定本宋斤句集 冬 1
立冬 古甌にけふのおもひや冬立つ日
初冬 初冬や窓邊ひと往く傘あかり
冬 母よりの手紙に冬のきたりけり
てくさりの茂りに冬のきはまれぬ
はこべらの来る冬越すと生えそめし
淡路三熊狭山
城の冬松かさ人形賣りにけり
野の乾き冬の雲雀の低くゆく
筏解いてその一本に冬の人
冬の果 眞夜の川寂々積みて冬果てぬ
難波の綱引き
暖冬 冬あたゝかに百貫の縄龍となる
御所拝観、小御所
冬ぬくし 良へ小御所と拝し冬ぬく
冬ぬくゝ南天漂と疎なりけり
短日 短日の夜になれば往く句會あり
寒さ 川波に照らされて往く人寒し
小春日 小春日の二階の客を忘れ居り
霜月 捨て犬におろかなじまれ霜月夜
冬ざれ 冬ざれの野に焚く煙いくところ
夜半の冬 夜半の冬一聲鳩が鳴く時計
寒 霧の燈の寒ゆるみたる河の面
寒晴れて川は鳶の日鷗の日
宿墨に水を足しては寒二句
鳥籠の空を重ねて韓日南
大寒 大寒の月西となり藪がしら
寒凪 足の上に來し落葉かな寒の凪
十二月 十二月地に日さぐもの風にあり
原稿紙字桁のウヘを年走る