去年のトロント映画祭他各国の映画祭で話題になった、韓国映画。
かなり気になってたので早速鑑賞。
薬を飲んで寝てれば30万ウォンをもらえる蘇生性実験の副作用で、彼は<魚人間>になる。
原題は「突然変異」
監督は、短編作品で評価されたクォン・オグァン。
エグゼクティブ・プロデューサーを務めるのは、カンヌ国際映画祭脚本賞受賞作「ポエトリー アグネスの詩」、
ヴェネツィア国際映画祭 銀獅子賞受賞作「オアシス」の監督&脚本家で「私の少女」「冬の小鳥」でプロデューサーを務めた名匠イ・チャンドン。
キャスト
イ・グァンス「トンイ」「大丈夫、愛だ」
イ・チョニ「オオカミの誘惑」「台風太陽~君がいた夏~」
パク・ボヨン「過速スキャンダル」「私のオオカミ少年」
収入を得るため製薬会社の新薬治験に参加した若者の顔が、原因不明の副作用のせいで魚になってしまう。その事件は瞬く間にニュースとして広まり、若者は一躍時代の寵児となる。しかし、栄光はつかの間、やがてメディアは手のひらを返し、魚男は奈落の底へと転落していく、、、。
7/10(79点)
悲劇だったのは、中身は人間、外見は魚。だったこと。
中身は人間としての知能が残ったままだから、意志も感情もある。
もう少しコメディ寄りなのかなと思ってたら意外と悲しい話に一貫してた。
とにかく魚になってしまった男に同情しないでいられない作りで
金につられてとはいえ、まさか魚になってしまうなんて思ってなかったんだから
製薬会社の実験のモルモットとなってしまったという現実と、
メディアも世間も、盛り上げるだけ盛り上げといて、あっという間に悪者にされたり
就職難という中での、自分は何者になるのか、どこを目指していくのか。
若者の夢や希望の行く先は。
というリアルな問題に行き着き、魚男を取り巻く状況は、現代の韓国社会をも反映したものになっていた。
紅一点のパク・ボヨンも「彼女」という関係ではなく、
一方的に好きになられて、くるところもなくやってきたのを
マスコミに売る。という血も涙も無い行為で、魚男となってしまった悲しき男を、いとも簡単に引き渡しちゃう。
その彼女も実は孤独で、両親もいなくて愛も知らないような女。
どこかで魚男を可哀想に思いながらも結局は最後まで突き放してしまうのが
より一層、魚男の孤独を浮き彫りにしてた。
身内である父親はそばにいながらも、半分魚になってしまった自分の息子の心配よりも、
金のことしか考えていないようなしょーもない父親だったし。
製薬会社や、研究をする博士や弁護士など、金や名誉に目がくらみ
メディアや好奇心で踊らされる一般人、人権をなんとも思わなくなって行動する人たちの愚かな部分。
これは決して単に作り事の話じゃないよね。
涙が出るというより、なんだか 「切なすぎる」とか「悲しすぎる」っていうそんな感情が
エンドロール流れても席を立たずに余韻を与えるエンディングでした〜。
見る人によっては「良かったね。」とか「あれが彼にとっての幸せ」と取れるのかもしれないな。
なかなかいい作品でした わたしは好き。
それにしても、8キロもある魚の被り物を本当に被って演技したイ・グァンス、大変だったろうな〜。
なのに葬儀の写真でしか実際の顔でないし
なかなかイケメンなのにもったいない(笑
毎回4〜6時間を費やすスペシャルメイクだって。
돌연변이/COLLECTIVE INVENTION 2015年 韓国 92min
12月17日より、公開中〜
左、監督。
雑誌「コスモポリタン」より。