広島への原爆投下から76年目となる今日8月6日、広島市で開催された平和記念式典(広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式)に出席した菅首相のあいさつで、原稿の読み飛ばしがあったようで話題になっています。
Gooニュースなどによると、
・菅首相のあいさつの該当部分は以下の通り。
「・・・広島および長崎への原爆投下から75年を迎えた昨年、私の総理就任から間もなく開催された国連総会の場で、ヒロシマ・ナガサキが繰り返されてはならない。この決意を胸に日本は非核三原則を堅持しつつ、核兵器のない」と言った後、「核軍縮の進め方をめぐっては各国の立場に隔たりがあります。このような状況のもとで核軍縮を進めていくには・・・」とつながりのない発言となったようです。
・この部分の、NHKのTV画面の下に流れる、該当部分のテロップは以下の通りで、発言内容と明らかに違っていました。
<広島及び長崎への原爆投下から75年を迎えた昨年 私の総理就任から間もなく開催された国連総会の場で「ヒロシマ ナガサキが繰り返されてはならない。この決意を胸に 日本は非核三原則を堅持しつつ核兵器のない世界の実現に向けて力を尽くします」と世界に発信しました>
どうやら、首相のあいさつの中で読み飛ばしがあったようです。
毎日新聞などに拠ると、読み飛ばした原稿部分は、「世界の実現に向けて力を尽くします、と世界に発信しました。わが国は、核兵器の非人道性をどの国よりもよく理解する唯一の戦争被爆国であり、核兵器のない世界の実現に向けた努力を着実に積み重ねていくことが重要です。近年の国際的な安全保障環境は厳しく」という内容だったようです。
その後に行った記者会見で、首相は読み飛ばしを認め、「一部を読み飛ばし、この場を借りてお詫びしたい」と陳謝したとのことです。
何についても自分の心からの言葉を持たずに、誰かが書いた形式ばかりで内容のない原稿を棒読みする首相には起こるべくして起こった間違いといえるでしょう。
しかし、非常に皮肉なことに、この読み飛ばしは国の姿勢に関する事項で、「唯一の戦争被爆国であり、核兵器のない世界の実現に向けた努力を着実に積み重ねていくことが重要」と言いながらも、2021年1月に発効した核兵器禁止条約の批准もせずにいる我が国は、世界各国からは“日本は米国の腰巾着で、核兵器のない世界など期待していない”と見られていることが明らかです。
だとすれば、単なる読み飛ばしではなく、首相もこのような内容の文章を読むのが心苦しくて、案外首相の素直な本心が出たのかも知れないと推測したりもします。
また、首相挨拶の冒頭部で、広島市原爆死没者慰霊式の名称について、「原爆」の部分を「ゲンパツ」と述べ、直後に言い直したというオマケもあったようです。
最近は、黒い雨問題で一見被害者寄りの姿勢を見せてはいるものの、核兵器廃絶などの根本問題に向き合おうともしない首相としては、このような平和記念式典に出ること自体が間違いなのでしょう・・・
それとも、コロナの想定外の拡大で、自分の再選に暗雲が漂い、心ここにあらずという状態なのでしょうか。(まさ)