【トップチーム監督交代のお知らせ】#松田浩 監督に代わりまして、後任として #ファビオ・カリーレ 氏が新たに監督に就任することとなりましたので、お知らせいたします。https://t.co/oGZMHh9cTG#vvaren
— V・ファーレン長崎 公式 (@v_varenstaff) June 12, 2022
「解任」。クラブはこの言葉を使いませんが、各メディアに倣い、私もそう言わせていただきます。
先に断っておくと、いわゆる監督交代そのものには反対というわけではありません。今季すでにリーグ8敗していることを考えれば、もう少し早い段階で交代もあるかもしれないというのは予測出来たことでした。個人的に松田さんのファンでもある私は嫌でしたけどね。しかし、内容も見ていられない試合が続いたので致し方なしとも思っていました。
ただ、今回の交代(松田浩氏→カリーレ氏)に関しては納得いかない理由がいくつか。一つは、リーグ20節栃木戦、21節琉球戦と連勝し、内容も少しずつ向上しているのがわかって、さあこれからというタイミングでの監督交代になったこと。もう一つは、フロントがきちんとどんなサッカーをしたいかビジョンを持って新監督を選んでいるのかが不透明ということです。
前者については、交代は既定路線でたまたま連勝後になってしまったといえばそれまでなのですが、後者についてはよくわからないというのが本音。
聞けばカリーレ氏は守備から整えるタイプとのことなので、それだけ見れば松田さんの後任には合致しているように映ります。
しかし、その一方で髙田旭人会長のコメントでは「これからワクワクする“V·ファーレン長崎のサッカー”をカリーレ新監督とともに作り上げていきます。」と、抽象的な言葉で語られており、ここに一貫したビジョンがあるのか、やはりよくわからない。
そもそも、今季は開幕から松田さんらしからぬ試合が続きました。自慢のゾーンディフェンスには乱れがあり、攻撃も単発的なものに終始する内容。残念というよりは不思議で仕方なかったのです。
そして、前半戦が終了した琉球戦後の松田さんのコメント。
「試行錯誤の前半戦だったっていうのが率直な印象です。新戦力が入って、個の力が強いっていうふうに他のところからも言われたりして、その個の力を中心にチームを作ってきたっていうところがけっこう落とし穴みたいなところもあったのかなっていうことで、なかなか安定した力が発揮できなかったなと。去年のベースが少し個の強さに消されて、ちょっと出なくなって安定感がなくなったんじゃないかなっていう、ちょっと前半戦の3分の2ぐらいまでとか、そういうところかなって感じですね。
最後の3分の1のところは原点回帰というか、去年の全員で攻撃する、守備するっていうような[4-4-2]としての戦い方の部分がうまくできるようになってきたというか、まずはやっぱり良い守備から良い攻撃につなげるっていうベースができてきたのがこの最後のところかなっていうふうに思っています。」
昨年は「ディシプリン(規律)」「同じ絵を描く」などの言葉を使い、あれほどチームプレーを重視してきた松田さんがなぜ「個の力を中心に」にしたチーム作りにシフトしたのかが不思議で仕方がないのです。あまり憶測でものを言いたくはないのですが、過去のルアン獲得の例から考えても、フロントから「スター選手を起用してワクワクするサッカーをしてくれ」という要求でもあったのでは?と勘繰りたくもなります。それを求めるのであれば初めから松田さんでなくても良くなってしまいます。そういう不可解さが今のクラブにはあるのです。違うのであれば、説明してほしい。ビジョンがあるならばサポーターと共有してほしい。そんな想いです。
そして気になることは他にも。
松田さんが去ることにより、アカデミーが掲げる「TOPチームからの一貫指導体制の確立」(https://www.v-varen.com/development/academy)についても揺らいでしまうのではないかという不安です。現在のアカデミーの理念も戦術も築いたのは松田さんです。昨年松田さんがトップに行ってからも引き継がれてはいますが、トップチームの監督が代わり、松田さんがクラブを去るとどうするのか。子供たちのためにも明確にしてほしいと思います。
最後に松田さんへの感謝を綴ります。
2018年に育成部長に就任されてから、私は本当に楽しかったです。アカデミーの選手たちの成長もチームが強くなるのも、見る側に伝わってきたのです。
ドイツ·レバークーゼンとの交流では、U-18の選手たちの球際の強さが目に見えて磨かれ、試合中の互いの声かけが頻繁になり、戦術面でも松田式に整備されました。ゾーンディフェンス以外に、攻撃の形もそうだと気づいたのは松田さんがトップの監督になられてからですが。昨年はプリンスリーグで初優勝し、初めてのプレミアリーグプレーオフに。江川湧清は一人立ちし、五月田星矢、安部大晴もトップ昇格。大学に進んだ選手たちもそれぞれ頑張っています。選手たちがどう思っているかはわかりませんが、アカデミーを応援する者としてこれほど幸せな時間はなかなか経験出来ないのではと思います。来てくれた松田さん、連れてきてくれたクラブには感謝いたします。
アカデミーの現場は選手だけでなくスタッフさんとの距離も近く、話しに行けばいろんなことを気さくに教えてくださいます。でも松田さんとはこのサインをいただいただけになってしまいました。今だったらもっとサッカーのいろんなことを質問するのに…。
私はこれからも松田浩のファンであり続けます。