早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

定本宋斤句集  夏 5

2018-06-25 | 永尾宋斤の句集:宋斤 思い出の記・定本宋斤句集






定本宋斤句集  夏 5

蚊 火  乙訓の薮の小すそに蚊火の家
メーデー メーデーの大軍去って橋柳
     ひと時の街の空気や労働祭
日 傘  汝が影の無くて日傘のまるさかな
汗    汗の衣を樹に干し入るや旅座敷
川 床  川床や燈もさらさらと宵浅き
納涼台  樟の葉の空にこまかな涼み台
青 簾  鮎宿のおぼえの二階青すだれ
温 泉  温泉の山のあるはむかしに掛簾
     枕本簾透く日に残されぬ
     巫子涼む簾や奈良はよきところ
蠅叩き  蠅叩き夜半の畳に有閑す
端 居  端居して主客故郷を等しくす
心 太  食うものに燈火が透く心太