
までは進むでしょう。後手は62銀よりは71香と使うほうが難しく、73歩成同香85角成
56角同金85飛に52角が飛金両取り。ハメたようなのですが、87飛成43角成42銀
というのは案外に難しいです。34馬33歩44馬43歩45馬89竜53歩同銀35桂
として88飛を狙う感じでしょうか。これなら先手有利です。
後手は85角成の時に素抜きの筋ではなく、76歩同銀同香同馬
という方が香打ちを生かしているのですが、76馬と73角の差があって、やや駒損でも先手を持ちたいところです。
× 実戦は86歩でしたが
86同歩同銀92角
88飛に62飛
ならば角が死んでいます。75銀63飛82飛成61飛
桂馬を取れるとか と金を作れるということはあるのですが、81飛もありますから後手有利です。
また、最初の86歩に92角
として86歩と62飛を見るのもありますね。こちらのほうが明快でしょうか。
実戦では88飛に85歩としたのが
悪手で、75銀86歩84歩55歩74歩
として桂馬を取られては敗勢のはず。なんですが、32飛と逃げて3筋を狙ったら、先手Mさんが受け間違えて逆転してしまいました。
△ 65歩は
65同桂66銀92角95歩同歩75銀
と進めば角が死にません。
でも65歩同歩
でどうしたものか。
あるいは65同角として66銀87角成74角成65桂
というのもありそうです。とりあえずは互角なのですが、65歩同歩だとして突き捨てが得かどうかというのはその先を見ないとわかりません。
× 55歩は
55同歩に45歩同歩同角成、という狙いです。でも45歩に54銀
とされると44歩同金74歩しかないです。63銀73歩成に47角成
角を切られてしまうのが痛いところです。47同金46歩同金76歩
飛銀両取りでも関係なく、穴熊で食いつかれているので負けそうです。
× 45歩を先にして
45同歩に55歩でも44金が好手で(47角成も自信なし)54歩同銀74歩
というのは前の変化と同じようなことになります。(後手45歩と55歩の違いだけです。)
45歩同歩に同桂だと62銀52角成42金上
というのがもう一つの馬が死んでしまう変化です。43馬か、62馬同飛84銀でまだ難しいところがありますが、45桂の働きが悪いので後手よしです。(似ているような変化が次に出てきます。)
○ 25桂とすると
92角には13桂成同銀74歩
とすれば穴熊を乱している分だけ指しやすそうです。71香もありませんから、62銀52角成42金引73歩成同銀63馬
歩を取れますから馬得で玉の堅さが上回っています。
後手は25桂に62銀52角成42金上
ここで選択肢があって、62馬同飛84銀92角73銀成61飛84桂
角を取り返せば先手が良いでしょう。
でも後手は飛を52に逃げて
84桂56角同金55歩
というのは難しいです。
ほかの選択肢というのは、馬を殺された時に43馬
同金95歩同歩同香
として93金の筋を狙い、94歩に14歩同歩13歩同桂同桂成同香25桂
香を手に入れて84香狙い。74角13桂成同銀18香打22玉
というのは指しすぎかもしれませんが穴熊は消えています。
あるいは94香と取って
94同香には93金ですから、94同角に74桂というのもありそうです。(92歩と受けられたらやはり25桂か。)
駒損でも穴熊を崩してしまうというのは実戦的かもしれません。
× 14歩として
1筋で歩を手に入れるのは激しい手です。14同歩同香同香74歩71香
73歩成同香85角成56角同金85飛52角87飛成43角成89竜
95歩から香を捨てるのと同じ手順ですが、89竜が詰めろになってしまうので後手の勝ちでしょう。
☆ まとめ
打ち込んだ角が死ぬかどうかという局面ですが、後手にも角を打たせていますから、うまくすればよくなるかも、という問題でした。
「うまくすると」というのは角を生還する(=馬ができる)か対等の駒交換ができるかということです。そのためにはどこかで1歩得たいです。
9筋で香を捨てて1歩を得て、74歩から桂馬を取り返す、というのは五分のやり取りのはず。そのあと激しい変化があって読み切るのは難しいのですが、先手が十分に指せるようです。
実戦の86歩は角の陰になっているとはいえ後手の飛車先ですから気が引けます。角を引かれてやぶ蛇だったはず。ただ疑問手を疑問手で返されると有利になるというのが将棋の面白いところです。後から間違った方が罪が重いのですね。
65歩は先手の飛車先なので、突き捨てても悪くはないのですが
55歩や45歩は後手の金銀(手厚いところ)に触るので良い感じがしません。あとで5筋や4筋を攻められるのは嫌ですし。
25桂は穴熊崩しの手で、13の歩の価値が高いので歩の入手まで2手(というか1手分というか)かかりますが、かなり有力です。角を殺されても守りの金と刺し違えで端攻めがありました。
銀冠とは言え1筋の守りの香を捨てるのでは、かなり損でした。
持ち歩を得て、桂(あるいは角)を攻める、というのはよくある手筋です。基本的には自玉から遠い方から動いたほうが傷が浅くなります。
1手分かけて1歩を得るか、駒を捨ててでも0手分で1歩を得るか、というのはケースバイケースです。
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