ニンニクは、タマネギやラッキョウと同じユリ科の植物。秋に植えつけてしまえば、特に手入れも必要なく、簡単に育てることができます。「ニンニク栽培」というと、よくCMで目にするような広い農場をイメージしますが、プランターでも育てることが可能です。
ニンニクの栽培スケジュール
植え付けは9月~10月。寒冷地では早めに準備しておいた方が良いでしょう。
植え付けは9月~10月。青森などの寒い地方では早めに植えつけた方がよく、関東以西では、遅めに植えつけても大丈夫です。玉が大きくなるのは春以降なので、その頃に追肥をすることと、その後に花を咲かせないようニンニクの芽をかき取ることくらいが、収穫までの主な作業です。
植え付け・準備するもの
まず種用のニンニクを用意します。生産農家の方は、その年に収穫したニンニクの中からよいものを選抜して、次の年の種ニンニクとして使用しているそうです。種ニンニクは、通販などで手に入れることが可能です。スーパ—などで売られている食用のニンニクとの違いは、「発芽抑制をしていないこと」。ほとんどの食用のニンニクは、長期間流通させることができるよう冷蔵庫に入れたり、その後乾燥させたりすることで、発芽を抑制しています。ニンニクは冷蔵庫に入れてしまうと芽が出なくなってしまう性質があるので、種用のニンニクを手に入れた後、くれぐれも、冷蔵庫では保管しないように気をつけてください。
種ニンニクは皮をむき、一片一片に分けて植えつけます。
準備に関しては、「とにかくよい土をつくること」これだけです。これはどんな野菜でも共通ですが、あれだけ栄養たっぷりの野菜を半年以上かけて育てるのですから、やはり土は重要なポイントとなります。畑で育てる場合は、完熟たい肥をたっぷりとすき込み、土がふかふかになるまで、スコップや鍬でしっかりと混ぜてください。こうすると、適度に水はけ・水持ちがよく、保肥性の高い土になっていきます。このように土壌改良したうえでボカシ肥などの有機質の肥料を入れ、そこに、ニンニクを植えつけていきます。
プランターで、培養土(あらかじめブレンドされた土)を使う場合は、完熟たい肥を20~30%ほど追加して混ぜ、ボカシ肥を(70cm程度のプランターならひとつかみ程度)入れて、よく混ぜておきます。
種ニンニクは、房をほぐしてひとつひとつの燐片に分け、芽を上にして7~8cmの間隔で、5cm程度の深さに植えつけていきます。
ニンニクの手入れ
植えつけて1ヶ月ほどで、このように葉が出てきます。
葉が出てからしばらくすると、冬がやってきますが、防寒対策なども特に必要なく、適度に水やりをしながら、そのまま育てていきます。4月以降は玉が大きく生長する時期なので、この頃、株の両脇にボカシ肥を置き、追肥とします。
「とても簡単」といわれるニンニクの手入れの中で、どうしてもやっておかなければならないことがひとつだけあります。それは、花を咲かせないようにすること。5月頃になると、茎が伸びて、その先にネギぼうずのような花をつけますが、その花を咲かせてしまうと、花の方にエネルギーが行ってしまい、大事な鱗茎(食べる部分:球根のように見える部分)が大きく育たなくなってしまうのです。ですから、茎が伸び、花が咲く前に、茎の途中から折り取ってしまいます。この部分は、「ニンニクの芽」として、炒め物などにして食べることができます。
収穫・保存
5月~6月頃、下の葉が黄色くなりはじめたら収穫時期です。茎葉に青みが残っているうちに行いましょう。遅れてしまうと、玉が割れてしまいます。収穫後は、タマネギと同様、葉先と根を切り取って、風通しのよいところに吊るしておきます。
芽の出てしまったニンニクは植えてしまおう!
茎にできた花芽を放っておくと、この様な花が咲きます。これはこれでカワイイものですが ……
食用として買ってきたニンニクが、芽が出てしまって使えなくなってしまったということはありませんか? そういう時は、プランターに植えてみましょう。最初に述べた通り、種用のニンニクと食用のニンニクは同じものなので、そのままうまく育ってくれれば翌年のニンニクとして収穫することが可能です。また逆に、種用のニンニクを手に入れて、多すぎてしまった場合は、そのままネットなどに入れて風通しの良いところで保管しておけば、食用として使うこともできます。
ニンニクの品種はそれほど多くありませんが、関東以南の暖地系品種(壱州早生等)と東北の寒地系品種(ホワイト六片等)がありますので、種ニンニクを選ぶ際は、お住まいの地域に合わせて品種を選びましょう。