月が正面からのぼる家に育ったせいか、月を眺めるのが好きです。思索に耽るとか、誰かの面影をうつして偲ぶとかそのような好尚なことではなく、単に眺めるだけです。
今年のお題は「月」でした。離ればなれになった家族が、お互いの面影を幾度、月に写して偲んだことだろうか と胸をうたれる作品もありました。
「あしたには星をいただき、夕べには月を仰いで(?)‥」 昔聞いた言葉ですが
勤め人時代は、通勤時間が長かったために、冬場は上記のような生活を長い間してきました。バス停までの8分、往きかえり、星をながめ月をさがして、家と職場との気持ちの切り替えをするための大事な時間でした。
ある時 知人から、「月の見えない夜は何日ある?」と聞かれたことがありました。
「3日4日かな」とこたえましたが、これは、私の老眼鏡による観察です。月齢27ともなると山の稜線に「し」がねそべったようにかすかに見えます。月齢2は茜色の西の空に眉毛より細くくっきりと分ります。
日の出、月の出、日没、月の入り4つの条件に雲のないこと しかも、有明の月から新月へ一連のつながりがあることなどを考えると、非常に難しい観察で、ばっちり成功するのはまったくの幸運です。
勤めから帰るとき、月とわかれずらく、玄関をでたり入ったりして眺めたことも度々ありましたが、今は、わざわざ外に出て見ることもしなくなり、仕事をやめて失った楽しみの 一つです。
最近のように暖冬では「冬の星座」の歌詞のような夜には、なかなか出会えません。
空気を叩いてもカーンと響くような冴え渡った月夜を 「水晶の小箱」 にしまっておきたいと母がいっていたことを思い出します。
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撮影 1月15日7時20分 日の出7時22分
月齢25.5
左側が東下弦の様子がわかりなす
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撮影 1月22日18時 日の入り17時38分
月齢 3
薄い雲がかかってぼんやり
していました。月齢3前後は雨