先週青柳君と道を間違えてクルマで進入してしまった葉山山間部にある南郷公園の外周路の公孫樹もようやく黄落が始まっている。四谷時代の楽しみの一つだった神宮外苑の公孫樹も眺める機会がなくなって久しい。しかし今は伊勢原の総合運動公園、愛川町の内陸工業団地の西通り、木もまだ若い南郷公園と公孫樹並木風景を新天地の自分流で開拓している。これからの忍びよる初冬寒気の影響で一気に黄落は進みそうだ。
専用庭で綻び初めている小菊の深いえんじ色を眺めていたら、小雨がまたぱらついてきて、団地の「美化デー」が順延になった。午後は板橋赤塚在から旧友がやってくる。トースト、コーヒー、玉露、ジョナゴールド林檎の朝飯を済ませてしばらくぼけっとする。古書祭りやブックオフなどで買ってきて山積みしている古本の一角からアメリカの古いモノクロ写真集をひっぱりだす。
1955年前後にニューヨークの「モダンアート・ミュージアム」で展示会を行った「The Family oF Man」という写真集である。世界68カ国の気鋭写真家が撮った人間風景集だ。あの水俣病の写真で衝撃を呼んだユージン・スミスが撮った樹間をくぐっていく子供の写真もある。木村伊兵衛、ロベール・ドアノなどのらしい写真も納まっている。夫婦、子供、老人、一家、会社、恋人、教室、音楽、戦争、およそ人間が関わっているあらゆる次元の記録を満載している。
関心事のジャズも2ページ割かれている。ピアノを弾く黒人の背中姿を推測する。首筋や頭格好を眺めていてどうやら髪の毛が後退する前のトミー・フラナガンではないかと思ったりすることが面白い。あの「オーバー・シーズ」を収録した時期の。いずれにせよ、この写真集に納まっている修道尼グループが遊具ではしゃぐ動態写真、ハンバーガーショップで屈託なく笑っているオフィスウーマン、などここしばらくはなんどもページを往復しそうな写真を眺めながら、人生の喜びや難儀について感慨を深めることになりそうである。
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