
夜勤明けの眠い気分に襲われる。しかし春の気配が流れ始めていて、まっすぐ帰って眠るのはもったいないことだと思いなおす。通り過ぎてゆく道端では紅梅や白梅も綻び始めて、庭を彩る地味な蝋梅も満開になっているようだ。元住んでいた日向を少し下った高部屋にあるJA販売所へ直行する。お目当ては部屋が春を迎えている徴(しるし)を祝えるような枝ものを買うこと。ちょうど切らしていたスローフードの臍とも云える梅干しもついでに補充してみたい。ここは付近に住む農家が直接納めにくる農産物ばかりの中で枝もの類はいつも瑞々しくて安い。蝋梅と水仙の束が両方で450円也。雨岳文庫を主宰する山口家製の「大山梅干し」も在庫があって安心する。1パックで380円也。これはいつもながら盛り付けのボリウムが気前がよい。もし座間駅の小田急OXあたりで買えば、甘味調整に腐心したあげくに、精気も一緒に失ってしまった南高梅というブランド名が冠せられているだけの同量品が軽く1000円はするだろう。帰ってきて好きな陶芸人の作った壷に蝋梅を挿してみた。薄日が投影する窓辺にセットして甘い春の香りを吸い込む。

よい気分になったところで、気になっていたリスニング環境に手をつける。CDのそれも古いボーカル系のストック品をよりよく甦生して気持がよくなりたいというかねてからのささやかな望みである。バイタボックスのビンテージスピーカーと差し向かいで対峙するよりも、横の方に音がいて欲しいというソースがけっこう増えてしまった。戦後の貧乏家庭の夜半に聞いていて胸をときめかせたラジオっぽい気分の再現を狙いとしている。とうぜん理詰めなハイファイ的レンジ感は要らない。温かく太い中音が懐古風にたっぷりと流れてくればよい。放置気味なストック品から、このラジオバージョンに向いているシステムを組んでみた。プリアンプはダイナコキットのPASー1該当品、パワーアンプはハーマン・カードンの業務用マイクアンプでモノラルのGALAXY-40、いずれも真空管アンプながら、いつ音が出なくなっても不思議じゃないもので信用はできない。
肝心のスピーカーは、1930年代のアメリカ中産家庭向きだったRCA製電蓄の空き箱を使う。これも四谷時代に部屋が広い為にどなたかが邪魔になっているものを置いていったものである。売るには天然木にクラックがあって美的に問題があるから値がつかない。捨てるにもしのびなく、引越しの度に随伴してきたゆかりの逸品である。これの裏側にドイツ製の楕円型アルニコスピーカーを箱のままで嵌めてみた。最初から測ったみたいに適合してしまった。上記のシステムにソニーのCDプレーヤーを繋いでみる。

ソースは古いSPなどからリマスターしたものや50年代半ばまでの好きなシンガーのCDを選出する。ビリー・ホリデイ、ペギイ・リー、マリリン・モンロー、ジョニイ・ハートマン、ペリー・コモ、リー・ワイリーなどを並べて6時間くらい試聴を重ねてみる。トーン・コントロールの働きどころである。思い切ってハーマン・カードンのローカット・フィルターの機能も使って320ヘルツ以下を捨てたりもしてみる。ラジオムードには中音が美味しければよいから。半日かけてトーンの調整にいそしんだ甲斐もあって、ペギー・リーのキャピトルに収録した小さなコンボをバックに歌っているCD集などは狙いのラジオ味がでてきたようだ。ダイニングとの境を開け放ってエリントンの作った「歌を忘れよう」なんていうスロー・ミデアムの曲がまったりと流れてくる風情はなかなかいいものである。

よい気分になったところで、気になっていたリスニング環境に手をつける。CDのそれも古いボーカル系のストック品をよりよく甦生して気持がよくなりたいというかねてからのささやかな望みである。バイタボックスのビンテージスピーカーと差し向かいで対峙するよりも、横の方に音がいて欲しいというソースがけっこう増えてしまった。戦後の貧乏家庭の夜半に聞いていて胸をときめかせたラジオっぽい気分の再現を狙いとしている。とうぜん理詰めなハイファイ的レンジ感は要らない。温かく太い中音が懐古風にたっぷりと流れてくればよい。放置気味なストック品から、このラジオバージョンに向いているシステムを組んでみた。プリアンプはダイナコキットのPASー1該当品、パワーアンプはハーマン・カードンの業務用マイクアンプでモノラルのGALAXY-40、いずれも真空管アンプながら、いつ音が出なくなっても不思議じゃないもので信用はできない。
肝心のスピーカーは、1930年代のアメリカ中産家庭向きだったRCA製電蓄の空き箱を使う。これも四谷時代に部屋が広い為にどなたかが邪魔になっているものを置いていったものである。売るには天然木にクラックがあって美的に問題があるから値がつかない。捨てるにもしのびなく、引越しの度に随伴してきたゆかりの逸品である。これの裏側にドイツ製の楕円型アルニコスピーカーを箱のままで嵌めてみた。最初から測ったみたいに適合してしまった。上記のシステムにソニーのCDプレーヤーを繋いでみる。

ソースは古いSPなどからリマスターしたものや50年代半ばまでの好きなシンガーのCDを選出する。ビリー・ホリデイ、ペギイ・リー、マリリン・モンロー、ジョニイ・ハートマン、ペリー・コモ、リー・ワイリーなどを並べて6時間くらい試聴を重ねてみる。トーン・コントロールの働きどころである。思い切ってハーマン・カードンのローカット・フィルターの機能も使って320ヘルツ以下を捨てたりもしてみる。ラジオムードには中音が美味しければよいから。半日かけてトーンの調整にいそしんだ甲斐もあって、ペギー・リーのキャピトルに収録した小さなコンボをバックに歌っているCD集などは狙いのラジオ味がでてきたようだ。ダイニングとの境を開け放ってエリントンの作った「歌を忘れよう」なんていうスロー・ミデアムの曲がまったりと流れてくる風情はなかなかいいものである。

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