https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190103-00027067-president-soci一部
考査で学校は子どもの何を見るのか、そもそも小学校受験の試験課目はどのようなものなのか。学校やその年により違いはあるが、考査項目は大きく分けて5つある。知的理解度を判断するための「ペーパー考査」と口頭試問的な「個別考査」、身体能力を見る「運動考査」、創造力を見る「絵画製作考査」、そして他者とのコミュニケーション能力などを見る「行動観察」だ。
「例えば慶應義塾幼稚舎では、ペーパー考査も個別考査もなく、運動考査と絵画製作考査と行動観察しかありません。しかし、だからといって運動のタイムや製作物の出来ばえを厳密に測定するわけでもない。また、東洋英和女学院小学部や、青山学院初等部、田園調布雙葉小学校には附属幼稚園もあり、内部進学者がいる。その子たちは受験対策をしていない。極端なことを言えば、点数がものすごく高い子だけを合格させると、内部進学者との間にギャップを生んでしまう可能性があります。ですから、考査の点数においては学校が求めているラインを超えさえすればよいのです。
では学校側は子どもたちの何を見ているのか。それは、一番楽しそうに課題に取り組んでいる子や、なぜだか皆から応援されている子、つまり教師が『また会いたい』と興味を持つような子が選ばれるんです。慶應義塾横浜初等部はペーパー考査がありますが、そこさえ通過すれば、同様の考え方ではないでしょうか」
では、そんななかで「面接」はどんな位置づけか。慶應義塾幼稚舎と慶應義塾横浜初等部、桐朋小学校と桐朋学園小学校などは面接がないが、多くの学校では面接がある。伸芽会教育研究所所長・飯田道郎氏は、「考査では調べきれない点を見る場」と定義する。
「同じような点数の子が横並びになった場合、学校はより自分たちの校風を理解したご家庭からお子さんを預かりたいと考えます。とはいえ5、6歳の幼児が将来の人生設計や家庭での生活を詳細に語ることはできません。だとすれば親から聞き出すしかない。つまり面接の場は、家庭での教育方針と、学校への理解度を知る場なのです」
大岡氏は「面接の質問には3つの柱があります。まず1つ目は親の人柄を見るための質問。これまでの生き方や教育において自負があるのは構わない。しかし同時に謙虚さや誠実さも持っているか。2つ目は、家族の輪。3つ目は、どれだけその学校に入りたいかという熱意です。学校によってどれを重視するか比重は違いますが、基本的にこの3点が見られます」と語る。
----------
▼試験の内容は学校によって異なるがほとんどの学校で面接がある
慶應義塾幼稚舎
・運動考査・絵画製作考査・行動観察
早稲田実業学校初等部
・ペーパー考査・個別考査・運動考査・絵画製作考査・行動観察・面接(親子)
立教小学校
・個別考査・運動考査・行動観察・面接(両親)
田園調布雙葉小学校
・ペーパー考査・個別考査・行動観察・面接(親子)
■学校創設の歴史まで遡り共感できるか
最近の就職面接では、圧迫面接より学生の本音を聞き出そうとソフト路線に転向する傾向がある。小学校受験にも最近のトレンドはあるのかという問いに、飯田氏は「いつの時代も問われるのは、家庭の教育方針、そして学校を真に理解したうえで、ぜひとも入学したいと思う熱意があるかどうか」だという。