早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句 「早春」昭和四年一月 第七巻一号 巻頭 新春賀詠

2021-03-03 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句 「早春」昭和四年一月 第七巻一号 巻頭

       ◎
詩と絵画と音楽と何にも獨得があって、何にも缺乏がある。
ことば、おと、かたち
一つは、その一つである。
併し、
例えば、
よき俳句を見つめてゐると、繪書が生まれ、音楽が生まれる。


   
   近詠
大旦やいただきの家の燈のきばみ

初雛のあとに露ふる竹の闇

田の水に二日の夕日霧そむる

水仙の咲けるを旬とし去年今年

海聴いていねつむばかり雪の宿

正月やたつ草茎のくれないに

ほど注いで梅のにじみや大福茶

吟行や雪に媚ぶ句も恵方なる

門松や町に城下の名残あり

澄むほどに鳥わたるなり吉書揚げ

南天の實のこぼるゝを鍬はじめ

福壽草遅速ふくらむ莟かな

水鳥を朝に見なれて松の内