俳優は相手との間に引力(重力)を感じなければなりません。感じなければ演じることはできないのです。芝居は一人でやるものではないのですから(一人芝居は別)。しかしながら、これには経験が必要になります。元々、演劇・芝居には人生を再認識することができるという利点があります。実際にことばを発し、動いてです。予定調和ではなく、現象としてです。えっ?だって筋があるじゃない、と思いますよね。よく言われます、「セリフ覚えるの大変でしょう」と。これが今の日本の限界なのです。
我々は舞台を生きるのであって、予定(稽古)通り動いているわけではないのです。日頃、あなたは周りの「もの」とどう関わっていますか?意識したことはありますか?無意識で過ごしているのが日常の暮らしで、意識して過ごしているのが俳優の暮らし。長くやっていると常にその意識が持続されます。意識が常に満ちています。TVで「鬼滅の刃」の柱の呼吸の話を聞いていて、「あ、これ俳優ならわかるわ」と即納得しました。あんな感じです。自然にできるようになるまで鍛錬するという点では同じなのです。日常と非日常の境の上に立ち続けているのが俳優(役者)なのです。
炎柱 煉獄杏寿郎