認知症女性、服に月50万…百貨店に返金命令
読売新聞 6月14日(金)10時49分配信
認知症の女性が2008年に商品を購入した記録。毎週のように来店し、3月だけで約35万円、4月には約50万円の買い物をしたことが分かる
認知症の高齢者に対して、百貨店が大量に商品を売って裁判になるケースが各地で起きている。
今年4月には、女性客に4年半で約1100万円分の婦人服を売った東京都内の百貨店に対し、東京地裁が、一部は認知症発症後の売買契約だったと認めて購入代金約240万円の返金を命じた。百貨店側は「特定の病気の人にだけ販売を拒否することはできない」としているが、売り手の姿勢が問われている。
訴えていたのは世田谷区の独り暮らしの女性(78)。渋谷区の東急百貨店東横店のブティックで、2006年からの4年半に280点の婦人服を買っていた。
離れて暮らす弟(70)によると、10年6月、身内の葬儀に参列した女性の上着とスカートの組み合わせがちぐはぐなことに気づき、自宅を訪ねると、「未開封のブラウスやジャケットが部屋中にあふれていた。ぞっとする光景だった」という。
同年8月に出た病院の診断は「アルツハイマー型認知症で、発症から5年ほど経過」。弟は同百貨店に事情を説明して商品を売らないよう頼んだが、同店は女性への販売を続けた。弟は11年5月からは女性の成年後見人になり、12年2月、約1100万円の返金を求めて東京地裁に提訴した。
裁判で採用された証拠では、女性は毎週のように同百貨店を訪れ、ジャケットやコート、ブラウスなどを多いときには月に50万円以上購入。同じ商品を複数回買ったことも、店員からブティックに無関係の健康食品を2万円で買ったこともあった。
http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010032901000363.html
認知症?の女性に高額販売 そごう外商、7千万円分
認知症の疑いがある広島県内の女性(87)に対し、大手百貨店そごう呉店(同県呉市)で外商を担当する50代の男性社員が、2008年からの約2年間に貴金属や絵画など計約7千万円分の高額商品を販売していたことが29日、同店などへの取材で分かった。
女性の成年後見人に就任予定の司法書士によると、女性は1人暮らし。商品を購入した記憶があいまいで、自宅には包装されたままの商品もある。今年1月に認知症と診断されたが、08年の段階では既に症状が出ていたとみられる。
同店は男性社員を外商担当から外し、返金を含めて女性側と交渉している。「認知症とは気付かなかったが、結果として行きすぎだったかもしれない」としている。
同店などによると、高額商品の購入は06年ごろから増加。支払いの大半はクレジットカードで、引き落とし口座の残高が少なくなると、女性は男性社員に付き添われて金融機関へ行き、別の口座から引き落とし口座に金を振り込んでいた。
09年末、高額な取引を不審に思った金融機関が消費者生活センターに連絡して発覚した。
◇認知症と契約に関して
・ 認知症と、契約トラブルの予防 - 小倉南区徳吉の司法書士事務所ができるまで(2011年7月12日)
・ 認知症の女性に対する過量販売・次々販売 - 弁護士中山知行(2011年2月18日)