あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

瀬戸内シーカヤック日記: 2018年の旅の始まりは、青春18切符で奈良の寺と仏像で日本の歴史と仏教美術を堪能

2018年01月04日 | 旅するシーカヤック
2018年1月2日(火) 帰省してきた長男を含め、家族と元日を過ごした翌日の朝は、2018年最初の旅となる奈良へと出発。
とはいえ、今回は青春18切符を使った鈍行列車の独り旅である。
『じゃあ行ってくるよ』 『気を付けて』

今回も俺の好きな一人旅であるが、毎回気持ち良く送り出してくれる妻に感謝。
『俺が奈良をしっかり下見しておくから、次に一緒に行く時は、充実プランでガイドするよ』と、毎回心の中で手を合わせて呟いてはいるのである。

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まだ外は暗い中、月の光に照らされながら、最寄りの駅へと歩いていく。

今回は、2泊3日の旅であるが、旅装はこんな感じ。

銀マットは、寒いJR駅のベンチ用。
寒い冬の朝に、ベンチにそのまま座るとお尻が冷たいのだが、このマット1枚あるだけで天国と地獄のような違いが生まれるのである。
何度も旅をした中で学んだ、ちょっとした工夫。

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やってきた列車に乗って、東へと向かう長い旅が始まる。

今回の旅のお供はこの本。

奈良では、歴史のある寺を巡り、仏像を観察しようという今回の旅のテーマ。

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糸崎駅で乗り換え、

待ち時間に、近くのコンビニで買ったあん饅と肉まんで朝食を済ませる。

芸予諸島の朝の景色を楽しみながらの列車旅。


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何度も列車を乗り継いで、ようやく奈良駅に到着した。

駅を降りると徒歩で興福寺へと向かう。
猿沢池で、しばし休憩。

興福寺にお参りし、

俺の好きな国宝館へ。

この国宝館では、様々な仏像を拝見することができ、まさに至福のひと時を過ごす。
もちろん、阿修羅像は素晴らしいのだが、俺はそれ以外に好きな仏像がここには沢山あるので見処満載なのだ。

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一度ホテルにチェックインしてから、今度は東大寺へ。

今回は、これまで行ったことがない二月堂を訪問するのが目的の一つ。
いよいよ二月堂へ。

床を見て驚いた。

長年多くの人が歩いた結果、硬い節目の部分はそのまま残り、柔らかい部分は削れて凸凹ができているのである。
『一体、何人の人がここを歩いて行ったのだろうか?』


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二月堂を出て、路地裏散策。
沖縄でよく見るシーサーのような屋根の飾りを発見。

これも、魔除けの一つだろうか?
塀も、瓦が練りこんである珍しい構造。

門の隙間から差し込む夕日がなんとも妖しい光。


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夕景の東大寺。

観光客の数も減り、若干静けさを取り戻して良い感じである。

そして、俺の大好きな金剛力士像。
開口の阿形像と、

口を結んだ吽形像。

俺はこれらの金剛力士像が好きなので、会社のデスクのモニター左右に小さなフィギィアを飾っているほどである。

ついでに書くと、ここ2ヶ月ほど前からは、会社のデスクの片隅に一輪挿しを活けている。
これが、ほぼ一週間周期で生け換えるのだが、この花を眺める時間が仕事中のひと時の癒し/気分転換になるので、本当に最近の俺のサラリーマン生活にとって大切な習慣になっているのである。

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晩御飯は、偶然見つけた豆腐料理のお店へ。

セットがあるので注文してみた。

豆腐は好きな食材のひとつなので、これを食しながら飲むビールや日本酒も楽しみである。

『ごちそうさまでした』

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暗くなったので、散歩がてら猿沢池のほとりを散策。

満月が東の山から昇り、良い雰囲気。
興福寺の五重塔も、ライトアップされていい感じである。

こんな夜景が楽しめるのも、奈良に泊っての旅の楽しみのひとつ。


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翌朝は、少し早めにホテルを出て、JRと徒歩で法隆寺を目指す。
ホテルを出た時は雨が降っていたのだが、法隆寺に着く頃には雨も上がってきた。

ありがたいことである。

参拝の注意書きをみると、スケッチ禁止だとか。

水彩スケッチを始めて奈良でも描いてみたいと思っていたが、残念だが今回は諦めるしかないなあ。

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それでも、拝観開始の8時にお寺に入ると、人の少なさもあり、その独特の雰囲気は朝の澄んだ空気の切れの良さもあってか至福のひと時。

雨で、空気が研ぎ澄まされたこともその要因のひとつだと思えば、少し濡れた早朝の出発も意味があったと思えるものだ。

様々な仏像を拝見し、

清らかで荘厳さすら感じる寺内を歩いて廻らせて頂く。
そして夢殿へ。


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そしていよいよ、今回楽しみにしていた『中宮寺』さんへ。

ここでは半跏思惟の『菩薩半跏像』を拝見した。
今回の二泊三日の旅で多くの仏像を拝見したが、自分の中ではこの菩薩半跏像が最も印象に残ったのである。
そのなんとも言えない、アルカイックスマイルとも呼ばれる『微笑み』の姿にはなんとも言えず心が引き込まれ、いつまでも見ていたいと思わせる魅力的なものなのだ。

『うん、これは奈良まで来た甲斐があるというものだ』

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その後は法隆寺の周りを散策し、

マンホールの蓋にも、斑鳩らしさを感じながらの歩き旅を楽しんだ。


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バスと列車を乗り継いで、薬師寺へ。

法隆寺とは異なる雰囲気が、また面白い。

ここでは、せっかくなので30分法話を聴かせていただくことにした。

俺は知らなかったのだが、今回お話をしていただく大谷徹奘さんは、かの有名な高田好胤さんの弟子であり現在の薬師寺のトップで普段は日本中を説法して回っておられるとのこと。

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伺ったお話はどれも大変心に残るものであった。

薬師寺は、墓を持たずお葬式にも関わらない寺である事、仏教を勉強する事が中心の寺であり中でも人間観察が重要な学びにつながるのだという事、などなど恥ずかしながらこれまで知らなかった事が多かった事を改めて認識させていただいた。
また特に般若心経の『観自在』とは、一般に解釈されているような『どのようなものでも自由自在に見ることができる』という意味ではなく、『自分の在り方を観る』と解すべきとの言葉は心に沁みた。

さらには、高田好胤さんが般若心経を分かり易く訳された、『かたよらない心。こだわらない心。とらわれない心。広く広く、もっと広く。これ般若心経、空の心なり』というお話も初めて伺うことができた。
これまでも会社での様々な研修を通じて、『人の心を変える事は出来ない。 変えられるのは自分だけ』という事は学び、可能な限り実践してきたつもりではあるが、改めて仏教でも同じ事が教えられている事を知る事ができた。

ただ俺の中では、『信念を持って物事に取り組むという事』と、今回教わった、『かたよらない心。こだわらない心。とらわれない心。』というものとの解釈とのギャップがもやもやしているのではあるのだが、これは誰かに聞いて教えていただくようなものではなく、今後生きていく中で、俺なりの答えを探していきたいと心底感じたのも事実。

それにしても、新年から良い説法を聴かせていただく機会をいただいたことに、ただただ感謝である。

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再び徒歩で唐招提寺へ。

ここも空気感が違うとても気持ちの引き締まる寺院であった。

庭が美しく、

緑の苔が美しい参道に心を奪われる。

これまであまりゆっくりと巡ったことがなかった奈良であるが、今回の旅で見直した。

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2018年1月4日(木) 朝起きると、まだ暗い中奈良駅へと向かう。

『ありがとう奈良。 初めてゆっくり回ったけど、本当に至福の旅だった。 また是非、今度は妻と一緒に散策しに来るよ!』

帰りのJRでは、スケッチブックを開いて、猿沢池のほとりで描いた想い出の水彩スケッチを見直した。

水彩スケッチをするには、1時間弱の時間を同じ景色をじっくり観察しながら、邪念もなく眺めた景色を描いていく時間が必要である。
こんな長い時間を、同じ場所で同じ景色を眺めながら過ごす機会はそんなにないので、とても良い旅の思い出にもなるし、ある意味では俺にとっての写経に変わる観自在の時間なのかもしれないなと感じている。

***

2018年の最初の旅は、日本の歴史を学び仏教美術を堪能する、とても有意義な旅となった。
俺にとっての人生の楽しみの一つは旅である。 そして、シーカヤックは目的ではなく旅の手段の一つ。
仕事でも、目的と手段を間違えるなというのは基本であるし、やっているうちに目的を忘れ、手段が目的化するということは往々にしてあるものだ。

今年も、シーカヤックでの海旅はもちろん、JRでの旅、バス旅、自転車旅、ロードスターでのオープンドライブの旅などなど、様々な旅をそれぞれ一生懸命楽しんでいきたいと思っている。
そして縁をいただけるのであれば、引き続きライフワークと思っている夏のシーカヤック教室も継続させていただけると、それはそれは嬉しいことである。

生涯不良の旅するサラリーマン・シーカヤッカー。
さて、この週末はどこ行こう?
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