「ダンサー・イン・ザ・ダーク」「ドッグヴィル」
”鬼才”と呼ぶにふさわしい監督、ラース・フォン・トリアーが
インフォマニアック=色情狂 を題材にして放つ2部作の前編。
とりわけ、ビヨーク主演の「ダンサー・イン・ザ・ダーク」は好きだったけど
その後嫌いな作品が出て来ても必ず劇場でみてしまう。監督としてはぜんぜん好きではないんだけど。
わたしに言わせるといつも「ふつうじゃない」作品を撮ってることで惹かれるんだけど
今回は思いもよらないユマ起用。ということで、いつにも増してすごく気になってた。
真っ暗な画面がしばらく続くなか、雨音、それが雪に変わるのを静かに追うカメラ。
雪が舞い落ちる薄暗い路地に倒れていたのは傷だらけの一人の女、ジョー。
「アンチクライスト」(←強烈な鬱映画)「メランコリア」(←鬱映画その2)に続いての出演となる
シャルロット・ゲンズブール。
幸薄そうで、貧相だからっていうのもあるけど個人的には魅力を全然感じないのよねーごめん(主演の度言ってるけど)
画面が変わり、激しいメタルロックの曲と共にステラン・スカルスガルドが家から出てくる。
狙い通りだろうけどここが最高にカッコいい。
というか、このオープニング曲が本作で一番気に入った ニンフォマニアック Vol.1 - 映画.com
この曲欲しい。
そのままカメラは老紳士セリグマンを追い、倒れたジョーを見つける。
救急車も警察も呼ばないでほしいという彼女を介抱するため、自宅に連れ帰る。
何があったのか事情を尋ねるセリグマンに、ジョーは幼い頃から性に強い関心を抱き、
底なしの性欲に翻弄されてきたという身の上話を語り始める。
興味深く聞入りながら、これまでの知識を生かした空想、妄想で、
自分自身で解釈しようとしていくインテリおやじ。
全編、その過去の性の遍歴を語る部屋でのシーンと、過去の回想シーンのみ。
父親は医者のクリスチャン・スレイター。(最後まで若いな)
ジョーは、子供の頃から性に目覚めたと語りだす。
処女を捨てたくてジェロームという男(シャイア・ラブーフ)に頼んで
屈辱的な思いをするだけの初体験を迎えたあとは、2年後に今度はセックス狂に。
10代の役はステイシー・マーティンという新人。フルヌードで挑む。
友人と列車の中で何人の男を獲物に出来るかゲーム。
ここでかかる曲はトーキングヘッズだったり
おなじみのロックや、時にバッハなどクラッシックがかかるところも
全体的に音楽にこだわるラースフォントリアー監督らしい選曲。
とにかく愛より快楽重視、愛なんていらない、SEX第一。
全部で8章からなる構成。 vol.1でプロローグと5つの章を、Vol.2では、3つの章とエピローグ。
とりあえず、残り1つあるけど前半は
6/10(63点)
ちょこっとネタバレあり
監督自身、鬱になりながら撮ってた作品も多いくらい
重たい不協和音が続く作品が多いトリアー作品。
毎回、性描写も多く暗い重い作品としてのインパクトも強い。
今回はポルノだとか言われていたけど、もちろんそれは作品としての表向きの顔。
これまで際どいフランス映画や過激な性描写を描いた作品も観て来たけど
驚いた事にこれはエロさは十分だけどぜんぜん興奮はしない 笑。
たぶん、わたしだけではないんじゃないかな。
なんていうか、性のことを語りながらその実語ってるのは人間の性(さが)だったり
欲だったり、結局は セックスには愛が必要なのか。という根本的世界共通の永遠の疑問にまでいきつく。
自分の憧れだった男、ジェロームに少女時代処女を奪ってもらい、
その後幻滅してから偶然の再会を果たすも、まったく興味がなくなり。
一緒にいるうち彼のその手の中の所有物になりたい、自分を扱って欲しいと欲する。
それが愛なのかもと気づいた時にはもう欲しいものは側になく、誰かの物。
それを望もうと妄想し、またの偶然で再会。
結局想いは通じて愛し合うも、今度は性的にまったく感じなくなっちゃった
というオチの前半。
途中、一日7、8人だか10人と寝てるので誰が誰だかとなり、サイコロの出た目で
振ったり、電話をやめろといったりてきとーな関係。
要はSEX出来れば誰でもいい感じ。顔も関係ない。皆にあなたが初めてというから男性はわかってても嬉しい。
世界中の男を渡り歩いて来ただとかで、アレがぼかしいりで次々に出てくるのは
笑いどころなのか。場内シーンとしてたけど。
現実的に言うと、よくエイズにならないよね。
数々の、その男たちの中でもとくにお気に入りをジェローム含めた3人とする。
その様々な3者を、音楽を奏でる様に例えるのがまた面白いけど。
その過去の話を熱心に聞く側のインテリ爺、セリグマンは妄想を掻き立てられながら
引用、蘊蓄、比喩多用。
哲学、宗教、音楽、数学、政治、心理学などが会話の中で披露される
彼自身、身勝手な妄想でその話を楽しんでる。
曲はまた今回も、フランクのヴァイオリンソナタ、バッハのオルガン小曲集などのクラッシックから、
ミサ曲、メジャーなロックまで多用。
当然、雰囲気カッコいい。
一方的にSEXだけの関係でいようと想ってても、当然勘違い男は出てくる。
それが愛を求める男。
こっちが身体だけと割り切ってればよいのかもだけど、
それを伝えてるわけじゃないからややこしくなるんだ
自分だけが独り占め出来ないなんて嫌。と言ったもんだから、
妻子持ち男が荷物もって、今離婚して来たとやってくる。
それも、次の男が家に来るって時に。
そこでいきなり入ってくるのがユマ(サーマン)
このシーンが一番最高の章。 笑 ここ思い切り喜劇になってた
可愛い三人の男の子までつれて来て乗り込んで、
「ここがパパの一番好きな場所、頭に焼き付けて。」といってベッドの部屋へ ズカズカ。
そして次の男が花束持って現れちゃうというコントのよーな流れ。
劇場で笑い起きてないしわたしも声にだして笑いはしなかったけど ブラックコメディ。
それでも「この人を愛してない」とさらっと言い切るジョー。
そりゃ長年築いてきた愛をこんな小娘に奪われたんだから許せないでしょ。
美人妻と可愛い息子3人いて。
ジョーの中で理想の男、ジェローム演じたシャイア・ラブーフは、これまで
セクシュアルなイメージ全くなかったけどこういうエロい役をするとハマるもので
なかなかセクシーに見えちゃうから不思議なもの。
もちろん続きは観るけど、前半の方が断然海外では評価が高いみたいなので
重要なラスト(オチ)は期待しないでおこうかな。
とりあえず、わたしはユマのシーンが面白くてインパクトさらってったからそれで満足
しかし、今回まだ出てこなかった デフォーさんやウド・キアさんなどのトリアー作品常連たち
ついでにジェイミー・ベルがドSで登場というvol.2 どんな役でなのか、出演者をみるのが楽しみ♪
ちなみに、観る前から聞いてはいたけどSEXシーンはプロの吹替。
エンドロールで名前が7、8人出てた。
そうだよね、俳優がやってたらポルノ。うまいこと差し替えたりほぼわかんないようになってた。
もちろん、ぼかし入り。(昔はそのまま出してるのとかけっこうあったけどねー)
この日本も共通のポスター、全部イっちゃってる表情ですごい
とくにウド・キアみて 白目むいてるし こわ 笑
クリスチャン・スレイターの肉体美すごいな
『ニンフォマニアック Vol.1/Vol.2』予告編 ハードVer.(R18+)
冬の凍てつく路上で行き倒れていた女性ジョーを自宅アパートで介抱する年配紳士セリグマン。心配する彼に、ジョーは驚くべき生い立ちを赤裸々に語り出す。 2歳児から“性”に強い関心を持っていた彼女は、15歳の時に青年ジェロームを相手に初体験を済ませると、あとは欲望のおもむくままに男たちとの行きずり のセックスを重ねていく。ある時は幼なじみのBとチョコレートを賭け、長距離列車の中でハントした男の数を競うジョー。そんな中、最初の相手ジェロームと思いがけない再会を果たすジョーだったが…。
NYMPHOMANIAC: VOL. I 2013年 デンマーク/ドイツ/フランス/ベルギー/イギリス
10月11日より、公開中~
11月1日~ Vol.2 公開
トリアー監督、ユマ気に入っちゃって今後も出すか?
Vol.2へ続くー。
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