休みといえば相変わらず専用庭の手入れを無精しながら諸所をほっつき歩いている。先日は逗子駅に近い亀岡八幡宮の骨董市、翌日は曽我別所の梅林を訪ねたり、勝手気ままな「無銭優雅」生活を楽しんでいる。明日18日はもはや春のお彼岸の入りだ。申し訳ないと思いながら仏壇にスーパー「オオゼキ」で買ってきた広島産5個398円というネーブルを供えて埃をはらう。仏壇には親父と「太平洋戦争」の末期頃28歳という若さで亡くなった先妻の「たね子」さんという見知らぬ故人、それから死別した自分の妻の位牌が同居している。ネーブルも饅頭もチョコも均等に三個づつ平等に供えることにしている。
ついでに専用庭の端っこの方で続けて咲きだした「雪やなぎ」「ヒヤシンス」「黄色スイセン」の中から「スイセン」を選んで手折る。これも砥部焼の一輪ざしに挿して仏壇周りに春の色を添えることにする。無精している専用庭の花類は植えて二年目を過ぎた頃から土に馴染んできた気配がある。いまのところ「モッコウ薔薇」「ヤマブキ」の枝木は色艶もよく育っているので初夏5月が楽しみだ。
逗子の亀岡八幡宮は相変わらず長閑な骨董市でお客も出展者も世間話を交えながら売り買いをしているのんびりムード。海岸から寄せてくる西からの風はさすがに3月らしい寒気を含んでいるが、緩やかな空気はすっかり春のものである。余生を「骨董売り遊び」に徹しているような同年輩とおぼしい紳士の広げている展示品はいつもながら安く小さな魅力品が潜んでいる。
旧家の解体時から出てきたような和洋折衷ランプシェードを買う。裾の長いフレアーは好みじゃないが胴部分に施してある丸い模様が職人芸の中の遊びを感じる。断線してある古いソケットを外し掃除する。そのあと陶器傘につけてあるアンティークなソケットにつけかえてみたら上手くおさまった。フィラメントが見える電球の予備ストックを使い実際に灯してみたらこれが夜の闇に静謐な温もりをもたらしてくれる。こうなるとブロッサム・デアリーのような心の中の恋人が弾き語りする「「THEY SAY ITS SPRING」みたいな小夜曲でも添えてみたくなるのが人情というものではないかと思う。