梅雨明けが待ち遠しいこの頃ですが、保護者の皆様におかれましてはいかがお過ごしでいらっしゃいますか。
本日、無事に一学期の終業式を迎えることができました。今学期もまた様々な園行事や日々の活動等におきまして、保護者の皆様から多大なるご理解とご協力を賜り、心より厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
それぞれのご家庭ではこの一学期をどのように振り返られていらっしゃいますか。子どもたちひとり一人の歩幅は違いますが、それぞれが確かな一歩を踏み出し、それぞれの歩みで大きな成長を遂げてくれたように思います。
明日からはいよいよ夏休みが始まりますが、子どもたちにはしばし心と体を休め、たっぷりと英気を養って、充実した休暇を過ごしてほしいものと願っております。
真人幼稚園の先生が選ぶ絵本・7月の絵本
今年度も真人幼稚園の先生方による絵本の紹介をおこなってまいります。これは年間二冊の絵本をそれぞれが書店などで選び、教職員同士で読み聞かせをしたり、それぞれ選んだ理由や見どころなどを発表し合う、教員研修の一環としておこなっている取り組みです。そこで紹介された作品をぜひ各ご家庭にもお勧めしたいという願いから、毎年1・2学期末にこのような形で発表させていただいている次第です。
さあ、今回はどんな絵本が選ばれたのでしょうか? それぞれ作品を選んだ先生がブック・レビューを書いていますので、それらを参考になさって、この夏はぜひ親子で絵本に親しんでみてはいかがでしょうか。
なお、それぞれの作品は園の図書に収蔵され、さっそく貸し出しをおこなっています。
『りゆうがあります』
ヨシタケシンスケ 作 PHP研究所
(堀川紗楽先生のブック・レビュー)
皆さんはクセってありますか? 鼻をほじったり、爪を噛んだり、ご飯をボロボロ落としたり、ストローをかじったり・・・。子どもたちにもついつい「ほら、また〇〇してー!!」と注意したくなりますが、でもそのクセ、じつはちゃんした「理由」があるんです。この本の中には子どもたちの言いそうな言い訳がたくさん! でもそれがとってもユニークで面白いんです。皆さんのクセにはどんな理由があるのでしょうか・・・? 絵本を読み終えたらちょっとだけ考えてみてください。親子で楽しめる一冊だと思います。ぜひ手に取ってみてください!!
『わたしはあかねこ』
サトシン 作 西村敏雄 絵 文溪堂
(原 亜里沙先生のブック・レビュー)
しろねこのお母さんとくろねこのお父さんから生まれた「あかねこ」。あかねこは自分の毛の色が好き。自分のありのままが好き。それなのに分かってもらえない・・・。みんなはあかねこをみんなと同じにしようとします。悲しくなったあかねこは家を飛び出します。そこで出会ったのは・・? この出会いにあかねこは救われます。最後には前向きで明るい気持ちになる、それでいて考えさせられる一冊です。
『ほんとうはなかよし ~エルモアとアルバート~』
ローレン・チャイルド 作 明橋大二 訳 一万年堂出版
(佐藤美樹先生のブック・レビュー)
一人っ子のエルモアは、部屋もテレビもおもちゃも、パパとママさえも独り占め。そんなエルモアのところに、ある日知らない子がやって来て、全てが変わってしまいます。その小さい子はエルモアの大切にしているものを何もかもめちゃめちゃにするし、いつもエルモアの隣に座りたがり、やることを真似したがり、そばにいたがります。最悪になってしまったエルモアの毎日でしたが、ある夜の出来事をきっかけに、また全てが変わってしまいます。兄弟の微笑ましいエピソードを通して、人と分かち合うことの素晴らしさが伝わってきます。ご家族の皆さんで楽しんでいただきたい一冊です。
『おいぬさま』
荒戸里也子 作 白泉社
(園長のブック・レビュー)
お殿様に可愛がられているお犬様は何故か象ほどもある大きさで、いつもお殿様の次に威張っています。何しろ手厚くお世話をするようにとお殿様直々の仰せであるからさぁ大変! 今日もお犬様のお世話で家来たちはみなてんやわんや。わがまま気ままなお犬様の振る舞いに、腹立たしいやら情けないやらの気持ちで読み進めながら、いつしかこのお犬様の人間臭さに憎めないものも見出している自分に気付かされます。確かにこんなお犬様みたいな人、いるよね~、と。その昔、江戸時代に本当にあった「生類憐みの令」を下敷きにしながら、人間とペットの滑稽だけど憎めない、てんやわんやだけど微笑ましい関係を描いていて秀逸な作品です。ぜひ一度、読んでみてください。
『ごりらのびっくりばこ』
長新太 作 絵本館
(山路紫央先生のブック・レビュー)
「ねえ、びっくり箱って知ってる?こわいものが飛び出すあの箱ですよ?」という出だしから始まるこの絵本。いたずら大好きなごりらが開けると顔にぴしゃっとくっついてしまうめがねが出てくるびっくり箱を作ります。森の動物たちは大さわぎでなんとかめがねを取ろうとしますが、なかなか取ることができません。みんなに怒られたごりらは「すたこらごりちゃん!」とその場を逃げるのでありました。果たしてめがねは取ることができるのでしょうか? ラストは、ああなるほど!!と思わず感心してしまうアイディアが・・・。ユーモアたっぷりのお話ですので、大人でも楽しめます。ぜひ読んでみてください。
『ぷちぷち まめこ』
北川亮司 作 相野谷由紀 絵 岩崎書店
(佐々木雅代先生のブック・レビュー)
新潟の夏といえば・・・えだ豆!この絵本の主人公まめこは枝豆が大~好き。子どもたちのお弁当にもよく入っている枝豆は夏の人気者です。
枝豆をたくさん食べたいまめこは畑にまいた種に、たくさん実るようにとお祈りします。そんな枝豆びいきのまめこに、ちょっと意地悪したい野菜たちが次々に登場。変てこなアドバイスにも負けず、「えだまめ、えだまめ、ひとりじめ~」と歌い踊る健気なまめこを応援したくなります。枝豆にどーかその強い思いが届きますように!枝豆を愛する皆様、どうぞ手に取ってご覧ください。
『しろちゃんとはりちゃん あめのいちにち』
たしろちさと 作・絵 ひかりのくに
(石山弥佳先生のブック・レビュー)
とっても仲良しなしろちゃんとはりちゃんは今日もふたりで楽しく遊んでいます。ですが、ある出来事をきっかけにふたりは大げんかをしてしまい・・・。ふたりの仲は一体どうなるのでしょうか。友だちの大切さを感じることのできる、なんだかほっこりするお話です。可愛らしい絵にも注目です。ぜひ読んでみてください。
『ぼくのクレヨン』
おはなし・え 長新太 講談社
(小林明日香先生のブック・レビュー)
この絵本に出てくるクレヨンは普通のクレヨンではなく、猫が乗るほど大きなゾウのクレヨンです。ゾウは大きなクレヨンで「びゅーびゅー」と次々に絵を描きます。その絵の迫力で動物たちは本物の池だと思って飛び込んだり、火事だと思って逃げ出したり、次々と勘違いをしてしまいます。子どもたちが毎日のように手にする身近な道具なのに面白い設定です。この「びゅーびゅー」のスピード感こそがお絵かきの気持ち良さでもあると思います。そしてそのスピード感こそが子どもたちの迷いのない伸び伸びとした表現ではないかと感じました。
少しずつ色々な絵の描き方を覚えている中で、カラフルで大胆なクレヨン画を眺めながら、子どもたちがどのような想像力を働かせ、絵を描いていくのか、一人ひとりの個性が見え、とても面白いと感じ紹介させていただきました。
『ま、いっか』
サトシン 作 ドーリー 絵 えほんの杜
(阿部直実先生のブック・レビュー)
ジリリリリリー! 目覚まし時計の音で起きたテキトーさん。ところが会社の出勤時間はすでに過ぎています。どんなに急いで行ってもゆっくり行っても遅刻は遅刻、というのがテキトーさんの考え方。バスにかばんを忘れても、海で服が流されても「ま、いっか!」でその場その時を楽しんでいる様子は、とても清々しいです。終わりよければ全てよし、とも言いますが、テキトーさんの今後が気になり何度も読みたくなる一冊となっています。ぜひお子さんと一緒に読んでみてください。
『ぼちぼち いこか』
マイク・セイラー 作 ロバート・グロスマン 絵 偕成社
(板垣里奈先生のブック・レビュー)
子どもたちは生活していく中で、「どうしてできないんだ」と壁にぶち当たったり、「もう嫌!」となることが多いと思います。子どもたちだけでなく保護者の皆様も子育てしていく中で、「子どもにこうして欲しい」「どうしてしてくれないの?」と求め疲れてしまうことはありませんか?そのような時はこの本を読んでください。主人公のカバはパイロットやピアニストなど様々な職に就こうと努力するのですが、いつも失敗ばかり。ですが決してあきらめず挑戦していきます。しかしひとつも成功することなく、カバ君も困ってしまいます。そして最後に「ま、ぼちぼち いこか」とゆっくりと落ち着くことにします。今のままでいいんだな、ぼちぼちいこう!と心温まる一冊です。
『いちにちおもちゃ』
ふくべあきひろ 作 かわしまななえ 絵 PHP研究所
(猪俣 愛先生のブック・レビュー)
この絵本は主人公の男の子が「おもちゃって楽しそうだな」と思ったことから、いちにちおもちゃになってみよう!とおもちゃになりきるお話です。話の流れは単純で、いちにちクレヨンになったらずりずり、顔が紙にこすられて痛い!クレヨンてたいへんだなあ。そしてコマ、けん玉、と様々なおもちゃになっていきます。最後にはおもちゃも大変だから使ったら片付けしようね、となり、遊んだら片付けるというメッセージが込められています。しかしこの絵本の魅力はおもちゃになりきった時の男の子の表情です。思わず笑ってしまうので、大人も子どもも楽しめると思います。年少組に読み聞かせをしたところ、自分が一緒におもちゃになりきって読んでいました。何かになりきる力もついてきたので、より楽しめる一冊ではないかなと思っています。
『かぶとむしランドセル』
ふくべあきひろ 作 おおのこうへい 絵 PHP研究所
(眞柄香澄先生のブック・レビュー)
おじいちゃんから入学のお祝いにランドセルをもらったみっちゃん。箱を開けると中から出てきたのはなんとかぶとむしランドセル!
みっちゃんと共に過ごすかぶとむしランドセル。給食のゼリーを食べたり、夜中に動き出したり・・・。みっちゃんを困らせるかぶとむしランドセルですが、最後まで読んでみると、かぶとむしランドセルいいね~!と思っちゃいます。子どもたちはもちろん、大人も思わず笑ってしまうストーリーです! ぜひお子さんと読んでみてください!
『クネクネさんのいちにち きょうはマラカスのひ』
樋勝朋巳 文・絵 福音館書店
(鎌田千秋先生のブック・レビュー)
クネクネさんとパーマさんとフワフワさんは仲良しです。大好きなマラカスの会を作り練習しています。ある日、パーマさんとフワフワさんはクネクネさんの家に集まり、マラカスの発表会を行います。それぞれ練習を重ね、この日を楽しみにしていた3人は無事に素敵な姿を披露することができるのでしょうか? お友達を大切に思う心優しい登場人物たちの個性的な姿が面白くて徐々に新しい世界を覗き見したくなります。クネクネさんは一体誰なのか?なぜタイツを履いているのか?など、不思議な謎に包まれた部分を知りたくなります。さらに第二弾、第三弾を楽しみにしたくなる作品です。
『フワフワさんのいちにち フワフワさんはけいとやさん』
樋勝朋巳 文・絵 福音館書店
(またまた園長のブック・レビュー)
なんという偶然でしょうか? 千秋先生がクネクネさんのお話を選んでいるころ、私はその第二弾!クネクネさんのお友達のフワフワさんのお話を手に取っておりました。これは毛糸の編み物職人であるフワフワさんと、その素敵なお友だちとの、ある日の何気ないエピソードを描いた心温まる物語であります。 絵本を開くと銅版画の優しいタッチで描かれた魅力的な登場人物たちがいつもそこにいて、何度でも私たちを不思議の国へといざなってくれる。これは本というツールでなければできない体験です。そしてそれは子どもたちの心や体の発達にとても重要な要素なのだと思います。この夏はどうぞ親子で絵本の世界に親しんでみてください。
『おおきくなったら』
ふくだとしお ふくだとしこ 作 幻冬舎
(高橋沙季先生のブック・レビュー)
「早く大きくなりたいな・・・」と思う あり さん。「おたまじゃくしさんは大きくなったらどうなるの?」「けむしさんは大きくなったらどうなるの?」様々な疑問を抱きます。
変化する物、体の大小、形の違い・・・。「こうだったらいいな・・・」と思うことは誰しもあるでしょう。
しかし、「どう見えるか」ではなく、「どのように心を温めていくか」が大人になるということ・・・、とこの本は伝えています。
こんな風に心も成長していけたら嬉しいな~と思う一冊です。
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さて、7月の絵本の紹介はこれでおしまいです。それぞれの先生によるブック・レビューはいかがでしたか? 読んでみたくなるような絵本が一冊でも見つかれば私たちもとても嬉しいです。どうぞこれらを参考になさって、この夏はぜひ本屋さんや図書館に足を運んでいただき、親子で絵本に親しんでいただければと願っております。
それでは皆さん、素敵な夏の休暇をお過ごしください!