記憶の場所

観た映画の感想をつれづれなるままに書き連ねるブログ。週1~2本、たまに映画館。

ポン・ジュノ監督「スノーピアサー」

2015-04-19 08:55:50 | サ行
初の韓国人監督映画。


ポン・ジュノ監督「スノーピアサー」
ジャケ裏の説明的に期待と不安半々を持ちつつ見てみたら結構見ごたえがあった。
2014年、環境政策に大失敗(というか致命的なミス)し超氷河期に陥った地球で、唯一人類が生存している大陸横断列車「スノーピアサー」で、クーデターを起こした男が主人公。
超階級社会の中で、不平等と圧政を是正するため、立ち上がった…!的な。

電車の中という超閉鎖空間の中での完全自給自足。映画冒頭で「すぐに氷河期に陥った」みたいな説明があったので、食糧のシステムはともかく美容院やらテーラーやらよくもまぁ準備する時間があったなぁ、なんて思わないこともないが、一つの車両に次はどんなシステムを表現するんだろう((o(´∀`)o))というワクワク感はあった。
サウナまであったんだぜ…!どんな豪華特急だよ。おそらくななつ星の行きつく先はあんな感じ。

登場人物の立ち位置がはっきりしているというか、主人公サブ参謀戦闘員明らかな捨て駒等々わかりやすいからそれでまず映画に入りやすい気がする。どう考えてもあの大統領は捨て駒。というか、あの中で大統領とか大仰な名前つけなくてもいいんじゃない?
あの車内はどう見ても社会の縮図なので、若干見てて暗ーい気持ちにならなくもないけど、「各々が役割を果たすべきだ」というウィルフォードの話も分かるし、「それは強者の理論だ」というカーティスの主張もわかる。にしても、ウィルフォードと大統領、似たような話をしているはずなのに、大統領の話し方が超頭にくる感じなので、言葉って大事だなって思いました。

乱闘シーンとか、線路のカーブを利用した射撃シーンとか、戦闘シーンも見ごたえがある。さっきまで大きくなったお腹をさすってた小学校の先生が、いきなりマシンガン取り出して撃ち出したときはおったまげた。
クーデター側の突撃隊長が超クール。助走→跳躍→鉄骨につかまってからの巨漢首絞めは見事。言葉がわからないからだろうけど、敵側の偉い人捕まえて首根っこ押さえながら、腕の入れ墨「降伏か、死か」って見せて脅すのも超クール。もう少し彼の戦闘シーン見たかった。


映画の筋としては、秩序を保つためには定期的な人口調整とガス抜きが必要→それなら反乱起こさせればいいんじゃない?という上層部の考えにまんまと乗せられた形の反乱だったわけだが、最初は収拾がつく範囲で抑えるつもりで今までもそれでうまくいってきたんだけど、今回負のエネルギーが大きすぎた、ってところなんだろうな。
電車もガタが来ていたようだし、線路の方だっていつまで保つかわからないし、潮時だったんじゃないかな。
最後、希望がありそうな終わり方だったけど、神話の世界じゃあるまいし、ほかにも生存者がいなければ人類滅亡だろうな。
(人種差別的なこと言うつもりは毛頭ないが、アメリカも製作に携わってるのに白人系が生き残らないエンドってのも珍しい気がする。)


蛇足
なぜか日本ひいきの映画。ちょこちょこと日本語が出てくる。水産の飼育場(トンネル水族館!)の先には寿司カウンターがある。なぜだ。
あとあの敵側の戦闘員二人。完全にデキてる。