素振りブログ。

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この自業自得感。

2014年10月13日 17時23分16秒 | 日記
闇芝居(2期)第11話「拾い業」感想。

ここのところ数話を考えると、かなりマシな話だったかと。

電車で拾った妙な小説原稿を、思いつきで投稿したら賞を取って。
賞金が貰えるみたいなので、「この小説を書いたのは自分です」と嘘を吐いてまんまと賞金をせしめようとしたら。

自分が拾った小説を送って審査してもらい、賞を貰った小説コンクールは、死人(?)の小説コンクールで。
それに気づいたときはもう遅く「ホントは俺が書いた小説じゃないんだ!」と泣き喚くも一切聞いてもらえず、そのまま死(?)の世界へ、というお話。

何でそうなったのかの因果関係はっきりしてるし、引き返すチャンスはあったけど、金が欲しいという欲に負け、他人の創作物をパクるという恥を知らない真似をしたことが一番の原因、という自業自得感は悪くない。
こういう事態になったのはお前が悪いんだよと。これ、わりに重要ですよな。

入るなと言ったところに入ったり。

するなと言ったことをやったり。

怪異に巻き込まれて、命を落とすか、それに準じる様な目に遭う人間が、自分で助かるチャンスを投げ捨てるか、もしくは自分で死に飛び込んでいた、みたいなこと。

こういうのを重要視するのはおそらく万国共通なのではないのかね?と思います。
たとえば、確かヨーロッパの方の民話だったと思うんですが。

罰当たりなことを堂々とやり、それを誇っていた粗野な男が居まして。
「どうだ。俺はこんな罰当たりなことを平気でやれるんだぞ。ワイルドだろう?」というわけですわ。

しかし「町の連中はワイルドな俺に一目置くはずだ」と胸を張っていたのは当の男だけで。

町の他の住人は

「うっざ」「何?常識外れの行動を取れるのはカッコイイとでも思ってんの?」「土人としか言いようが無い」と軽蔑してて。

そんな町の住人の冷たい視線について、なんとなく分かるのか「馬鹿な。まだ俺のワイルドさが足りないと言うのか?」と、さらに罰当たり行動を繰り返す。

で、あるとき。
いつものように墓場に入り込んで散歩していたら。

墓場から何かではみ出したのか、人間の頭蓋骨が転がってて。

「ワイルドな俺はしゃれこうべにビビッたりしないぜ」と、頭蓋骨を蹴って遊び始めるんですわ。

で、しばらくドリブルしていたら。

頭蓋骨「何するんだ畜生!」

蹴られていた頭蓋骨が怒声をあげた。
最初は酷く驚くも、男「こりゃすげえ。これを町の連中に教えたら、今度こそ連中は俺を尊敬するはずだ!」と思い

「何もできないしゃれこうべは黙ってろ」と言い返す。

受けて、頭蓋骨「何て無作法で口の利き方を知らん奴だ!予言してやる。お前はその口のせいで死ぬことになるだろうよ!」怒りの声を張り上げるわけです。

その言葉に内心怯えを感じつつも、「ここでビビったら男がすたる」とでも思ったのか、「それでこの俺がビビるとでも思ってるのか!?ちょっと待ってろ!お前を見世物にするために、町の連中を呼んできてやる!」と言い捨てて

町に戻って「喋るしゃれこうべを見つけた!」と触れ回るんですけど。

町の連中「ハァ?」「頭湧いてんの?」「ラリってんじゃねーよ」

誰一人信じようとしない。それにイラついた男が「本当だって!何なら俺の首を賭けてもいい」と言ったら「まぁ、そこまで言うなら」「嘘だったら覚えとけよ」となって、町の連中を連れてくることが出来たわけですが。

まぁ、そこから先は読めると思うんですが、男が町の連中を連れてきて、件のしゃれこうべを見せて「さぁ、さっきみたいに喋れ!」と言うも、ウンともスンとも言わない。
焦った男がさっきのように頭蓋骨サッカーをはじめても、まったく一緒。



「キミ、確か首を賭けるって言ったよねぇ?」

腹の底で「ウザ過ぎるから殺してやりたい」と内心思われていた男は、町の住人総出で首をナイフで切断されて、墓場に生首状態でゴロリされてしまうのでした。

そして町の住人が去った後。

頭蓋骨「な?口のせいで死ぬことになっただろ?」

男の生首に向けて、頭蓋骨はドヤ顔でそう語りかけましたとさ。


……この話の場合、男が罰当たりな行動=ワイルドでカッコイイ行動、なんてアホなことを考えていたことと、簡単に「首を賭ける」なんてことを言ってしまったこと。
この2点で結末の生首ゴロリが自業自得の結末と言えるわけですよな。

で、話の中ごろの「お前は口のせいで死ぬ」という予言。

これが結末を彩る隠し味になってます。
この言葉が意味するところをちゃんと理解していたら、こういう結末にはならんかっただろうに。

だからこそ余計に生首ゴロリは自業自得。

ちなみに万国共通では?という例で上記話を書いたのは、東南アジアあたりの民話で似たような話があるからで。
そちらは「喋るしゃれこうべを王様に献上しようとしたけど、王様の前では一切喋らず、結果、怒った王様に首を切られた」って内容で。
そっちも最後に言うわけです「な?口のせいで死ぬことになっただろ?」って。
こちらは話の中ごろで「何で死んだんですか?」「口のせいだ」というやりとりがあり。
主人公「は?意味が分かりません。本当なんですか?」「ああ、確かに私は口のせいで死ぬことになった」と。

その言葉の意味するところが、ラストに分かるわけですね。
こちらはヨーロッパの話とは違い、同じ理由で死ぬ人間を作り、仲間を増やしているような印象を受けます。
なんだか日本の妖怪の七人みさきを彷彿とさせますね。
たくさん仲間を作れば、ところてん方式で成仏できたりするんですかね?


……今回の闇芝居の話に戻りますけどさ。
今回の場合は、妙な小説のタイトルが「祀りの痕」
ここで、この小説が黄泉の国と関わりのある、生者がどうこうしてはいけない類のものだという前フリになってましたな。
(祀りって、神霊や先祖を祀る、という言葉だから)

……欲を言えば、もう少し説明して欲しかったですけどね。そのあたり。