gatagata道を行く

おばさんのよもやまばなし 食べる・歩く・俳句 by sino

旧の渚

2012-07-01 14:43:25 | 俳句
はらわたをはづしておかむ菊人形
畔塗りを仕切りしひとの葬儀なり
香水やかつて中学二年生
サングラス二段ベッドに帰り来し
石鹸玉鍵を失くせし子と一緒
遠泳やずっと己に話しかけ
全集の前でマフラーはづしをり
車内にて耳より零れだすプール
秋うらら他人が見てゐて樹が抱けぬ
粥色の空や戸口に風信子
湯豆腐やまづは利尻の海を敷き
仏花に黄足せども足せども日短し
夕方は地元のニュースあっぱっぱ
ペン先は湯に浸しおく青嵐
注文の前に裸になってをり

小池康生氏の句集「旧の渚」より
中原道夫主宰や櫂未知子同人が記しておられず、小池氏の自選15句にもない私の選

「香水」の句は、男子「が」目覚めた中学2年生を詠んだとみるのが一般的な解釈のようだが
女子が目覚めるのも中学2年生。私もシャネルNo.5とNo.19、資生堂とフランス各社の香りの違いを覚えた。

「粥色の空」を確かめるため香港粥のお店に行ってみた。百聞は一見に如かず。
思ったより「白」が際立っていて、漢字表記のヒヤシンスが効いている。

「湯豆腐」やられた!このところ利尻昆布を愛用しているのに・・

「ペン先」私の場合、たまにしか使わないモンブランは毎回この儀式が必要。

「注文の前」は、「潮騒」神島で時間を共有した時の一句。私の想い出でもある。


コメント (2)
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