「マット・スカダー」シリーズ-9作目
『倒錯の舞踏』原題:A Dance at the Slaughterhouse(屠殺場の舞踏) ローレンス・ブロック著 田口 俊樹訳
倒錯(本能や感情・徳性の異常により、社会道徳に背く行動をすること)の舞踏(武闘?)は、アリーナ(ボクシングの試合がある場所)の地下での「くそ野郎」との闘いを表わしていたように思います。 妹夫婦が強盗に襲われ、妹が無残な死に方を・・・ 妹の夫が事件に関りがあるとの疑いを持った兄がマットに真相を調べて欲しいと依頼。 ある日、知り合いから妙なビデオテープを渡され相談を受けたことで、テープ内に残された少年への残忍な映像がマットの心に正義?の火をつけたようでした。 調べるうちに強盗に遭い殺されたアマンダ(依頼人の妹)の事件との関連が浮かんで来る中、真の悪党に辿り着いたもののその悪を暴き罰を与えたくても条件的に法の世界で罰することができない! 罪は罰せられなければならない! それなのに罰せられることなく罪を犯し続けている。 そんな現実に刑事のジョー・ダーキンも苦しい胸の内を酔いつぶれてマットにぶつけ(吐き出して)いました。
法で裁けないなら・・・マットはミックと組んで(ミックの仲間も・・・)ダンス(舞踏・武闘)をするのです。
ミックの表の顔は「肉屋」で、いつも血の染みついたエプロンをしています。 ダンスの途中ミックが肉切り包丁を真の悪党にふり降ろしたシーンは「屠殺場の舞踏」そのもの。 この屠殺場の舞踏の真実はかなり際どい無謀なダンスでした。
「罪と罰」について考えさせられるものですが、今まで読んで来たシリーズにもずぅ~っと付き纏っているように思います。