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早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

萩まつり 萩の寺

2019-09-23 | 宋斤の俳語・句碑・俳画、書
萩の寺 萩まつり



9月19日 秋晴れでみごとな萩の咲き乱れる萩の寺へ 祖父宋斤の墓参りに出かけました。
境内に 祖父永尾宋斤『早春社』が三十三回忌に昭和9年3月に建碑した子規「ほろほろと石にこぼれぬ萩の露 子規」山門入り口近くには宋斤七回忌に早春社により建碑された句碑「早春や枯れたるものに光あり 宋斤」ほか、見事な萩に包まれた多くの句碑を大勢の方々が見て回っておられました。



昭和11年9月19日 子規忌記念葉書



宋斤の俳句 「早春」第一巻二号 二月例会

2019-09-11 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
「早春」二号 二月例会 鶴の天神社
    
    第一回の時のように座席がなく火の気のない廊下に立って 苦吟せねばならぬことだけは免れたが 尚座席は雷模様にギッシリと座り狭隘を感ずる程の盛会であった。 兼題 草萠 席題 蛙の子  赤川艸十採録

     下萌や住みなじみて庭さかひなく 宋斤
 
     下萌や濱邊は風の古芒      宋斤

     
       神戸創立句会 一月十六日 永澤町放光庵
          宋斤立って「早春」刊行の主旨を述べ、俳誌「ほばしら」主幹田村萬有氏は参会者を代表してこれに答ふるものありけり。

     寒ぬくし降って濡れたるほうれん草 宋斤

     水鳥や遠き帆叩きけり       宋斤

       早春社神戸句会 二月十日 山手の縣会議事堂

     枯草に沈む祠のあたたかし     宋斤
    
     春浅し行くて行く手に鳥立ちて   宋斤

     枯れ草のいづれより崖したゝりて  宋斤

       早春きたの句会 二月一日 北野衛生組合事務所

     氷解星あらはれてうるみけり    宋斤

     氷解けたり闇にはなれて森の先   宋斤

     ささやかなうつろむらさき蜆貝   宋斤

       早春社安治川句会 二月五日 竹嬢居

     掘餘寒廻って寺の潜り戸へ     宋斤

       早春社尼ケ崎俳句会 
   
     立春の日輪風にあがりけり     宋斤

     沖の方風は空行く芦の角      宋斤

       発行所句会

     大岩に椿花降り落ちたまり     宋斤

       堂島句会  露の天神社  堂島取引所関係者 第一回
  
     雪はれの草のびのびと枯れており  宋斤

草萌句会(武庫)草萌社第一回句会

     人去って汐干の濱の鳥哉      宋斤

        蜆心亭偶座吟(尼崎)
     
     芦の角濱の墓場へ人の行く     宋斤

        
        「早春」二号 巻末

     二三子と出て菜の花に宵ごゝろ   宋斤

     梅の花たかきに雨のかすれけり   宋斤

     下萌の住みなじみて庭さかひなく  宋斤

     しろすみれひとすじ茎がくねりたれ 宋斤

     つちくれに蛙の子等に露はじめ   宋斤

     塔にのぼって柱にもたれ霞かな   宋斤

     東風吹いてしづかさ水と丘の松   宋斤



     
     
     

丙寅吟行その1 明石より舞子まで

2019-09-10 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく


  丙寅吟行その1 明石より舞子まで

    正月三日より京都を目指して三人で歩き始めた。


      蛸壺にあたる冬日にたちどまり 宋斤
      
        錦江橋
      橋の下ぎっしり船や正月す    宋斤

      大なみのそれの霞に白帆かな   宋斤
      冬の海を一重に川も浪たつる   宋斤

         中崎遊園地
      北風吹いて松の果てなる倡家かな 宋斤

      みかん船つきゐる風の松の内   宋斤
      鳥追いにからかふ舟の若衆哉   宋斤
      鳥追いのうしろに波のひたひたと 宋斤
      入濱やてんま親船注蓮かざり   大露
 
         月山〜明石明神
      風の波聞いて彳む小春哉     宋斤

         岩屋神社 由来を老爺から
      水涕や寺にて寺を教えつつ    宋斤

         善楽寺 明石入道
      照りかげる蔦の細道枯れ草に   宋斤

         無量光寺  
           源氏の君が月見をした跡『月見寺』
 
      山茶花や石畳行く歩のひびき   宋斤

      正月や塀かけたる何小宮     宋斤

      寒ければ呆うけてあるく五人哉  宋斤

        明石城
      公園の入口小池春の波      宋斤

      酒の客か歌留多の客か火桶抱く  宋斤

      枯れ草のつきしマントをまた著るや 宋斤

        大蔵谷 人丸神社
      敷石にふりかえり見る冬の海   宋斤 
      
         忠度の腕塚
      草はげてゐて家裏なる塚寒し   宋斤
      
      塚も冬家並み窪地の松の下    宋斤

         松の中体天神社

      廣前や一木ニ木の梅のかげ    宋斤

      梅さむしむかし明石の驛家のあと 宋斤

      冬枯れのなかの芒は風もてり   宋斤


                      ★次回は 舞子より須磨まで を紹介します
      
      


宋斤の俳句 「早春」第一巻二号より 早春俳句選後小記

2019-09-10 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく

 早春俳句選後小記

   創刊号に続き この二号でも 「早春俳句」宋斤選 はp2~p28 500句を超えて掲載され、最後にこの「早春俳句選後小記」があります。

  「早春俳句選後小記」の方法は、前回に試みた通り、先ず募集句稿を五、六人の人に作者なしで讀んで貰ひ、耳からの鑑賞を濟まし、次ぎに、同席を避けてはじめからの句稿を、今度は作者を通じて選をしました。耳と眼からの再三再四これを最善の選句法と信じて試みであつたものを今後の実施方法とします。
句の配列も前回の通り、句数には配慮なく大體において投稿順次と取りまとめ時の手勝手のままに不順とします。入選句数の多きものより句数成績順にせよとの希望も受けておりますが、句数成績は餘りに重視もしておりませんので、猶左の如くして置きました。むしろ僅かに一句しか採らなかったものでも数句に優る光彩あるものに注意して下さい。応募数は前回より大分多かったのですが、却って厳選に傾きました。今後は今少し厳選していきたいと思ひます。
たとへ落選の憂き目が続くとも倦まず努力を希望します。