(1)ポイント |
●梅は黄熟した物を(梅干しの場合)
梅干を作る場合は、黄熟したものを使いましょう。 皮も柔らかく薄く、甘味も増して美味しくなります。 梅酢も上がりやすく、重石も軽いもので十分です。 アク抜きの為、水に浸ける必要もありません。
但し、熟しすぎると、皮が破れやすくなります。その辺が見分けどころです。 熟度によって、仕上がりが決まると言ってもいいでしょう。
果肉の厚い種の小さい種類、粒のそろったものを選びましょう。 材料が良いと良い梅干に漬かります。
しかし、この黄熟は難しいです。むらがあります。 熟度が足りない場合は、ダンボール等に入れ、(必ずビニール袋から出します) 室内にそのまま置いて追熟します。 黄熟した梅が80%くらいあれば、良しとします。いい香りもしてきますよ。
室内で追熟させても、樹で熟したものとは違います。 なるべく樹で熟したものを使いたいですね。
↓は、梅干用南高梅(宅配)を買ったのですが、かなり青い梅でした。3日追熟させました。 → |
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●種類と大きさ
南高梅が最適ですが、黄熟したものなら、たいてい大丈夫です。 果肉の厚い、種の小さい種類がいいですね。
小梅でも十分、上手に漬けられます。 小梅は安く、量も多いので、漬けるにも失敗を気にしなくてすみます。 又、小さいので食べやすいです。毎日のお弁当にも入れられます。
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●梅の種類と用途
梅の種類により、主に適した漬け方があります。 南高梅や白加賀は、果肉が厚く、柔らかいので、梅干、梅酒等に適しています。 固い梅漬けなどには、小梅や固い種類の豊後が合います。 柔らかい種類の梅をカリカリの梅漬けにするには、 未熟な青い梅を使わないと駄目ですね。
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●傷の無いものを
傷は、そこから破れたり、カビの原因になったりします。 斑点は梅の病気ですので他に利用しましょう。(梅びしお、ジャムなどに) なるべく、質の良いものを使いましょう。 |
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●ヘタは取った方がいいか
ヘタの付いている部分は外界との出入り口です。 ヘタを取らないと、出入り口を塞ぐ事になり、 梅酢の上がりが悪く、カビの原因になります。 その事から、ヘタを取ってから洗う事は厳禁です。 出入り口から水が入り、カビの原因になります。
そうは言っても、洗っている時などに、ひとりでに取れるものもあり、 本によっては、改めてヘタ取りはしなくて良いというのもあります。 私もヘタは余り気にしませんでした。 (梅は熟してくるとヘタも自然に取れるようになります)
また、ヘタを取る時、梅を傷つけないように気をつけます。 竹串や爪楊枝などでていねいに取りましょう。 柔らかく皮の薄い梅の場合、取り辛いヘタを無理に取ると、梅を傷つけ、 皮が破れる原因になります。 取りづらいヘタを無理に取る必要は無いでしょう。 一応、梅を洗う→ヘタを取る→水気を拭く、という手順です。 南高梅は大きいのでヘタを取りました。取りやすいです。 小梅は小さいのでヘタは気にしませんでした。でも、全く不具合ありません。 数が多いので取るのが大変なんです。(^^;) まぁ、大きいものや、取りやすいヘタは取るって事でいいでしょう。 |
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●小梅の場合 小梅は小さくて食べやすいので、梅干にも適しています。お弁当、おむすび等。 意外と漬けやすいです。 又、安くて量も多いので、安心して漬けられます。
小梅の場合、ヘタは洗う時に取れるものを除いて、 取りませんでした。でも、カビも無く大丈夫でした。 黄熟した小梅は梅酢の上がりも早いです。
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●塩は粗塩を
精製塩でなく、粗塩を使いましょう。 にがりを含み、粒子が粗いので、梅に絡みやすく、 梅酢が早く上りカビが生え難くなります。 にがりが梅の味をまろやかにします。 種類は沢山ありますが、粗塩ならどれでもいいでしょう。 (食塩と書かれて売られているものは粗塩では無く、精製塩です)
梅には十分に絡ませます。
特に青梅を使うカリカリの梅漬けは十分に絡ませます。
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●容器
酸や、塩に強いものを使いましょう。(容器、中ぶた、おもし共に)
・かめ=重いのが欠点ですが、暑さなど外気の影響を受けにくいので、 梅干作りに最適です。
・ほうろう=酸や塩に強く、広口で、取って付きの物は使い勝手が良いです。 ただ、傷は付きやすいです。
・ガラスビン=フタもあり、中の様子が見えるので便利です。 甘漬けなどに使う事多いです。 ただし、口が狭いので、重石をする場合は、重石がしづらいです。 さらに、中ぶた(押しぶた)も大きさが限られてきます。 ・プラスチック=軽くて扱いやすいです。 でも、これは本によっては、不可となっています。 一年くらいで食べきるなら良いでしょう。
梅の約2~3倍くらいの容量が使いやすいでしょう。 (梅2キロだったら4リットルの容器。ただ、ビンの場合は2倍は最初はちょっときつめですが、 梅酢が上がってくると容量はずっと減ってきます。)
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●中ぶた(押しぶた)
木製の物はカビが生えやすいようです。 白いお皿やプラスチックの物で大丈夫でしょう。 ホームセンター等で売られている、半分に折れるものは便利です。 ガラス瓶のように口の小さい物に使う時は、 半分に折れるところから切ってしまいます。使いやすくなります。 紫蘇を入れたら、はずしてもかまいません。
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●おもし
陶製やプラスチック製が便利です。 ホームセンター等で、押しぶたと共に売られています。 重さを調整する必要もあるので、小石などを使っても良いでしょう。 綺麗な小さい石のような物があれば便利だなぁと思います。
ペットボトル等も便利です。身近にあるものを工夫して使いましょう。
紫蘇を入れたら、はずして可。
石などをビニール袋や、アルミ箔で包むと、溶けたり、腐食する場合があります。 黄熟したものなら、梅と同じくらいの重さ。青梅なら、2倍くらいの重さ。 黄熟したものは、梅酢が上がりやすいです。 青梅は中々上がらないので、重くします。 梅酢が上がったら梅が梅酢に浸る程度に重石を軽くします。(梅がつぶれないように)
減塩の場合は、梅酢を早く沢山上げるために、重石は重めにしましょう。(1.5倍位)
ガラス瓶(梅1キロ用)・ガラス瓶(2キロ用)・かめ。 重石。押しぶた(半分に切ったもの)。
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●道具には消毒を
カビを防ぐ為に、容器、中ブタ等使うものには、Wリカーや熱湯で消毒します。 Wリカーをシュッシュッとスプレーすると簡単です。 この消毒は、きちんとしましょう。カビを防ぐ為に、重要です。
又、「手」も、十分に洗って取り掛かりましょうね。 手は意外と菌が多いのですよ。
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●塩分
塩分は18%が、良い塩梅のようです。小梅の場合は15%。 10%まで減らす事も出来ますが、そのぶん、焼酎(Wリカー)や、酢で補います。 梅酢を上げる呼び水にもなり、カビを防いだりします。
甘い梅干しを作る場合、砂糖の量は梅の20%が限度です。 それ以上だと、梅が縮んでしまいます。 沢山砂糖を入れカリカリの甘い梅漬けを作るには、梅を割るとシワになりません。
酢、ホワイトリカー、塩 (一例です。それぞれ、その時に安く売っていた物を使っています)
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●梅酢が上がらない
3日たっても上がらないと、まずいです。 塩はどうしても下にたまりやすいです。梅を上下に返したりしましょう。 材料の分量を確認。上がらない時は重石は2倍以上必要。 塩は梅に十分にまぶす。 梅酢の上がり方は梅の熟度や大きさにもに寄ります。 黄熟したものは、梅酢の上がりも早く、重石も軽くてすみます。 本当に未熟の青梅は、固く水分も少ない為、梅酢がすぐに上がりません。 梅の様子を見て、調節しましょう。 又、梅が新鮮だと水分が多い為、梅酢は上がりやすいです。 梅が新鮮ではなく、水分が少なくなっていると、梅酢も上がりにくいです。 でも、黄熟した梅の場合、梅酢が上がらないという事は、まずありません。
梅酢が上がったら、もう成功したようなものです。 土用干しまでは梅が常に梅酢に浸かっている様にしましょう。 梅酢に浸かっているとカビも生えにくくなります。 カビなどに気を付ける為にも、まめに梅の様子を見てあげましょうね。
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●赤しそ
紫蘇は梅酢が上がり、店に出回るようになればいつでも入れて大丈夫です。
梅の重さの10%程度の紫蘇を、塩(紫蘇の10~20%)で アク抜きする。(アク抜き2回は必要でしょう)(塩を半分に分けて)
葉を摘み取る→洗う→水切り→アク抜き(2回以上)→梅酢で発色させ梅に入れる。 (発色させなくても、そのまま梅の上へ載せて置けば徐々に染まります。)
一束で枝付きで300g。枝から取った葉のみで200g 一束で梅2キロ分位でしょうか。 (束により違うので目安です)
赤紫蘇の量は好みです。 色の濃いものが好きな人は多くして下さい。 ※柔らかい梅干などは色が付きやすいので紫蘇は少なめでも大丈夫です。 固いカリカリ梅などは色が付きにくいので紫蘇は多く入れた方がいいでしょう。 梅の皮が厚いと染み込みにくいですが、徐々に染まります。 葉を摘み取り洗い水切りします。この紫蘇は葉の表が緑の種類の紫蘇です。
分量の半分の塩で塩もみし、よく絞り、アクを捨てます。
2回目。繰り返します。 アク抜きし完成した紫蘇は広げて梅の上へ載せておけば徐々に染まります。 |
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●梅の値段と出回る時期(2004年 長野県内あくまでも目安です)
・小梅・・・1キロ280円くらい。6月上旬から中旬。 ・中梅・・・1キロ300円くらい。6月中旬から。 ・豊後・・・1キロ800円くらい。6月下旬から。 ・南高梅・・1キロ700円くらい。6月下旬から。 ・紫蘇・・・一束200円前後。枝付きで300g位。葉のみ200g位(目安です)。 6月中旬から。
南高梅以外は産直コーナーの値段で安いです。 スーパーだと、ここへ100円プラスかな。
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●土用干しをする理由(土用の頃と言われますが、梅雨明け後の天気の良い日に)
・太陽の熱で殺菌する。 ・余分な水分を蒸発させ、保存性を高める。 ・太陽と夜露に当てる事により、皮や果肉を柔らかくする。 ・色が濃く、鮮やかになる。 ・味がまろやかになる。 ・日干しは、皮を丈夫にし破れにくく、夜干しは、果肉を柔らかく味を良くします。
●土用干しは色んな方法があります。3日3晩といいますが、大体の目安です。 梅の種類や大きさ、又、天候により違います。 要するに、干して梅干になればいいのです。 ↓は参考例です。
■方法その1 始めの3日間は、昼間だけ天日干し、夜は梅酢に戻します。 次の3日間は、夜だけ干し、昼間は梅酢に漬けておきます。 合計6日間です。 梅酢に戻す事で色が染まってきます。 (梅の干しあがり加減を見ながら)6日目の朝、取り込みます。
■方法その2 (2日目から昼夜外で干しっぱなし) 1日目・・・昼間天日干し。夜は梅酢に戻す。(一日目だけ梅酢に戻します。) 2日目・・・梅酢から出し、昼間干す。そのまま干して夜露に当てる。 3日目・・・そのまま日中も干す。夜もそのまま夜露に当てる。 4日目・・・しっとりした物がほしい時は早朝に、 からりとした物がほしい時は日中に取り込み保存します。
■方法その3 (夜は室内で) 実際にやってみて、この方法が一番楽でした。 昼間は外で天日干し、夜は涼しい室内へ取り込みます。 3日間続けます。 3日目の夕方取り込み、保存します。 梅酢へ戻したり、並べたりはとっても「手間」です。 一日目に、ザルに広げ、後は、外に出す、室内に入れる、だけですみます。 夜は室内に入れておけば雨などの心配もありません。
■その他 ・続けて干さなくても、天気の良い日を待って干せば良いです。 半日だけでもいいのです。
・裏も返して干しましょう。
・干せない日はそのまま室内に置くか、梅酢に戻しておき、晴れる日を待ちます。 (何日も干せない時は梅酢に戻した方が良いでしょう) くもりの日は表面がべたつく様になるので干さない様にします。 ・雨に当ててしまった時・・・水分を拭き、焼酎を吹きつけ、梅酢に戻し、 2日くらいしたら、もう一度干します。 ・干す場所が無い場合は、容器ごと日に当てるだけでも、効果があります。 昼間だけ、フタをとって容器ごと日に当てます。 日に当てるって事で殺菌になるでしょう。 こちらを参照してみて下さい。←クリック ・時間的には、朝8時頃から、夕方4時頃まで(目安です)。 日差しが強い時間に。 あせらず、天気の良い日に干しましょう。 ・干す日にち(天日干し)は梅によって色々です。 小梅だと2日くらいでも大丈夫。梅の様子を見ながら、干しましょう。
こんな感じで干してます。
・干し上がりの目安 干し上がりの目安は、重さが最初の梅の半分くらいになったらと言われます。 半分位と言ってもわかりづらいですよね。 南高梅だと、3日~4日でしょうか。小梅だと2日くらい。 シワになって梅干らしくなったら完成にしています。大雑把(^^;) 小梅の梅干(紫蘇なし) 南高梅の梅干(紫蘇入り)
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●保存方法
・梅酢、紫蘇、梅干しをそれぞれ別々に保存するのが一般的です。
・干しあがった梅干を昼間取り込んだ場合は、梅がまだ温かいので、部屋に置き、 冷めてから容器に保存しましょう。
・干しあがった梅干し、紫蘇を、再び、梅酢の入った容器にもどし、 保存する方法もあります。 ・今まで梅酢に戻して保存していましたが、 2009年からは、戻さずそのままで保存しています。その方が美味しいです。
・塩分が少ない場合、冷蔵庫で保存と書いてある本が多いです。 でも、実際には、冷蔵庫が二つくらい無いと難しいですよね。
15%でも、常温保存で大丈夫です。 10%(酢、焼酎で補っています)でも常温保存で全く問題ありません。 (ガラス瓶か、カメで保存しています) 毎日30度以上になる部屋の中で、全く変わらない梅干は改めて、 すごい!って思います。
小分けにして卓上に置いてあります。 ・自宅で作る梅干の場合は、 減塩でも、酢や焼酎で補っているのだし、 梅酢(梅酢はかなりの殺菌力あり)に十分に浸っており、 土用干しもしているので、 極端な減塩で無い限りは、常温保存が可能でしょう。 ・売っている梅干の場合は、かなりの減塩の物がありますし、 すっぱさも少なくなっているので、冷蔵庫保存が必要となるでしょう。
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●食べ時
一年経つと熟成して、塩もなじみ良いようです。 まあ、半年は待った方が良いようです。
しかし、うちは、即食べてます。 暑い夏に梅干食べたいですものね。(去年の梅干が残ってればいいけど) 徐々に食べて、味の変化を感じるのも、いいのではないでしょうか。
酢や焼酎で補った減塩のものは、古いほど美味しいという訳にはいかないようです。
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●カビ
・カビは、減塩の物は気をつけます。 程度の軽い物は、カビ、カビの付いた梅、 カビの付いたシソを取り除けば良いようです。
・重いものについては、それぞれを、取り出し、梅は焼酎で洗う。 容器は熱湯で消毒。梅酢は沸騰させて冷まして使います。
・相当ひどい物(梅酢が濁る等)は、新しい梅酢で漬け直しが必要です。
・容器の側面は常に綺麗にしておきます。 こまめに梅の様子を見て、早めに手当てしましょう。
・梅が常に梅酢に浸っているようにしましょう。
・様子を見る時や味を見るときに、手で触ったりしないようにしましょう。 割り箸を使うと便利ですね。 柔らかい梅を、割り箸で触る場合は、そ~~~っとね。
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●良い梅干しとは
・表面がほどよくしまり、ふっくらとして、崩れていない事。外観が美しい事。 ・皮は、薄くて、破れにくい事。 梅干しの一部をつまんで、中の果肉が皮からスッと離れるような感じで、 皮どうしが簡単に付くようなら良いです。 ・種が小さく、肉質のきめ細かい物。 皮を破ってみて、皮と果肉がしっくりなじんでいるようであれば、良い梅干しです。 ・香りがよく、塩味と酸味が調和しているものが美味しい梅干しといえます。
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●最後にまとめとして
黄色い梅を使う事。 容器等は焼酎で消毒。 洗って水気を拭き、塩をまぶし、重石をし、梅酢を上げる。 干すまでは梅酢に漬かっている事。 後は梅雨明けに天日干しするだけです。 (面倒だったら紫蘇は入れなくても大丈夫。干すと薄っすら色は付きます。) 梅を漬けるのは、けして難しくありません。 基本的には、普通のお漬物を作るのと同じ方法です。 包丁などの調理器具を使ったりしないので、 梅を漬けるのは旦那様の仕事。なんておうちもありますよ。 昔から体に良いと言われる梅。ためしに漬けてみませんか♪
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