宋斤の俳句 「早春」昭和四年一月 第七巻一号 巻頭
◎
詩と絵画と音楽と何にも獨得があって、何にも缺乏がある。
ことば、おと、かたち
一つは、その一つである。
併し、
例えば、
よき俳句を見つめてゐると、繪書が生まれ、音楽が生まれる。
近詠
大旦やいただきの家の燈のきばみ
初雛のあとに露ふる竹の闇
田の水に二日の夕日霧そむる
水仙の咲けるを旬とし去年今年
海聴いていねつむばかり雪の宿
正月やたつ草茎のくれないに
ほど注いで梅のにじみや大福茶
吟行や雪に媚ぶ句も恵方なる
門松や町に城下の名残あり
澄むほどに鳥わたるなり吉書揚げ
南天の實のこぼるゝを鍬はじめ
福壽草遅速ふくらむ莟かな
水鳥を朝に見なれて松の内
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詩と絵画と音楽と何にも獨得があって、何にも缺乏がある。
ことば、おと、かたち
一つは、その一つである。
併し、
例えば、
よき俳句を見つめてゐると、繪書が生まれ、音楽が生まれる。
近詠
大旦やいただきの家の燈のきばみ
初雛のあとに露ふる竹の闇
田の水に二日の夕日霧そむる
水仙の咲けるを旬とし去年今年
海聴いていねつむばかり雪の宿
正月やたつ草茎のくれないに
ほど注いで梅のにじみや大福茶
吟行や雪に媚ぶ句も恵方なる
門松や町に城下の名残あり
澄むほどに鳥わたるなり吉書揚げ
南天の實のこぼるゝを鍬はじめ
福壽草遅速ふくらむ莟かな
水鳥を朝に見なれて松の内