
春を待つ 孫や生まれし病みも居られず春を待つ
春 近 鶯飼へばある日の聲が春近き
春近き入日とおもふ帆澤山
橿原神宮寒夜参拝
冬盡く 御まへの松夜を優ぐれ冬盡くる
初霜 初霜のひとつ落葉に濃かりけり
霜 比叡いくたび西塔を知らず霜を踏む
大霜 大霜の臼のうへにもこぼれ炭
映画 昔の歌試寫会
雪 絲竹に娘のやるせ雪降りて
雪 雪ぬくし丹の大塔の四方に侘ち
風花 風花か煤か暮光の川にあり
風花や庚申こんにゃく人の渦
冬晴れ 冬晴れや村の峠の切り通し
冬日 冬の日や餅の簀干しの端の減り
鶸の觜籠にて見れば冬目透く
御所拝観
冬日 高御座かしこくも冬日明かりかな
清滝にて
掌に撫でして硯の齢冬日なる
冬日南 冬日南もたいなけれど屎をする
冬日南ちりばめば蝶しろくゆく
香薬師拝み出てより冬うらゝ
仙洞御所
冬霞 冬かすみ松の枝間の醒花亭
枯柳に眼をのばしつれ冬がすみ
時雨 蜆はまぐり時雨の市場貝ばかり
冬の星 道頓堀西へ帰れば冬の星
西大寺ほとり
寒霞 寒かすみ大和はぬくゝ寺の掘